H3・45

まだ私の脚が動かなかったころ
夏に皆で海に行く事になって
新しい水着を買いに行った

友奈ちゃんが勧めてくれた水着は布地が少なくて
人前で着るのは少し恥ずかしかったけど

「大丈夫だよ東郷さん。私、海の中でずっと抱っこしててあげる」

その言葉で私は買うことを決めた
ただ車椅子の私は試着が難しかったから
家に帰ってから着てみる事になった


そして今、ベッドに横になって下半身に何も着けていない私と
水着の下の方だけ持って真剣な目をしている友奈ちゃんという
他人が見たらきっと勘違いされるような状況になっていた

「ごめんね友奈ちゃん……この水着、腰のところが紐で一人だと上手く着けれなくて……」

胸の方はいつも通りブラの感覚で着けれたけど
下の方がどうしても手間取ってしまう

「大丈夫、私が穿かせてあげるから」
「う、うん」

今まで友奈ちゃんに着替えを手伝って貰ったことは何度もあった
けど状況が状況だけに顔が赤くなってしまう

とりあえず恥ずかしいところだけでも隠そうと両手であそこを庇うけど
そうすると不必要に大きく育った胸が腕に圧迫されて更に盛り上がってしまう

「東郷さん、行くよ?」
「……うん、来て」

私の脚の間にするりと水着を通して
そのまま腰辺りまで引き上げてくれる

「ごめん東郷さん。手、少しどけれるかな? 隙間が出来ちゃう」
「え……で、でも」
「大丈夫、東郷さん、いつ見ても綺麗だから」

その言葉に私は意を決して秘部から手をどける

「えーっと、ここをこうして……うーん、と」

先に片方の紐を結んだ友奈ちゃんはそこで悩んでしまった
お尻の方に上手く水着が回せなくて困っている
私も何とかしようとしたけど、脚に力が入らないので腰を浮かす事も出来ない

「あ、そうだ! 東郷さんちょっといいかな?」
「え、ゆ……友奈ちゃん?」

そう言うと友奈ちゃんは私の脚を優しく広げると
その間に身体を潜り込ませてきた

私の腰に手を回してお尻を浮かせると
その下に膝を入り込ませて……まるで性行為のような体位になる

「これで上手くできるよ」
「す、凄い格好だね……」
「うん、でも他に誰もいないし」

そうは言っても、やっぱり友奈ちゃんの顔も赤くなっている

そのままもう片方の腰紐を結び終えて
ようやく私はこの水着を着る事ができた

「東郷さん、素適……似合ってるよ」
「あ、ありがとう友奈ちゃん」

友奈ちゃんが選んで着せてくれた水着は
青を基調にピンクのラインが入っていて
"びきに?"というものだった

「でも、やっぱりこの水着はやめておこう……かな?」
「ええー! どうして!?」
「だって一人じゃ着れないし、海で友奈ちゃんに今みたいな事して貰う訳にはいかないし……」

友奈ちゃんが選んで、似合ってると言ってくれた水着
嬉しかったし、返品するつもりは無かったけど
やっぱり今の私には無理だと思った

「じゃあ海に行く朝、ここで着替えよう? 私もここで一緒に着替えていく!」
「友奈ちゃん?」
「それに東郷さんがその水着を着る時は私がいつでも着せてあげるから」

友奈ちゃんの瞳は真直ぐ私を見ていて
友奈ちゃんの言葉はいつも私の胸に響く

「うん、分かった。その時はお願いするね?」
「あ……うん♪ いつでもお任せください、姫!」

パッと顔を明るくしてくれた友奈ちゃんを見て
それだけでこの水着を買って良かったと思った


そして、今年の夏からは私は自分で着る事ができるようになった

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最終更新:2015年06月15日 01:00