製作者 | 高架橋下のアイツ |
出場大会 | 第六回大会 |
設定
最初は、ただうるさいからという理由からだった。
ただの厄介払いが「喧嘩の仲裁」 という人助けに変わったのはいつからだったか。
争いに満ちた学園の片隅で続いたそれは調和を学園にもたらし、
いつしか人を集めて組織になり、学校に名前を与えられた。
学園の調和は卒業まで続いた。
調停委員は「学園全体の調和」という理想を実現させるにふさわしい役職だった。
自分は長として組織をまとめ、仲間とともに役割を全うした。
いつしか、規律と学校を守るこの仕事に誇りを持っていた。
いつか教師となって戻ってもこの調和は続くと、信じていた。
戻る日まで、重大な事実に気づけなかった。
かつての調和は、自身の理想があってこそのものだった事実に。
調和をもたらしたその役職は、個人の理想に大きくされる現実に。
たった6年で、かつての平穏は崩れ去っていた。
不当な暴力と権力をかざすものによって「調停者」は「独裁者」へ変わってしまったのだ。
今の委員にとっては、力こそが全て。
彼の歪んだ理想はすぐに学園をかつて以上に劣化させた。
彼に従い、暴力をふるう者たちが蔓延り、逆らうものは、容赦なく彼らに潰された。
取り除かなくては、学園の調和を乱すものを。
止めなくては、独裁者を。
打ち勝たなければ、初代委員として。
全ては、学園に再び調和をもたらすために・・・。
名前:マテリア・スラスター
所属部活動:工学研究部
学年:3年
才能:機械改造
機械いじりが趣味の18歳。感情の落差は激しいが、正義感が強く、他者にも自分にも厳しい。
5歳の時から機械改造の才能を開花させ始めると同時に、その非凡さから、周囲から極端に孤立するようになった。毎日の話し相手はほとんど父親だった。
学園の卒業生で、教師でもある父はいつも
「先生の仕事と一緒に、学園を守る手伝いもしている」
と話し、ヘトヘトになって帰ってきてはその日の武勇伝や、調停委員のことについて語って聞かせた。
「調停委員は、学園すべての調和を何より愛する組織だ」と。
マテリアは大変な思いをして学園を守る彼の仕事にいつも憧れていた。
そして、いつか彼と同じように、調停委員として人を守る存在になろうと、一層才能の研磨に励んだ。
学園の入学式の日に、彼女に初めてとなる友人ができた。マテリアと違い、優しくて誰も好かれる優等生。1年の留年で学校の事情に詳しかった。最初は好きな
ロボットアニメの話や互の才能の話で盛り上がり、親が学園の卒業生という共通点も相まって気づけば一緒に下校する仲になった。
入学から3ヶ月経った頃、学生の集団失踪事件が起こった。
学園独自の調査の結果、自身の所属する3年の先輩が検挙された。
が、後の警察の調査で先輩が無実であることと、調査をした学園の調停委員が偽装工作に加わったことが証明され、物議を醸した。
この事実に納得のいかないマテリアは友人にこの学園での調停委員について聞いた。
友人はまず、マテリアの父がかつて何度も調停委員に選ばれていた事実を説明した上で、こう話した。
「彼は、着任して3年目に調停委員に選ばれたその日から、何年かごとに辞任と着任を繰り返し、選ばれない間もずっと影で調停委員を操り続けて、着任の度に
自分の思想に反する者の集団暗殺や追放を繰り返し行っている。僕も、彼の部下の濡れ衣を着せられたせいで留年させられてしまった。」
調停委員は「調和を守るために戦う組織」であったはずだ。私の知る調停委員はそんなことはしない。
そう言ったマテリアに友人は1枚の新聞記事を差し出した。
「菩氷学園 史上初の卒業生なし」「職員の指示か」
日付は彼が調停委員に2度目に着任した年度の3月。記事には、学園内に存在する力量格差と、当時の学園で独裁者と呼ばれた調停委員「物理教師 スラスター氏」の存在が事細かに記されていた。
その記事の内容は、まさに彼女が抱き続けた理想を打ち砕くにふさわしいものだった。
あまりのショックに呆然とする彼女に友人は囁いた。
「終わらせたいなら、君が調停委員になって彼をやめさせればいい。僕も手伝うよ。」
彼女は、友人と共に選挙での八百長を計画。愛用の電動ドライバーを改造し、簡易的な武器をつくった。
だが選挙当日、友人はマテリアを裏切り、勝利する。そして、実力で勝ち上がってきた父と対峙すると、「これが、父さんに逆らった罰だ」と言い放ち、ためらいなくマテリアの目の前で心臓を貫き、調停委員の座を手にする。
友人は着任したその日から厳しすぎるスクールカースト制度を設けた。力あるものにとって校内暴力は当たり前、上位なら校内犯罪も見逃される。下位生徒はま
るで奴隷のような扱いを受け、上位の濡れ衣をかぶせられる毎日。そんな学園の様子を見て、友人が浮かべた愉しそうな笑顔を、マテリアは忘れられなかった。
友人が止めをさしそこねたおかげで一命を取り留めたものの、父はあの日から目覚めない。
友人は何もかも変わってしまったようだった。
あの日以来、話しかけられることもなくなり、話しかければ周りの下位生徒と同じようにゴミを見るような目で睨むだけ。
父の眠る病室でひたすら悩み、考え続けた。
どうして、そうまでして座を手にする必要があったのか。
どうして、わざわざ私に近づいてまで裏切ったのか。
どうして、父を殺す必要があったのか。
どうして・・・。
友人の行動に疑問を持ったマテリアは資料室に忍び込み、徹底的に過去の資料を漁った。
すると、調停委員が発足したばかりの頃の資料ファイルを発見した。
資料ファイルには栄誉賞の盾を抱いて仲間と共に記念写真を撮る若き父の姿と彼の「理想」を綴る新聞記事、そして友人と同じ苗字の人物の逮捕状が挟まっていた。罪状は「人権侵害・殺人罪」。日付は彼が教師として調停委員に初めて着任した年。
「父さんに逆らった罰」…。彼も、私と同じだったのだ。親に憧れ、目指しただけ。1つ違うのは、友人も、彼と父も間違った思想に囚われていたということだけ。
ならば止めなくては、友人として。
全ては、父の夢見た「理想」のために。
・武器 ギアチェンジアブル・ボウラー
愛用の検電器を変形させて出来上がるドリル。
腕に装着し、内部にあるレバーを調整することで稼働させる。
ただし、本体自体重い上に回転で更に腕に負担が掛かるため、側面についた取っ手に片手を添えないと腕が大変なことになってしまう。
また、ドライバー形態時は空間に座標を設定して壁を作ることが可能。
なお、動作に必要な動力は背中に背負うバッテリーから5mコードを通じてドリルに供給されている。
・技
>電動ドライバー
・ポイントセット
空間にドライバーの先を合わせて、座標を固定(ポイント)する。
単体では意味がないが、複数の点を結合(セット)することでその場に固定された線や壁の役割を果
たす。つないだ線、面上に何かしらの物体がある場合はその座標上に一緒に固定されてしまう。
>ドリル
・ボーリング
掘る、削る。それだけ。5cm鋼鉄板なら1秒あれば余裕で穴があく。
器具のあいだにものを詰まらせないよう気を付けよう。
補足