作中で語られる、復讐の虚しさを説く一般論的な建前に対しての異論。
トゥルールート、芹佳は3人の男達に母親を殺され、自らも犯され嬲られ、そして殺される寸前で飯河に助けられる。
飯河は芹佳に銃を渡し、主犯格の男に向けて銃爪を引けと告げる。
「暴力で負った傷は、暴力でしか塞げない。よく相手と同じことをしても報われないとか言うが、あれは嘘だ。法治国家の体面を保つための方便だよ」
「この街の外でなら、法の暴力があんたに代わって報復を代行してくれるかもしれない。だが今は、あんたの傷はあんたにしか癒せない」
ポリマーフレームの銃身を見つめる芹佳の瞳に、踏み躙られ奪われていた正当な感情───憎悪と怒りがようやく浮かんできた。
銃口を男たちに向け、発砲した。
一発目は、外れて部屋を壊すだけだった。
「利き手は右か? なら、引き金を引く方の手には力を入れなくていい。右手はただ持つことだけを意識しろ。その分左手で強く握れ」
「それで銃口のブレは小さくなる。肘は伸ばさず少し曲げろ。しっかり銃を持ててさえいれば、この距離なら外すことはないはずだ」
二発目は、当たった。少女の目に被弾の傷から血を流し泣き喚く男が映った。
そして――
芹佳は昂ぶる感情のまま、絶叫を上げて、力の限り拳銃の引鉄を搾り続けるのだった……
- ???「力の象徴......暴力だ!」「見せてやろう!純粋な力のみが成立させる、真実の世界を!」 -- 名無しさん (2018-08-11 02:32:20)
最終更新:2021年02月21日 22:37