俺は、幸先輩との事を何かのせいにするつもりはないんだ。
不可抗力とか、運命とか、仕方なかったとか……
そんな下らない言葉を、あの人の死に持ち込むつもりはない。
俺だ。ここにいる俺が決めて、この手でやったことなんだ。
幸先輩の死は、俺ひとりだけが背負えばいい。
他人にどうこう決めさせたりやしない。
『最終章・ひとり』より、己が信じた「直にいちゃん」を取り戻すために……別の未来からの
仲間の
援護を受け、
異能の限界を超えた力を引き出す
優理。
そんな、「絆」を得て己を圧倒する優理の姿を直は眩しく見つめると同時に―――
この最後の局面で立ちはだかったのが、悪逆の敵などではなく
「仲間」だという事に、寂しさにも似た感慨を覚えていた。
密度の高い時間を、苦楽を共にしてきたはずの彼らとさえ、己とは想いを分かち合えない。
ならば、自分にとって「他人」とは、いったい何なのか?
人と人との埋めがたい「距離」に、彼は
知性群体を通じて感じ取った、夜空に瞬く「星空」の在り方を思った。
地上から目に映る星空は、無数の星々が密集して輝き、それらは波が互いにぶつかり合い広がりを持った海原のようにも捉えられる。
しかし……本来、星と星とは凄まじい距離が離れているものであり、その中間には、ただの空白、茫漠たる虚無が広がるのみ。
ならば、この世界にひしめく人間もまた―――実際はそんな絶対的な断絶と距離をもつ虚空に投げ出されているのではないか。
個として生まれ……拠って立つ足場を築き、道を歩む中で時には他者との関係を育むこともあるが、最終的には個人としてそれぞれの“終わり”を迎える。
だが、そんな本来の在り方である“孤独”とは、人の精神を、存在基盤を常に揺らがせる可能性がある。
だから、人は繋がりを、群れることを通じて、その不安や恐怖から逃れ、または中和させようと試みる。
直は、かつて恋人と過ごした日々を思い返し、各人が自力で「共に在る事に重要な意味を見出す」その道自体は否定すべきではないとする。
しかし―――
今己が、恋人を手にかけた際の想い、選んだその答えに対し、群体が介入をかけようとしているように。
群れる事、繋がる事に惹かれ過ぎれば、孤独であること、そこから目を背け、“そうではない”ものを排斥さえし始める。
そして、そこに繋がれた人間は、弱くなっていく。
己が孤独を恐れるあまり、現実を直視できなかったかつての自分のように。
心許した“仲間”達の内から弾かれ、己の想いが間違っているのではないかと、崩れかけている今のように。
だから―――恐れを捨てて、「神代直」は、ヒトとしての己を定義すべく咆哮する。
この胸にある想いを、何者にも穢されないために。
「俺だ……。全ては、俺に始まり俺に終わるんだ。
俺が決め、俺がやり、俺が生きて、俺が死ぬ。
その気持ちなくして、この虚空に神代直という人間を
刻み込むことはできない。だから、俺は……」
「誰かと道を共にすることはあっても、決して“絆”に融けたりはしない!
人間が孤独な存在であることを……決して忘れ去ったりはしない!」
- ここめっちゃ熱かったな。他人の答を否定せずに己の答を貫くところが好き -- 名無しさん (2019-06-20 14:12:52)
- 決して絆を否定しているわけじゃないんだよな -- 名無しさん (2019-06-20 18:38:01)
- リンク先のチョイスがひっどいwwww -- 名無しさん (2019-06-23 02:05:37)
- ↑やたらオルフィレウス関係に繋がるな… -- 名無しさん (2019-06-23 15:29:35)
- 多少ならいいけど、別ゲーなんだからあまりゼロインフィニティの項目にリンク繋げすぎるのは良くないんじゃないかなって思う -- 名無しさん (2019-06-25 00:06:08)
- ??「俺のせいで俺の女殺しちまったら、俺が俺を許せねえだろうが!」 -- 名無しさん (2020-01-12 22:19:22)
- 仲間が絆がっていう少年漫画的なのは高濱のノリで、元々昏式は孤独肯定派だろう -- 名無しさん (2020-01-13 09:21:08)
- 単純な肯定というよりは、予防接種の啓蒙が近いのかな。どんなに絆を大事にしていても、孤独という「状態」は誰の人生の一時期にも不可抗力として訪れうるものだから、その時のために孤独に負けない心の準備はしておけよということだと思う -- 名無しさん (2020-01-13 11:46:01)
- あっちの冷泉や鳴滝の自己愛あっての己とかと同じで、心掛けの一種というか -- 名無しさん (2020-03-01 18:16:01)
最終更新:2020年12月02日 09:50