H2・843

彼女が眠る寝室へと、私はこっそりと忍び込む
誰の許可も得ていないからではなく
彼女が目を覚ましてはいけないからだ

「すぅすぅ……」

瞼を閉じて、小さく可愛らしい唇を震わせながら
彼女は今日も気持ち良さそうに眠っている
私の胸を羨ましいと言う彼女だけれど
主張し過ぎることない慎ましやかな彼女のそれこそ、完成している。と、私は思う

「……………」

そっと掛け布団を剥いで
パジャマに包まれた彼女のしなやかな四肢を眺め
人差し指を優しく押し付ける
筋肉だけの硬さ、脂肪だけの柔さ
彼女の腕や足にはそんな偏りは感じない

「……友奈ちゃん」

パジャマの上から彼女の恥丘に指を滑らせて温める
ゆっくり、優しく、丁寧に、慎重に……

「っ……」

彼女の頬が僅かに紅く染まり始めて
彼女の繊細な秘所を覆う下着が湿り気を帯びてきたのを指に感じて
指圧を少しだけ強くする

「……………」

ほんの指の第一関節半分程度だけれど
彼女の大陰唇は指の侵入を容易に受け入れる
この密かな調教を始めて数日
ようやく……といったところだろう

友奈ちゃんのことが好きな気持ち
それは友情の尺度で測れるものではなく
むしろ憚られて然るべき恋心

だから愛しい人の無垢な体を
この無防備な時間
両親や当人の信頼を裏切って……蹂躙する

「……ごめんね」

それが悪いことだという罪悪感はある
けれど、一度
そう、たった一度魔が差しただけで
私の理性は打ち砕かれた

「……いつもの」

まだファーストキスが残っていると錯覚している友奈ちゃんの唇に
私はゆっくりと唇を重ね合わせる
舌を入れるのはまだ先
舌を絡めあうのはもっともっと先

「友奈ちゃん、朝だよ」

唇を離して、そう囁くと
友奈ちゃんが小さく声を漏らして目を開く

「東郷さん……お早う」

可愛らしさと色気を帯びた友奈ちゃんの寝ぼけた笑み
そこにだんだんと、仕込んだ種が芽吹いていくのを感じて
私は思わず笑みを浮かべる

神樹様どうかお願いします
私を止めてください

「……ふふっ」

私の心に取り付いた魔が
友奈ちゃんを穢しきってしまう前に

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最終更新:2015年06月05日 10:59