H4・549

「あ、わっしー……お腹すいちゃったよ~。ぼた餅ない~?」

「いきなりね、そのっち。さっき給食を食べたばかりでしょう」

「うん……そうなんだけどねえ~」

「絵でも描いて気を紛らわせたら?例えば……瀬戸大橋跡地から見える渦潮!」

「お~渦潮~!でも一番書きたいのは人物画~」

「夏凜ちゃんなんてどうかな?かっこ可愛いし、絵になるわ。そのっちは夏凜ちゃんのこと好き?」

「急になに~?もちろん好きだよ~ってなに言わせるのわっしーは、全く~」

「くれぐれも浮気なんてしないでねそのっち。そのっちの一番は誰なんだっけ?」

「結果的に一回は世界を滅ぼしかけた子~」

「これは……強烈なカウンターね。反省してるわ、あまりに自分一人で抱え込みすぎたってさ」

「さもありなん~。でも終わってみれば私たちの身体は戻ってきたわけだし~」

「神樹様には……感謝すべきよね。そのっちに出会えたのは勇者に選ばれたからだもの。総合的に……私は幸せです」

「須美が幸せなら私も幸せだ!えへへ、ミノさんの真似~……似てないよ~どうせ~」

「セルフツッコミしちゃったね、そのっち可愛いぞ」

「それを言うならわっしーの方が可愛いよ~。特にうどんをすするわっしーは可愛かった~」

「たしかスマホの待ち受けにしてたよね、そのっち」

「ちょっとカメラ目線なのが可愛くてね~。ずっと待ち受けだったよ~。浴衣のわっしーも最高だったな~背景は何と言っても満月~!」

「つまり、今の私は可愛くないって?」

「てんで的外れだよわっしー。今が一番可愛いよ~。2年ぶりにわっしーに再会した時は、なんて綺麗になったんだ~と」

「とりあえず褒めておけば良いなんて思ってないかな?」

「なんで信じてくれないの~?落ち込んじゃうよ、さすがに~」

「ニコニコしながら言われても説得力がありませぬ」

「ぬかしたね~!」

「ねんごろに思っているからこその冗談だったのよ。本当に怒っちゃったの?」

「乃木さん家の園子さんは全てお見通しだよ、わっしーの考えは~」

「はあー良かった。そのっちに嫌われちゃったら、失恋の日になってたわ。いわゆる最悪の日」

「畢竟するに、わっしーは私のことが好きってことで大丈夫?」

「普通に考えて、そこは分かってほしいな。ちゃんと言葉や文字に表さなければダメ?ラブレターとかで『そのっちへ――』」

「変なこと聞いてごめんわっしー。分かりきったことだったよね。わっしーが私に……こういう時は何の字って言うんだっけ~?ホ?」

「ホの字で合ってるけど……言わされるのは恥ずかしいわね。ねえそのっち、次の日曜日は暇?」

「まあ、なにも予定はないかな~。もしかしてデートのお誘い~?わぁ~楽しみ~!」

「みんなでどこか行こうと思ってたのだけど、二人きりも良いわね。デートが終わったら、我が家で食卓を囲む?」

「ムール貝が出るなら行こうかな~。あ、でもわっしーの家は和食しか出ないんだった……和食魔神め~」

「目の前に和食があると嬉しいじゃない。……でもそんなに食べたいなら作るわよ、洋食も」

「もしかして、無理してるんだったらはっきり言ってくれていいんだよ~?『洋食は嫌!』」

「やだとは思ってないわ。そのっちと結婚したら洋食も少しは作ろうと思ってたし///食べ終わったら、大河ドラマを見ましょう。『花燃ゆ』」

「ゆっくり過ごそうね~。夜は寝かさないよ~」

「よろしくお願いします///……そろそろ昼休みが終わっちゃうわ」

「わっしー……気は紛れてたけど、やっぱりお腹すいたよ~。食べたいな~、うどん」







「引き分けね、そのっち」
「でも『可愛いぞ』とか『ありませぬ』はわっしーのキャラじゃないよ~」
「そのっちだって『ぬかしたね』とか、いきなりの『ムール貝』は強引だったでしょ」
「どっちも反省点が多かったけど、結構面白かったね~」
「そうね。意外と頭を使わされて、楽しかったわ。それに、日曜日のデートの約束も取り付けることが出来たし」
「あっ///結婚したら洋食も作ってくれるって本当~?」
「……うん///」

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最終更新:2016年01月04日 19:36