覚悟を固め
影装を纏い、
ギアーズの母艦を沈没同然の状態に追い込んだ美汐。
精神と肉体……共に疲弊しきった彼女の前に、知る限り最大戦力にして指揮官の
アレクサンドルが姿を現す。
勝てるはずがない―――理性は絶望を訴えるも……
「だけど――絶対に、諦めないって決めたのよ……!」
だが、かつて
ネイムレス戦で見せたような、一切の無駄なく標的を排除する姿はなく。
鋼鉄の如き指揮官はただ黙したまま、僅かな戦意さえ美汐に向けてはいなかった。
この状況下で、何故、どうして“敵”である己を放置しているのか?
美汐の心にはそんな疑念が浮かんでいたが……背後に突如現れた強大な存在の登場が静寂を打ち破ることとなった。
アレクサンドルの“上”を行くであろう強大な力の持ち主。
そして……ネイムレスに電子干渉した際に感じたものと同じ、戦慄を覚えるほどの強すぎる意志。
採点しているような物言いに秘められた真意を、少女は理解する事はできなかったが……
その巨大な影から放たれる一言一言は、彼女の畏怖と嫌悪感を煽り立てる。
『しかし、以前見た君は他者に翻弄され、寄る辺であるべき自らにも欺瞞を働いていた。
そんな不安定に在りながら、精神の漆黒を纏ってみせた。
その君の力の源、信に値する根拠は何処かと言えば……ああ、彼か。
一人では立てぬがままに変わりない、ということなら。残念だよ』
同時に、美汐は奇妙な感覚を覚え始める。未だ言っていることの意味は掴めないが……
どこかこちらの心の深い部分を撫でるような口調や、相手を真実まで誘う内容。
そういった識者の様な雰囲気が――自分の愛する人に似てはいないだろうか、と。
彼の優しく、芯を突く言葉に悪意を入り混じらせればこういう口調になるのでは……などと、戦場には不似合いな考えが浮かんでいた。
戸惑う美汐を置いて、継ぎ接ぎの躯を持つ男は皮肉の色深く笑む
『喜びたまえ、落第だよ。多少興味深くはあるが、そこまでだ。彼の価値だけが上がっていく。
君は真理へ至れない。既存科学を超越し、魔法のような新法則を創始するには器が足らんよ』
少女が気づいた時には、既に目の前に預言者の姿があり。
『よって───ご褒美をあげよう』
「美汐ォォッ!!」
―――避ける間もなく、鋼鉄の拳が美汐の心臓に落とされたのだった。
- 勝手に目を付けて勝手に見限って、本当に身勝手だよなァ…… -- 名無しさん (2019-04-07 20:45:09)
- 基本的には歯車大好きぼっちマンなので距離感が測れないから煽るとかとんでもない奴やなホンマ -- 名無しさん (2019-04-08 00:44:21)
- 「オレらに人生台無しにされたこの姉ちゃんちょっと見所あるんとちゃうか?とりま歯車与えて観察しておこ。結構イイ線行ってるけどワシ新しい科学技術生み出すような真理見つける人欲しいねん。もうキミ帰ってええで(ガシッボカッ」 -- 名無しさん (2019-04-28 00:06:38)
- ↑うーん、塵w(ガンマレイ) -- 名無しさん (2020-05-26 23:02:12)
- ↑それ新しい真理に至れるモルモット見つけて喜ぶだけでは -- 名無しさん (2020-05-26 23:12:38)
- モルモットになるかなぁ…? -- 名無しさん (2022-10-09 10:32:36)
最終更新:2022年10月09日 10:32