掟(しばり)など、強者の轍の後にのみ存在を許される脆弱な概念に過ぎん



K&M探偵社に突如として現れた藍血貴(ブルーブラッド)・バイロン。
怯えるシェリルを探偵社に残しトシローは、二人の娘洗礼(バプテスマ)を施したことを仄めかす彼に、その行動の理由を問う。
バイロンはその問いかけに対し、理由とは所詮“従属するもの”に過ぎぬとつまらなげに言い、
表面的なそれがあるとすれば、最初の少女には乞われ、その姿に偶々興が乗ったからとする。


夜警としてトシローは、血親として仔を増やしながら導くことをしない、《夜会の掟》を破る行為だと非難するも、
バイロンは、自分にとっては鎖輪(ディアスポラ)も《夜会の掟》も、弱者の群れが求める安寧でしかなく、故に一顧だにせず蹂躙するのみだと告げる。
それでもと、トシローは自分自身の主張を、
――おまえもまた縛血者(ブラインド)の一人であり、そして人の成れの果てである。ならば、何処まで行ってもその縛りからは逃れでない。
そう語り、冷たく否定しようとしたが、バイロンは不興を露にして彼の命を握りつぶそうとする。


「おまえ如き若輩が血族の何たるかを語るなど、増上慢も甚だしい。
言うに事欠き、我らを人だと……?」


永きを生きる藍血貴は、その圧倒的な“血”の力で不快な愚か者の首を締め上げながら侮蔑を込め、断言する―――


「貴様、それでも吸血鬼(ヴァンパイア)か。不死者(ノスフェラトゥ)の端くれか───恥を知れ」

(しばり)など、強者の轍の後にのみ存在を許される脆弱な概念に過ぎん……この世の本質は荒野だ」

「そして荒野を開拓し、拡張しうるのは、強き者の為す行いのみであると知れ。
開拓者は何物にも縛られぬ。故にその行為に意味や正しさを問うな。
───それは、ただ在る事そのものに価値がある」




  • 親父のケツ追っかけてる砂利がよー言うよな…… -- 名無しさん (2018-08-25 11:51:15)
  • ↑その目的のためだけに既存倫理全て超越してるってことだからよくね? つか目的に貴賤をつける価値観ってダサい -- 名無しさん (2018-08-25 13:06:24)
  • 目的(殺人許可証)に貴賤つけるのは当然のことだと思うが -- 名無しさん (2018-08-25 14:52:53)
  • ↑2 目的のためだけに邁進してるなら欧州鎖輪公子みたいな立場投げ捨てて適当に旅してればいいのに、都合のいいところだけ利用してるから小者感がすごい いや実際小者だけど -- 名無しさん (2018-08-25 15:32:45)
  • ↑立場あった方がより大掛かりなこと(よりパパが怒りそうなこと)できるから捨てる必要なくない? -- 名無しさん (2018-08-25 19:46:43)
  • ↑3マルスさんの喩え持ち出すなら貴賤つけるのは余計ダメやろ -- 名無しさん (2018-08-25 20:09:29)
  • 歴史みると実際、好き勝手やった奴の立ち居振る舞いが「模範」になることが多い -- 名無しさん (2018-08-28 19:46:06)
  • つか歴史=勝者の言い分だよね -- 名無しさん (2019-06-16 02:20:17)
  • そもそもバイロンは自分を迫害した人間のことが嫌いだろうから尚更人扱いが嫌なんだろうな -- 名無しさん (2020-02-28 09:23:59)
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最終更新:2020年10月21日 09:16