親友の行方を探す中、図らずも
縛血者となったアンヌ。
通常の人間とは異なる、その身体の変化を静かに感じ取りながらも、彼女はそれほど不安を感じてはいなかった。
自信が持てなかった以前とは違う、周囲の環境に対する見方の変化……
周りを俯瞰する視点、「違う」という事の優越感に、少女の心は今までにない自信で満たされていた。
そうしてアンヌはまだ縛血者となっていなかった頃の友人が語っていた言葉を思い出す。
「日常」という軛を窮屈だと厭い、それを脱却したい、「飛び出したい」と強く願っていたケイトリンという少女の言葉を。
『あのさぁ、アンヌ……鳥っているじゃん。あいつらって、なんであんな風に飛べるんだと思う?』
―――それは……なんだろ。翼があるから……じゃないかなぁ?
『あんたさぁ……あたしの質問の意味、真面目に考えてる?』
―――ご、ごめんね。わたし、ケイティと違ってどんくさくて………
『だからー、そういうのがアンヌの駄目な所なの。すぐ諦めたり、限界を決めつけたり』
『……あんたの逆なのよ。鳥ってヤツは』
――――逆?
『ほら。あたしたちって、高い所に飛び移る時とかってどうする? ジャンプするじゃん』
―――うん。ジャンプしないと、届かないもんね。
『でも、鳥は普通ジャンプしない。あの空めがけて、ただ飛ぶんだよ』
『跳躍じゃなくて、飛翔。次元が違うんだ』
――――でも……人間は鳥じゃないからしょうがないよ、ケイティ。
『────そんなことないって。飛べるって意識。
それが大事なんじゃん? 自分が空に行けて当然っていう意識がさ』
- そもそも鳥は飛ぼうとか考えてるんだろうか。まぁ、ここで鳥で暗喩してる「本物」は凡人と違って、当たり前のように上へ昇っていく連中を指してるんだろうけど。 -- 名無しさん (2019-02-10 11:04:47)
- まあ、思い一つで超人になった白木の杭や総統閣下が居るからな…だが、人間を棄てるのはどうなのか? -- 名無しさん (2019-02-10 12:55:53)
- ↑2鳥は進化の過程で「飛ぶ」という意思によって翼が発達したらしいって何かで見た -- 名無しさん (2019-02-10 13:53:34)
- ↑飛ぶという意志が種全体で続いて飛ぶという形質が残ったのか、それとも飛ぶことが必要な環境だったから飛ぶという形質が残ったのか、っていう話だったっけ、それ?うろ覚えだから違うかもだけど。 -- 名無しさん (2019-02-10 14:19:48)
- ゼファーさんには最も遠い概念かもしれない・・・ -- 名無しさん (2019-02-27 17:03:36)
- ↑あの人は自分自身飛べる鳥の癖にもっと高い所を飛んでる鳥を見て自虐しちゃうような人だから。自分が白鳥だって気づいてないか白鳥だったことに価値を感じてないアヒルのようなもん。 -- 名無しさん (2019-02-28 01:04:09)
- ゼファーさんは、飛べない、自分みたいな奴は空に行けなくて当然、という意識を当たり前のように抱え込んでる人だから。翼は割と立派なの持ってるくせに。そして、翼を持ってなくて欲しくて仕方ない人の前で愚痴とか言っちゃうのだ。 -- 名無しさん (2020-07-11 18:29:08)
最終更新:2020年07月11日 18:29