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Wonder world

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汝は無知なりや?






 ◇  ◇  ◇






最後の一人になるまで殺し合え。
言葉にしたら簡潔だが、その表面は鋭く尖っていた。
そして、少女達を絶望へと叩き込んだ。

「ん~~~~~~」

だが、一人。その言葉の意味を真に理解していない少女が一人、此処にいた。
少女は首を傾げ、如何にも困惑しているといった風でとぼとぼと街道を歩いている。
その足取りはいつものステップよりも重く、おぼつかない。
背負った荷物も、周りの景色も、彼から放たれた言葉も。
全てが少女にとって未知の認識だった。

「プロデューサーさんは結局、何を言いたかったのでしょう?」

少女――箱崎星梨花は、目をぱちくりとさせながらおもむろに呟いた。
眩い朝日を浴びながらも、星梨花の脚は止まらなかった。

「ともかく、誰かに聞かないと……これも、アイドル活動の一環でしょうし」

自分は他の娘達と比べても圧倒的に無知だ。
胸の大きな女性を男が好む理由も、缶ジュースの飲み方も、プロデューサーに教わる前までは理解できなかった。
今回もそうだ。いきなり、言葉を並び立てられて気づいたら見知らぬ土地で一人きりだ。
無知は罪であり、逃げだ。
これからアイドルとしてだけではなく、箱崎星梨花として生きていく為にも知らぬことは知っておかなくてはならないのだ。
故に、彼女は何も理解していないからこそ、誰かに聞くことを是とする。

「うんっ、それが一番です。親切な皆さんならきっと何をすればいいか教えてくれるに決まってますしっ」

星梨花は無意識の内に過信している。
これまで紡がれてきた輝きは、これからも続いていくことを。
誰一人欠けることなく、皆で一緒に手を繋げるのだと。
そんな保証、何処にもありやしないのに。

「プロデューサーさんもどこかにいるのかなぁ? あの時は一瞬でしたし、今度はもっと長い間お話できますよね」

にっこりと表情を緩め、花咲く笑みを浮かべる星梨花は、此処が地獄の生まれる島だとは一片足りとも気づいていない。
今もまだ、夢の輝きは続いていると愚直な想いを捨てきれていないのだから、本当に“純白”だ。

「楽しみだなあ」

こうしてのんのんと過ごしている間にも無情に人は死ぬ。
輝きを信じていた少女は、怯え惑う少女に手を伸ばすも、その手が取られることなく血の海に沈んだ。
前に進むことを選んだ少女は、諦観で器を満たした少女に何の気なしに撃ち殺され、無様な死体へと成り果てた。
自分の中にある情に従った少女は、憂う少女を救うことも出来ず、道化に討ち取られた。
それを知ってなお、彼女は“純白”のままで足りえる保証はされていない。
黒へと染まり殺意を滾らすのか。赤へと染まり血飛沫の化粧を彩る結末となってしまうのか。
誰一人として、絶対を持ち合わせていない地獄の島で、星梨花はいつまで“箱崎星梨花”を演じられるのか。

「わたしっ、精一杯頑張りますよ~!」

夢の終わりを知らない彼女は、穢れを知らない。
知らなくては進めないにも関わらず、未だ。



【一日目/朝/C-6】

【箱崎星梨花】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、不明支給品1~2
[思考・行動]
1:無知。今行われてるイベントの詳細を誰かに聞く。


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