概要

このページは管理人の趣味で作られているページです。

法律関連ですのでお堅い話です。

分かりやすく記載できればいいな~と思います(*´ω`)

ただ重要なお話ですので、かなり細かい点まで解説しています。もしかすると、ここをご覧になって大会運営をまともにやりたいという方もいらっしゃるかもしれませんので…。

あと、管理人の法律知識等による解釈も含まれますので、これが絶対だとも言えないので、他の方のサイト等もご覧ください。

ちなみに「細かいことはいいから、大事な部分だけ教えてくれ。」という方は一番下のまとめだけご覧になってください。

 

賞金・賞品付き大会と法律

実は大会でうかつに賞品を準備すると法律に抵触する場合があります。

さて、ここで登場する法律がこちら

  • 刑法
  • 風俗営業法

 

それでは、2つと賞金についてどういった関係があるのかを書きたい思います。

ただしここでは賞金金額の上限には具体的に触れません。

景品表示法については別途お調べください。

 

「賞品だしたら賭博」? 賭博罪と賞品

 

① 賭博って?

 

刑法には賭博罪についての規定があるんですね。(正式には「賭博及び富くじに関する罪」)

さてさて、そもそも賭博ってどういうことをいうのでしょうか?

Wikipediaより引用しますが…

賭博(とばく)は、金銭や品物などの財物を賭けて偶然性の要素が含まれる勝負を行い、その勝負の結果によって賭けた財物のやりとりを行なう行為

という風にあります。

まず見ていただきたいのは赤字の部分。

金銭や品物とありますので、今回のお話でいうなれば、賞金だけでなく賞品もこの話に含まれるということですね。

そして偶然性の要素についてですが、これは運といえばわかりやすいでしょうか。

ここで「えっと…この運って結局どういうことを言うの?」と、思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

判例(裁判で裁判所が示した法律的な判断)を見ると、どのような些細なことでも、この運要素になるようですね。

つまりは、大会でいうと組み合わせの抽選なんかが、この偶然性の要素に含まれるということですね。

 

② 賭博罪について

次に賭博罪について説明します。

まずは、規定のある刑法185条の全文をどうぞ

刑法 第185条

賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

 

という風になっています。

では、少しだけ詳しく見ていきましょう。

”賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。”

 

まずはこの部分については、皆様分かると思います。

つまりは、” 賭博をすると罪ですよ ” ってことですね。

 

問題はこちらでしょうか

” ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。”

 

では、この”一時の娯楽に供する物”というのが、どういうものかを説明したいと思います。

これまた判例によりますと、「関係者が即時娯楽のために消費するもの」となっていました。

つまりは食べ物だったり飲み物だったりがこれにあたるというわけですね。

また、文言を見る限り金銭であっても即時娯楽のために消費するならOKという解釈もできます。

例えば、食事代をかけてじゃんけんするような場合も、こういう規定・判例があるから賭博罪にはならないと言えるのではないでしょうか。

 

そして、もう一つ賭博罪を考える際に重要なことがあります。

それは賭博罪の成立に必要な要件で、当事者双方が危険を負担することというものがあります。

これは言い換えれば、”当事者の両方がリスク(損)を負うこと”という感じでしょうか。

そしてこれを逆に言えば、当事者の両方がリスクを負わなければ賭博罪にはあたらないってことになりますね。

 

あとはこちらについても少し触れておきましょう。

刑法186条2項

賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する

 

これは単純に考えていただいて結構です。「賭博場を開くな!!」ということですね。

 

 

③ 大会運営との関係

では、この賭博が大会運営とどのように関わってくるかをお話したいと思います。

大事なのは「賭博(賭博罪)にあたるような賞品の準備・配布をしないでね。」ってことなんです。

しかしこれではいまいちイメージがわかないと思いますので、具体例を交えて説明していきます。

まずは登場人物をご紹介しましょう。

  • 参加者のAさん
  • 参加者のBさん
  • 運営のDさん

 

あらすじ

運営のDさんはゲームの大会を開くことにしました、募集の結果AさんとBさんが参加することになりました。ここでDさんは優勝者に賞品を準備することにしました。

 

さて、この話を元に解説していきたいと思います。

ここで考えられる賞品費用負担方法については3種類ですね。

① 運営のDさんが全額負担する。

② 参加者のAさんとBさんが負担する。

③ 運営と参加者で負担する。

 

では、まず①を見ていきましょう。

上記の賭博罪の成立要件に、” 当事者双方が危険を負担すること ” とありましたね。

①のパターンですと、参加者のAさんとBさんには危険(損をするリスク)がありませんよね。

つまり賭博罪は成立しません。

 

次に②のパターン。

具体的に例をあげるならば、AさんとBさんから参加費を徴収しそれを賞品にあてるといったケースが考えられます。

さて、みなさんはこれが賭博罪になると思いますか?

ここですね、非常に勘違いしやすい部分でもあります。

①のパターンで ”当事者双方が危険を負担すること ”という成立要件を持ちだしてきましたが、この場合はどう当てはめるのでしょう。

もしかしたら、当事者が運営と参加者を指しているとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんね。

それも間違いではありません。

そうなると、「参加者のみが危険を負担しており、運営には危険がないから、賭博罪にはならないのでは?」と思いませんか?

でも違うんですね。実はこの場合の当事者は参加者のAさんとBさんなんですね。

なぜかといいますと、実際に試合をするのはAさんとBさんです。つまり、賞品を掛けて争うところには運営のDさんは関係ないということなんです。

なので、当事者はAさんとBさんになるのです。

そう考えると、AさんとBさんは2人とも参加費を払ったわけですから、当事者双方が危険(損をするリスク)を負担しているということになりますね。

結果、この行為は賭博となり、賭博罪に問われることとなります。そしてこの場合、運営のDさんは賭博場を開帳したということで罪になるんですね。

 

③の場合も②と同じです。

試合を行うAさんとBさんは参加費を払い、双方が危険を負担していると言えるので賭博罪に問われることとなります。運営も賭博場の開帳で罪になります。

 

つまり、Dさんが大会運営を行い、参加者から費用を徴収して賞金・賞品付き大会を開催すると、賭博罪に問われてしまうということなんですね。

なので、賞品を準備する際に賞品に充てる費用は全額運営が負担しなければならないんです。

(ちなみに、「別に参加費を徴収しても、賞品に関しては運営が全額負担すれば問題ないのでは?」と思うかもしれませんがこれでも難しいです。お金を徴収している以上、当事者となる参加者には危険負担があり、賭博罪の成立する可能性が非常に高いです。また、すこし論点がずれますが、徴収したお金を賞品の準備に使っていないという証明は困難です)

 

しかし、参加者から費用を徴収せずに高額の賞品を準備する際には運営のみではどうにもならないときがありますよね。

その場合にはスポンサーというものをつけるしかありません。

是非、XBOXの大会にもスポンサーを…(希望)

 

「参加費を徴収しなくても違法になるケース」 風俗営業法と大会

上記の賭博罪に当たらないようにするためには、参加費をとらないようにすればいいと説明しました。

しかし、参加費を徴収せずに賞品付き大会を開催しても違法になるケースもあります。

そこで登場する法律がこの風俗営業法(以下風営法)なのです。

 

では、さっそく今回の話の元になる風営法第23条2項の全文をご覧ください。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第23条2項

第二条第一項第七号のまあじやん屋又は同項第八号の営業を営む者は、前条の規定によるほかその営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない

 

パッと見はややこしいかもしれませんが、話自体は簡単です。

まずは赤字部分の説明をさせていただきます。

” 第2条第1項第7号のまあじやん屋 ” とまず記載がありますが、これは別に問題ないですね。ただ ” まあじやん屋 ”ってだけですね。

それではこちらの、 ” 同項第八号の営業 ”にはどのようなものがあるかを見ていきましょう。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第2条1項8号

スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

 

「うわっ、読みたくない」と思った方は、別に深く読み込まなくて結構。

例えばゲームセンターなどがこれに当てはまります。

 

そして赤字の部分で注意する点がもう一つ。

それは ” 営む者 ”という記載です。

ゲームセンターという施設や場所を指すのではなく、ゲームセンターを営んでいる人(経営者)を指しているということがポイントです。

 

次に青字の部分を見ていきましょう。

” その営業に関し、遊戯の結果に応じて賞品を提供してはならない ”とあります。

これは「大会などの結果に応じて賞品を提供してはいけないですよ。」ってことです。

優勝賞品などをあげてはいけないということですね。

ただ、遊戯の結果に応じてとありますので結果に関係しないならOKとも判断できます。

「大会の優勝賞品はないけれども、参加者全員にちょっとした賞品を差し上げる」ということならば構わないということですね。

 

すごく簡単にまとめると、「ゲームセンターなどを営んでいる人は、優勝賞品などつけて大会を開いてはダメですよ」ってことです。

 

なので、管理人が実施したような個人開催のゲーム大会だったり、メーカーさんが主催する大会ならば問題はないということです。

 

まとめ

・ 参加費を徴収して開催する賞金・賞品付き大会は賭博罪になる。

・ ゲームセンターなどで賞金・賞品付き大会は風営法違反となる。

以上に2つに引っかからなければ、賞金・賞品付き大会は開催可能。

 

最終更新:2016年10月29日 19:48