設定
昔々海を越えた遠方の大陸、森の奥地にあるその村に一人の子が生まれた。
どこにでもいる様な平凡な子、ひとつ違ったのは…
彼の母親は"Dullahan-デュラハン-"であるということだった。
彼女だけではなくその村の村長も、兵士長も、近所のおばちゃんも、町のガキ大将も…皆、首の無いデュラハンであった。
人の世はデュラハンを"死の権化"と称し、古来より滅されし者として虐殺してきた。
それに呼応しデュラハンもまた死を告げに町を一つ一つ襲い沈黙させてきた。
しかし国の王たちは兵を募り、デュラハン共を一人残らず根絶やしにせんと誓い一つの聖戦を始める。
魔法を操るデュラハンといえどその戦力に圧倒され、絶滅への道を辿りつつ聖戦は終わる。
今では生き残ったデュラハンは一同に会し森の奥地でひっそりと暮らそことを決める。
"人とは関わってはいけない"それを掟とし数十年の時がたつ。
そんな忌まわしき村に忌まわしき人とデュラハンのハーフが生まれた。いや、生まれてしまった。
人の子として生まれてしまった彼には無くべきもの"頭"があった。
少年や彼の母が村から孤立するまでそう長くはかからなかった。
気づいた時には父親は居なく、日常的に虐めを受ける少年に味方するのはお母さん以外居ない。
そんな彼も自分のお母さんが大好きだった。
村は滅んだ。
デュラハンの残党は王国の命により根絶やしにされた…と思われた。
少年とその母は逃げた、山を超え海を越えとある島国に。
そこで彼らは一人の鍛冶屋にであう。出会いはほんの些細な理由であった。
「あ、あんた首は…いや、何も言わんでええ。おれっちには判る、あんた"妖怪"ってやつだろう!いや、なっつったっけな…
座敷なんたらってやつだろう!頼む!おれっちの鍛冶屋はもうだめだ!おれんちに留まってくれ!頼む!」
言葉も通じない母とその少年をその鍛冶屋は何も聞かず寝床と飯を用意した。
お母さんは覚えたての仕草で頭を下げ、慣れない手つきで日本の家事というものを必死に覚えた。
そんな母とは違い少年は鍛冶屋を嫌った。どうせ良くしてくれるのは今のうちだけだ。次の日には王国のやつ等に差し出すに違いない。
そんな矢先、大好きなお母さんが倒れた
旅の疲れそして新たな地の流行病だった
いくら嫌いでもその時だけは鍛冶屋とともに必死に看病した。
「人間は決して悪い人じゃない、だから貴方も私があの人を好きになったみたいに人を好きになってね。」
必死の看病も虚しくお母さんはこの世を去った、彼が10歳の時であった。
その時を慰めてくれたのは鍛冶屋だった。彼を慕うお母さんはもう居ないはずなのに…
鍛冶屋は居なかった父親のように彼に接した。自身の鍛冶屋としての技を教えたり、チャンバラというものをやってみたり、
珍しくきたお客さんを接客したり…
気づいたら鍛冶屋を本当の父親の様に接し始めた。
そんな人を守りたいと思い"侍"となるため鍛冶屋と離れ修行のたびに出る。
何人ものつわものを刀を交え剣術を磨いた。挙句の果てにはかの宮本武蔵とも互角にやりあう手練として名が知れ渡る。
全ては
お父さんのため…だが時代は流れてしまう。
旅先でお父さんが死んだと聞かされて初めて貪欲に力を追い求めた自分を捨て、考えた。
自分は愚かだった。
お父さんの鍛冶屋があった場所には立ち寄る度に結局恩返しすらせずに旅立ってしまった自分を思い後悔することも。
時はたち、気づけば周りが刀や和服を捨て帽子やスーツを身に着ける時代になろうとも一人山奥で剣の道を極めた。
それしかできなかった。
次第に食べることも捨て鎧と刀の手入れをした。不思議と空腹感などは無かった。
次第に休むことも捨て稽古に打ち込んだ。不思議と老いなどは感じなかった。
次第に誰とも会わなくなった。不思議と寂しくなどは無かった。
次第に疲れてきた。不思議と命は…惜しくなかった。
自ら首を切り落とした。不思議と痛くは無かった。
目覚めた時、彼は生まれて初めて自分の顔を見た。若いなと思う以前に自分はデュラハンなんだと初めて自覚した。
次第に嫌悪感が沸いて首を山に埋めた。数時間たち今度は武士らしく切腹しようと刀を取り座った。
「お隣、よろしいかな?」
…誰だこの爺さん。
「まあ、そう言わさんな。老い先短いこのじじぃの話相手になってはくれやせんか?"妖怪さん"」
刀片手に聞き入って初めてこれが最初で最後の恩返しになるかもしれないと悟った。
今まで見せられなかった自分の修行の成果を見せられるかもしれない。
最後にはあの世に居るお父さんに見えるように、聞こえるように、祭りを盛り上げよう。
そして再び鎧を身にまとい数百年ぶりに戦地へと歩き出した。嵐も吹き荒れ、雷鳴も天にとどろくような派手な祭りにするように。
「そういえば、あんたの名前を聞いてなかったな。名はなんちゅうんじゃ?」
「ザシキ…ワラシ…?変わった名前よのぉ。わしの知る座敷わらしとはえろぅ違うのぉ」
戦闘スタイル
武器:
刀と昔作った中世+侍風の鎧のみ
・兜は留め具で止めてるだけで強い衝撃などで取れてしまう
戦闘:
数百年鍛えられてきた剣術は嵐をも絶ち、雷すらも切断するほどの人外じみた力を誇る。
ひとたび刀を振るえば衝撃波を放ち刀の間合いを超えて者を切ることができる。
一時の人の枠を超えた時間の修行の末、心の疲れ以外の肉体的"疲れ"を感じない。
その上大会を盛り上げるために全力で相手するので基本容赦ない。
弱点:
長年誰かと接触したことが無いので相手の感情を読むのは苦手。
戦闘経験はここ数百年無いので勘も鈍ってる上に本人は"少し丈夫な人間"ほどの防御力しかない。鎧もあくまで普通の者。
さらに自分の武士道(半分騎士道)に反するのでたとえ何が相手だろうと"殺し"たりはしない。
あくまで盛り上げることを目的にしてるためあまり勝つことに執着してない。(無論、簡単に負ける気は無いが)
補足
最終更新:2014年10月21日 11:01