八坂井日和 (「戦争」編)

 

 

 

製作者 ミズキ 
出場大会 第十回大会 
経歴  

 

 

 

 

設定

プロフィール:
『八坂井流古式戦闘術』の八代目にして、唯一の門下生。
八坂井流は純粋な戦闘術の系譜にあり、いついかなる状況においても常に優位に立ち、全力をもって敵を討ち伏せることこそが極意である。
そのためには、場所や時間、手段、武器を問わない応用力こそが重要であり、そのための鍛錬として常々実戦形式の稽古をつける荒々しい流儀である。
他流派からはその「なんでもあり」のやり方から煙たがられ、粗野にして稚拙な流儀と罵られるが、八坂井流において全身全霊を持って相手をすることこそが礼と考えられている。
自らが課したルールに縛られ、その土俵でしか戦わない他流派こそ稚拙であり、ぬるま湯に溶いた葛であると豪語する。
しかし、そんな時代はとうの昔に過ぎ去り、今は科学の力が世を支配している。戦いとは無縁の生活を人々は送り、武芸の諸派はことごとく衰退の道を歩むこととなる。
八坂井流もご他聞にもれず、元々少なかった門下生もことごとく離散、今では道場で一人稽古をする彼女の姿だけがその名残である。

彼女の父母は既に亡くなっている。母は幼い頃に病に倒れ、父も彼女に八坂井流の極意を伝える際に彼女の倒された。
そう、実の父を手にかけたのは他でもない彼女自身であった。
「流儀故致し方なし」と父は笑って死んでいったものの、やはり彼女の心の内は後悔の念に苛まれ、衰退の一途をたどる道場を続けているのもひとえにその後悔の念からくるものである。
「弱きものは淘汰され、衰退するもの。八坂井流とて同じ」と彼女自身に言い聞かせ、境遇を甘んじて受け入れ修行に励み続ける。
しかし、こうして俗世から逸脱し、修行に励むことこそが、現実逃避ではないかという心の葛藤を常に抱え続けてきた。
こればかりは精神鍛錬においても未だ克服できない心の傷となり、彼女を蝕んでいる。
そうやって街の片隅から、そびえ立つ科学タワーを苦々しく見上げる日々が続いていた。

しかし、そんな彼女に転機が訪れる。
科学タワーによりもたらされていた安寧は崩れ去り、街は超能力という強大な力によって支配されようとしている。
そして彼女自身も超能力に目覚め、その力を持ってして世に返り咲く機会を得た。
彼女自身が得た超能力は、金属を自在に操る能力であった。彼女の周囲に存在する金属は自在に形を変え、彼女の意のままに操ることが出来た。
八坂井流を受け継ぐ彼女にとって、この能力は願ってもみない能力であり、これまでのノウハウを遺憾なく発揮する最適な超能力であった。
「この能力を持ってすれば…!」と息巻き、対能力者部隊への参加を志願する。
すべては八坂井流最強の証明のため、父母の残したもののため、ひいては自身の実力を披露し試すために全力で大会へと赴く。

(ここまで科学都市編と同一)

しかし、それも敗北という形で終わった。
新たに得た能力をもってしても、八坂井流最強を誇れなかった。
しかも、力及ばず降参という最悪の形をもっての敗北。それが何よりも自分を追い立てることとなった。
日和に敗北の名を刻み、対能力者部隊隊長となったエミット・ブラナーから部隊参加の要請もあったが、それも断った。
日和が何よりも求めたのは「八坂井流最強」の称号だけである。
それを達成できなかった彼女は自棄になり、自らの道場かも追い出され、流浪の生活を送る事となる。

そんな日和に救いの手を差し伸べたのは科学者エルザという10歳の少女だった。
二人が出会ったのは、科学タワーの下。日和が恨みがましくタワーを見上げていたところである。
日和のぼろぼろに擦り切れた裾を引っ張ったのがエルザである。
「お姉ちゃん、どうしてそんなに怖い目でタワーを見つめているの?」そう問われた。
さすがに幼き少女からの無垢な瞳を向けられて、ばつが悪くなった日和は目を伏せる。
別にタワーが憎い訳じゃない。自分のふがいなさが何よりも憎かったのだ、とは言い出せない。
「お姉ちゃんも科学タワーでつらい目にあったのかな?それにしてもすごくやつれてる。ご飯でも食べて元気出しなよ」
そう言われ強引に科学タワーの中へと招かれることとなった。

その後、日和は科学タワーで生活することになる。
科学タワーでの生活は決して裕福なものとはいえなかったが、それでも流浪の生活よりはかなりまともであった。
そして何よりもエルザの存在は日和の中でとても大きなものになっていた。
天真爛漫で人懐っこい性格で世話焼き、まるで小さな母を持ったようだと、日和は思った。
母が存命であれば、こんな関係が築けていたのだろうかと思うほどには、エルザは包容力のある少女であった。
心身ともに疲れ果てていた日和は、その優しさにほだされ、いつしか八坂井流最強などどうでもよくなっていた。

エルザは天才的な頭脳の持ち主で、「インスレーション・プログラム」という能力者犯罪の対策プログラムを作成していた。
これが無事完成すれば、人類が心の進化を遂げるまで、能力者は力を失う。そうすることで、再び元の平和な世界へと戻る。
「ドクターの本当の願いを、みんなが幸せになるような形で見守っていたい。」そうエルザは語った。
そんなエルザに日和は、インスレーション・プログラムのモルモット役を買って出た。
人類の真なる進化、そして平和な世界。八坂井流には縁遠い話であったが、今の日和にとってはとても心地よい言葉であった。
そんな未来をエルザと見てみたい。日和もそう思ったが故の申し出であった。
エルザは最初反対していたが、日和のたっての願いとあり、協力を受けることとなった。
日和の協力もあってか、インスレーション・プログラムの完成はかなり早まったという。
そうして、インスレーション・プログラムの完成間近となったころ、事態は動き出すのであった。

囚人たちの脱獄と科学タワーの占拠である。

日和はエルザをかばい、インスレーション・プログラムの実験場に身を隠す。
そして密かにダストシュートから逃げ出そうとしていた。しかし、エルザがこう提案した。
「お姉ちゃんはタワーの正面から脱出して。お姉ちゃんの力なら出来るでしょう?」
「お姉ちゃんがタワーの中の敵をやっつけてくれたら、私がインストレーション・プログラムを起動させるわ。」
「まだ未完成だけど、私たちのいる科学タワーだけなら能力者は手出しできなくなる」
「その間に、お姉ちゃん達で悪い人たちをやっつけて。私は出来るだけ早く、人類の心の進化を促してみるわ」
日和はその言葉を信じ、タワー内の脱獄囚たちを蹴散らし、タワーを脱出した。
一瞬の後、タワーが青白く光り、プログラム発動の合図を送る。
そして、エルザのインストレーション・プログラム発動を告げる関の声も聞こえてきた。

今は守るべきものがあるから、帰るべき場所があるから戦える。
父母の死も乗り越え、絶望の淵から這い出してきたのだ、今更なにをためらうのか。
今、八坂井日和の命を燃やして、未来を紡ぐ太陽が昇らんとする。


「八坂井流奥義伝承者、八坂井日和!推して参る!」

 

技:
・八坂井流古式戦闘術 ― どんな状況においても全力で敵に相対し、勝利することを信条とした武芸の流派。
剣や刀、弓、槍、鈍器、素手などの純粋な武器はもとより、罠や地形なども利用して敵を討ち滅ぼす。
そのため、技術はもとより応用力を求められる文武両道な流派。
器用貧乏になりがちだと思われるが、それぞれの武術の達人と同じ土俵で戦ってもなんら引けを取らない。
これこそ、八坂井流の応用力と徹底した鍛錬によってなせる業である。
日和の能力によって、金属の多い都市部や閉鎖空間では特に力を発揮することが出来る。

・八坂井流奥義「神手豪拳(シンシュゴウケン)」 ― 練り上げた気を黄金のオーラとして自らの拳から放出する技。
パンチそのものが直撃すれば、必滅の威力を発揮し、相手の身体を内側から崩壊させる。
直撃せずとも、発せられたオーラは衝撃波となり相手に牙を剥くだろう。
このオーラは金属を良く伝わる性質を持ち、彼女自身の特殊能力と合わせて使うことで父から受け継いだ奥義の更に先を見出した。

・半径5mの鋼鉄女王 ― 彼女を中心とした半径5mの球形空間において、金属を自在に操ることが出来る。
名前の由来は、金属で出来たあらゆるものを創造することが出来るため。
しかしながら、作り出せるのは彼女の知っているものだけなので、精密機械などは作成に手間と知識が必要になる。
また創造・変形だけでなく、金属を移動させたり浮遊させたりすることも可能である。
金属針を高速で撃ち出して遠距離攻撃したり、浮遊盾のようなものを身に纏うなど、全距離において攻防一体の能力であるといえるだろう。
この能力を遺憾なく発揮するため、彼女は鋼鉄製の武器や防具を常日頃から多数所持している。

 


補足

 

 

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最終更新:2016年03月25日 19:59
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