これは、俺自身の問題なんだ。俺が、あんたを……直にいちゃんのことをどう思っているのか。ただそれだけの話なんだよ

発言者:日下部優理
対象者:神代直


「おまえは結局どうしたいんだよ、優理!?」

「さっさと幻滅して立ち去れよ!
俺はおまえの考えてるような奴じゃねえんだって、いい加減に分かれよ馬鹿野郎がッ!!」


「わかるかッ……わかってたまるかよ!!」

「あんたの言っていることは受け入れられないッ……認められるわけがないだろうがッ!!」

だから……取り消せよ。幸ねえちゃんを見捨てたなんて、
そんなこと……直にいちゃんがするはずはないんだって」




星海の存在からの使者となったナーラを前に、「愛する人を自分の意思で見捨てた」
………「普通の人間」として、その答を告げ、選別という名の滅びを食い止めようとする直。
その言葉に対し、優理は疑いのない信頼と憧憬を視線に宿し、
「あの日体を張って俺達を守ってくれた直にいちゃんはそんな事をしない」
「やりたくなかった、それでも必死に痛みに耐えて幸ねえちゃんのためにやったに違いない」
「そうじゃなきゃ、守ると誓った人を見捨てるなんてありえない」
───まるで自分自身を弁護するかのような真摯さで、先の発言を取り消して欲しいと訴える。
直は、どこまでも言葉の噛み合わない弟分の姿を前に、人と人との埋めがたい「心の距離」を感じながら。
自らの目的を果たすために、「生きるか死ぬかの瀬戸際でガキみたいに憧れとか眠たい事言ってんな」「誰も()なんかしない」「空気を読め(・・・・・)と、
「正論」を絡めながら偽悪的な振る舞いを続け、彼を失望させ、離れさせようと試みる。

だが彼の思惑は外れ、優理は譲らずに自らの異能を発動させて……
「神代直」はそんな弱くて薄情な人じゃないと、ぶん殴ってでも思い出させてやると告げ――
直ももはや言葉では止まらないと悟り……自分の答えを貫くべく、人の歴史が重ねてきたものと同じく、闘争という手段を以ての解決に応じるのだった。


異形と化した二人の男の対決は、熾烈を極めていた。
その中で、直は「他者を見捨てず守る」のが、お前の信じていた「神代直」なら、
これ以上の惨事を起こさせず人を守ることを何より優先するはずだと、
だが、俺の答えを取り消させたのならば、滅びの結末しか待ってはいない。
お前のやっていることは、矛盾しているじゃないかと糾弾し、飛び掛かる。

しかし、優理は突進する直を触手で捕らえ、幾度も地下街の瓦礫に叩きつけながら、
「直にいちゃん」が、日下部優理という人間にとって、どれだけ重要な存在だったのかを語り始める―――
その眼には、善悪や道理を彼方に置き去りにした、狂気にも似た強烈な感情が渦巻いていた。


「どうでもいいだろ……そんなこと(・・・・・)。これは、俺自身の問題なんだ。
俺が、あんたを……直にいちゃんをどう思っているのか。ただそれだけの話なんだよ。
だからもう、俺たち二人に関係のない話はしないでくれ……悲しくなっちまうから


あんたは、確かに俺の心を救ってくれたんだ。
直にいちゃんが自分のことをどう思っていようと、
それもまた一人の人間に与えた現実の影響なんだよ」


「弱くても、役に立たなくても、おまえのことが好きだって俺に言ってくれたじゃないか。
友達だって言ってくれたじゃないか。
俺さ……あんな風に無条件で誰かに受け入れられたことなんて、他に一度だってないんだよ。
あの言葉だけを支えに、俺はこの十年をクソみたいな陰謀劇の駒として生き抜いてきたんだ」


「あんたにとっては取るに足らない出来事でも、俺の心に刻み込まれた大事な宝なんだよ。
だから……たとえ直にいちゃんであっても(・・・・・・・・・・・・・)、その宝は奪わせないし犯させない



「ましてや人類? 世界だって? 知ったことかよ、なんだそれ?
俺にはもっと―――大事なことがあるんだよ!!





  • プレイ前はまった強烈なホモ枠来たぜって思ってたけどプレイ後だとそういうんじゃなかったな。勿論いい意味で。 -- 名無しさん (2019-06-21 15:12:17)
  • 憧れは理解から最も遠い感情とどこかの眼鏡が言ってた -- 名無しさん (2019-06-22 19:35:09)
  • ↑それには私も同意見だ -- 例の光眼鏡 (2019-06-23 10:40:50)
  • ↑説得力があるなぁ -- 名無しさん (2019-06-23 18:31:48)
  • これは、私自身の問題なのだ。私が、貴方を……閣下をどう思っているのか。ただそれだけの話なのだよ。 -- 名無しさん (2019-06-23 18:59:26)
  • ただ憧れたこそ返答は理解出来なかったが実際は考えてた通りなんだよなあ -- 名無しさん (2019-06-23 20:52:39)
  • このシーン最高だよな。 -- 名無しさん (2019-12-02 17:24:01)
  • 俺が認識できて理解できる領域が俺の世界なんだよなあ! -- 名無しさん (2020-07-22 16:20:25)
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最終更新:2021年02月18日 12:12