輝くのは、価値があるのは……そうじゃない人間が、力と勇気を示してのけた時こそだろうがッ!?

発言者:秋月 凌駕
対象者:緋文字礼


憧れであり、始まりであり、偉大なる壁である揺るがぬ強さを抱く超人親友に対して
迷って揺れて過去の傷を引きずって、傷だらけにならなければ生きていけない只人であると自分を蔑む緋文字礼
そんな彼に対して告げた超人その生き方こそ自分には決して出来ない素晴らしく尊いものなんだという尊敬の言葉。
只人が超人の揺るがぬ強さに憧れるように、超人も只人の自分には持てない輝きに憧れるという、
後の作品でも描かれた超人と只人の熱き友情が描かれたシーンである。


「礼……これは全部、あんたに勝ちたいと思う俺の執念が至らせた力だ!」

「見てくれ、どうだ凄いだろうって……
餓鬼の頃、集めた宝物を友達に自慢したがるような、誇らしい気分で一杯だッ!」

「それは……君の正しさや強さを、僕を打倒して証明したいという事か?」

「いや、違う───そんな優劣なんか、どうでもいい。
俺が今あんたに感じているのは、そんな事じゃないんだよ……礼!」


互いに真理へと至り、子どもの頃のように互いに集めた宝物を自慢し合い、日が暮れるまでずっとこの相手と一緒に遊んでいたい……
そんな、持て余してしまいそうな情熱を剥き出しにして、鋼拳を繰り出し続ける凌駕。


「こんな気持ち、判ってもらえないかもしれないけど……なァッ!」

「いいやッ……判るさ。判るとも!」


熱き凌駕の思いを聞き、礼もその心情に深い共感を示しながらも、ある事を問いかけずにはいられなかった。

「けれど何故……何故なんだ? 君のような優れたものが―――
「僕のような劣った者にそんな気持ちを抱くという……!? 答えろ、凌駕!」

「優越感か? 憐憫か? そんな出来損ないで良くぞ頑張っているなどと――君は僕にそう言いたいのか!?」


そんな真理という高みにまで至りながらどこまでも自分に対する評価が低い、
とことんめんどくさい親友に呆れを通り越し、激怒の感情さえ滲ませながら凌駕は叫ぶ―――


「いいか、良く聞け……一度しか言わないからなァッ!」

「そもそもあんたは凄いんだよ!さっさと気づけッ、こんなこと!」

「ああ畜生ッ、本当にもどかしい……なあ、生まれつき力も勇気もある人間が能力を示す。
そんな事は当たり前なんだよ、鳥が飛ぶこととなんら変わらない」

「輝くのは、価値があるのは……
そうじゃない(・・・・・・)人間が、力と勇気を示してのけた時こそだろうがッ!?」

「簡単な話だ。それ(・・)は俺には絶対出来ないことだから」
「逆なんだよ……俺はいつまでも、空を飛ぶことしか出来ないんだ。あの支配者みたいに」


過去にある嘆きを振り返り知った上で勇気を持って明日へ踏み出す事が出来た目の前の相手と違って、
自分はただ前を向くことしか出来ていなかっただけだったと……
傷一つない欠陥品(・・・・・・・・)である己には、想像することすら叶わない生き方があったということを。


「礼! あんただからこそ出来たことだろう。過去に苛まされて、
何度挫けても立ち上がってきた不屈の男……緋文字礼、だからこそ!」

「だから――どうか頼む、誇ってくれ。俺はこんなに凄いんだぞと……
さあ、どうだ越えてみろ、かかってきやがれ小僧がと……!」


「どうか見下ろしながら、あんたの居る場所の輝きを――見せ付けてみろよッ!」

―――ほら、俺も同じだ……腹立っているんだよ、要するに」

「どうして自分はこうなんだって……
あんたに勝ちたくて仕方が無いってなァ!」


緋文字礼こそ、秋月凌駕の好敵手にして親友。最強の味方にして、最悪の敵。
俺の人生に影響する全てであり、誇り。そして誰よりも乗り越えてみたいと願う存在なんだよと……
ようやく認められた本心を荒れ狂う感情に任せ、今も不安に惑う相手にぶつけてゆく。


「勝ちたい、だと。君のような存在が……この僕に……?」

「ああ……そして、そんなに凄い奴と渡り合えている自分が、
倒せないこの今が、誇らしくて苛立って何もかもゴチャゴチャだ……!」


そして凌駕は、親友の仮面の奥の素顔に向けて語りかける。

「なあ礼、あんたもそうだろう?
言わなくても、俺にはもう判っているんだ―――


その言葉と共に、激戦によって限界に達した礼の仮面が粉々に砕け散る。
もうそんなもので隠す必要などなくなった、と示すかのように……。


「ほら―――」


――そこには、真っ直ぐに目の前の相手だけを見つめる視線があった……。


「やっぱり、俺と同じ 表情(かお)をしているじゃないか」



ひたすら見上げる憧憬と、それを超えてみせるという決意と、
何よりも……そんな相手に向ける信頼とが籠められた表情と共に。


「そうか……今の僕も、そんな貌をしているのか」


礼の口からは、嬉しさとも、悔しさとも、苦笑ともつかない複雑な感情の籠った声が吐き出される。
そして二人の男は、互いに同じ罪悪感を相手に抱いていたことを知ったあの日……
似た者同士だったと感じ、困ったように笑い合ったあの時間を思い出したように、言葉を紡ぐ―――


そうだとも、そうだろ親友。

俺たち、こんなに馬鹿なんだから。

賢そうな顔をしていながら、無茶しかできない向こう見ずで。



「俺達は、何処まで行っても似た者同士」


「どちらも相手に、無い物ねだりをしてばかり」



「諦めの悪い所までそっくりだ――ああ、腹が立つぐらいになァッ!!」


「はッ、こっちの台詞だ――さっさと這いつくばりやがれッッ!!」




『――この、どうしようもない大馬鹿野郎がッ!』


『――この、どうしようもない大馬鹿野郎がッ!』




そう迸る感情のまま吼えた二人は、
拳と刃を交えて、さらなる高みへと向け、殺意(ゆうじょう)を確かめ合っていく……





  • やっぱり凌駕さんって同姓愛者? -- 名無しさん (2017-03-21 22:06:21)
  • まだ貞操観念が高く学生結婚とか持っての外みたいな時代に県下一のお嬢様を在学中に孕ませたり、冷戦時代なのにソ連の軍人を口説き落としたり、西洋ロリに手を出したりする漢やぞ -- 名無しさん (2017-03-21 22:09:59)
  • やっぱ想いをぶつけ合う親友同士の戦いは心が震えるな -- 名無しさん (2017-03-21 22:11:32)
  • まぁ歴代で一番ヒロインより男の影の方が濃い作品ではあると思う、ゼロイン -- 名無しさん (2017-03-21 22:59:39)
  • お互い、相手の方が上に見えてて、自分の方が下って劣等感感じてるってのは後のシリーズでも多いしなぁ -- 名無しさん (2017-03-22 11:54:35)
  • 「お前(凌駕)みたいな一般人と隔絶した存在になりたい」→ベイ・シュライバー・セージ・2Pセージ・礼さん・真栄城司・本気おじさん -- 名無しさん (2017-03-24 12:17:07)
  • ↑ベイはあくまで『吸血鬼』に対するこだわりがあったしクラウディアとの交流次第で云々あるから違うんじゃないか。 -- 名無しさん (2017-03-24 12:21:29)
  • まあ、凌駕や礼さんはクラウディアを劣等だの見下すだのの行為はしないだろうしな。上記のベイ以外の連中はあるかもしれないけど。 -- 名無しさん (2017-03-24 12:23:14)
  • 本気おじさんの理屈「本気を出して強くならない奴は駄目だ」を地で行ってるからね。ぶっちゃけ光の奴隷は大概そういう連中だ。 -- 名無しさん (2017-03-24 12:24:41)
  • ↑尚、オルフィレウスは最初から勝ち組でありながらこのままでは駄目だという変化球。 -- 名無しさん (2017-03-24 12:26:34)
  • やっぱオルフィレウスも大概面倒臭いなオイ -- 名無しさん (2017-03-27 19:16:49)
  • あの人は才能もあって努力し続けた結果、自分だけでは頭打ちしたからね -- 名無しさん (2017-03-28 06:33:24)
  • 臆病者が勇気を示す場面は尊い、ってのはヴェンデッタのルシードの最期がまさにそうだよね。奇しくも中の人は凌駕さんと同じという -- 名無しさん (2017-04-08 08:44:29)
  • あれよルフィが親玉を倒すよりウソップが必死で知恵と勇気を振り絞って中ボスを倒すシーンのほうが燃える的な割とよくある話。なのでそろそろ「すげえ奴がすげえことし続けるほうがすげえに決まってんだろ。弱者が必死にもがく姿が格好いいなんてのは結局強者の余裕かザコどもの安全圏からの自己投影オナニーでしかねえんだよ」みたいなこれを大々的に揶揄する敵キャラとかきそう・・・もういたっけ? -- 名無しさん (2017-04-08 10:22:34)
  • ↑オルフィレウスが似たことは言っている。短期間の成長で強者を下すのは要はそういう弱者の下卑な快感を覆い隠すための理論武装に過ぎんとかなんとか -- 名無しさん (2017-04-08 10:48:48)
  • 判官贔屓の一言で済む話だし、正田作品の方でも似たようなこと言ってるからなぁ。「そういうのを否定して、弱者に当たり前のように勝つ強者を讃えて自己投影するのも結局オナニー」なんて返しも出来ちゃうし。「強者に自己投影して、ちょっと苦労しただけの弱者に倒される理不尽にMっ気の快感を感じてるのだ!」とか言い出したら吹くが -- 名無しさん (2017-04-08 12:11:48)
  • 力量差の問題でなく、臆病者が勇気を振り絞る展開に燃えるのさ。Hellsingのペンウッド卿とか、ブレイクブレイドのザンス殿とかね -- 名無しさん (2017-04-08 19:52:28)
  • 雑魚だろうか強者だろうが魂かけて行動するものは心を震わせるってイヴァンさん言ってるから -- 名無しさん (2017-04-08 20:39:27)
  • イヴァンさんと本気おじさんの差はその辺よな。イヴァンさんは結果に繋がらなくてもその過程に輝きを見出しているが、おじさんは本気さが足りないって切り捨てる -- 名無しさん (2017-04-08 20:41:45)
  • おじさんは基本結果で評価するからね。ある意味上司向けではある。 -- 名無しさん (2017-04-08 22:36:56)
  • イヴァンさんは逃げようが必死になって抗うが受け入れるとか本人の意思で決めたなら全部評価してくれるしな -- 名無しさん (2017-04-09 02:44:08)
  • 眼鏡とおじさんは「本気でやれば人間に不可能はない」って信じ込んでる英雄の光に脳みそやられた病人だからな、仕方ない。こうしてみるとイヴァンさんって本当にまともだな... -- 名無しさん (2017-04-09 03:24:16)
  • 総統閣本人は、ミリィやルシードとの問答で精神の輝きを賛美してたのにねぇ -- 名無しさん (2017-04-09 09:55:11)
  • ↑なお評価しても賛美しても結論は「だが殺す」な模様 -- 名無しさん (2017-04-09 21:21:17)
  • ↑自分の障害にならない限り守り抜こうとしてくれるから・・・・・・ -- 名無しさん (2017-04-30 21:46:39)
  • ⁇「思い1つで人は誰でも輝き続けれるのだ!」 -- 名無しさん (2017-04-30 22:37:41)
  • ↑2マイナ姉ちゃん「せやろか」 -- 名無しさん (2017-04-30 23:39:03)
  • ↑糞眼鏡は絶許 -- 名無しさん (2017-06-03 11:31:04)
  • 凌駕「輝くのは、価値があるのは……そうじゃない人間が、力と勇気を示してのけた時こそだろうがッ!?」魔王大尉「よろしい。ならば、ぱらいぞだ」 -- 名無しさん (2017-06-20 16:52:08)
  • ヘリオス「輝くのは、価値があるのは……そうじゃない人間が、力と勇気を示してのけた時こそだろうがッ!?」 -- 名無しさん (2017-06-20 18:27:03)
  • ↑むしろ、それができない世界だから俺が変えてやるぜって言った方やないですかあなた -- 名無しさん (2017-06-21 22:47:11)
  • ?????「然り!全ては心一つなり!」 -- 名無しさん (2017-12-08 06:44:01)
  • ここのCGの凌駕さんの顔、なんかシュールだった -- 名無しさん (2017-12-08 14:26:54)
  • 礼さんの仮面が壊れての第一声、「ほら、やっぱり、俺と同じ 表情をしているじゃないか」の声が優しすぎて礼さんがヒロインの意味が完全に理解出来た。 -- 名無しさん (2020-02-22 14:50:33)
  • これどういうことなのかようやく最近分かって来たけど、ヴァルゼライド総統は怪物のまま同じ同類を見付けてしまった結果として絶対に人間の方には死ぬまで戻れなくなっちゃったんだな… -- 名無しさん (2022-12-08 09:17:36)
  • これに対していいや違う!優れたものはきちんと評価されなければならないんだ!英雄譚の結末が悲劇であってなるものか!って何処までも熱い想いを叫んだのが糞メガネなんだよなぁ -- 名無しさん (2022-12-12 04:20:26)
  • 言いたいことはわかるけどやらかすことがどうしようもないから擁護出来ねえんだよな糞眼鏡… -- 名無しさん (2022-12-14 10:01:10)
  • 凌駕やヴァルゼライドは「自分には諦める選択肢が無いだけ」って思ってるからな それより大事なものなんて無いから  -- 名無しさん (2022-12-14 19:21:34)
  • 「普通の人は色んな大切なものを守る為に社会正義を守ってるけど自分達はそうじゃないので他の人が正しいことをする難易度と自分達が正しいことをする難易度は全然違うんだ」ってのがこの主張よね -- 名無しさん (2022-12-14 19:26:10)
  • ヘリオスとか何故にこの手の人種?は只人を過大評価するんだ… -- 名無しさん (2022-12-22 01:48:42)
  • ↑それが過大評価って訳でもなくてさ、この手の人種にとっては自分じゃ「絶対に」出来ない事だから評価してるんだよね。どうやっても只人になれないから只人が色んな誘惑や恐怖に負けないで出す勇気とは「難易度」が違うから。 -- 名無しさん (2022-12-22 03:21:39)
  • どうやっても手に入らない、一緒になれないのが超人と只人で只人の方がずっと仲間が多いからな、人間の本能として仲間を求めるのはどんな超人達も変わらん -- 名無しさん (2022-12-22 03:32:55)
  • 最初からそれ以外に何も選択肢が無いだけの光の奴隷達はある意味世界で一番勇気の無い、手に入れられない人達 -- 名無しさん (2022-12-22 14:16:23)
  • 総統閣下はそれに対して過剰なまでに自覚的で自罰的だったけどだからといって示してきた光が毀損される訳では無いだろう -- 名無しさん (2022-12-23 00:03:39)
  • 俺みたいな大事なものがそれしかないから頑張れるだけの塵屑がアドラーに居るのはまともに頑張ってるヤツへの侮辱だって思ってそうな総統閣下。まあ分かる、ハードル走で一人だけ障害物無しに徒競走してるようなもんだからな。 -- 名無しさん (2022-12-23 01:13:59)
  • 価値観合わないって地獄だよね 周りも自分も -- 名無しさん (2022-12-23 01:24:02)
  • ↑2故に踏み躙ってしまった者達の為にも身を削りながら燃え尽きるまで全力疾走を止められないのが総統閣下クオリティ -- 名無しさん (2022-12-27 02:31:22)
  • ↑3 「皆ハードル走やってるのに自分だけ徒競走やってる」ってスゲー分かりやすいな -- 名無しさん (2023-04-03 06:19:03)
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最終更新:2023年04月03日 06:19