かつて人間であり、しかしその社会からは混じり合えぬ異形の肉体を持つ存在として
苛酷な環境に追いやられていたバイロンは、闇の巨人たる《伯爵》と出会い……彼の言葉に衝撃を受ける。
『己を愧じることはない……おまえは美しい』
『美しいか醜いか。私にとって、万象を断じる価値はそれだけの事でしかない』
『異端であると言う事は、それ自体が美を宿している……
“黒” である事を愧じるな。 “黒” の存在を高らかに謳うがいい』
彼は感動と共に、他とは混じり合えぬ己の“黒”を、積極的に肯定する視点を得た。
己の生にまとわりついていた村を焼き尽くした後、閉塞した世界を切り拓いた存在に告げる───
「貴方が、私の世界の涯てだ……」
「乞う……私に薔薇の心臓を。この世の荒野を切り拓く力を……」
そして
洗礼を受けた
彼女は、何も語らずに姿を消した偉大なる
血親を求め
驕れる血族を罰するという彼の行いの痕跡を辿るようにして、数世紀に渡り、暴虐と悦楽、混沌に満ちた所業を繰り返し続けた。
「女に飽いたゆえ、男になってみた。言葉が溢れてきたゆえ、詩人となってみた。
少々名が売れ過ぎたゆえ、死んでみせた。気晴らしにはなったが、それだけだ。かと言って、国盗り遊戯……戦にも飽いた。
もう十分だ……何もかもが疎ましい。 もう、貴方以外には何も要らぬ―――」
生ある者、形ある者、歴史ある者、その全てが《伯爵》を降臨させるための供物。
そう信ずるバイロンの眼には、男としての憧憬が、女としての恋情が混じり合いながら、
些かの劣化もみせることなく、深く、深く想いの炎を燃やし続けている。
原初の風景のまま、“あなたこそが私の終焉の存在”であると、微塵も疑うことなく。
しかし、言葉を残した《伯爵》当人にとって……
「世界の涯て」という言葉には、実際にはバイロンの抱き続けた、
血族を、何より超越者《伯爵》の幻想を破壊するに等しい真実、その一端が籠められており……
- 世界に涯(はて)、つまり、限りがあったら可能性=幻想も存在しなくなって、残るのは現実という絶望だけじゃん、というバイロンさんの大矛盾がここから伺えるよな・・・・・・。 -- 名無しさん (2018-01-24 10:49:10)
- 決め台詞として文体だけならカッコいいんだが物語の真実と発言者のアレさが相まってるから、なぁ... -- 名無しさん (2018-01-24 11:06:18)
- 現実という絶望を味わってから「まだだ!」できる精神じゃないと世界の涯を拓く開拓者にはなれないんですね、わかります。・・・・・・・新世界まで行かれると迷惑だけどな! -- 名無しさん (2018-01-24 11:40:31)
- というかバイロンて結局男なの女なの?まさかブラインドなる前からフタナリだったの? -- 名無しさん (2018-01-25 20:27:31)
- 生まれつきの半陰陽 -- 名無しさん (2018-01-26 13:18:21)
- え、この作品てブラインド以外の超常あったの? -- な名無し (2018-02-13 13:04:27)
- 半陰陽は超常じゃないぞ。普通に実在する病気(と表現するべきかは議論が分かれるところだろうけど)だ。まあ2次元のフタナリみたいに、男性機能と女性機能がどちらも有効、といった症例は滅多にないらしいけど、とにかく現在ではデリケートな話題だから下手に間違えないよう気を付けよう。 -- 名無しさん (2018-02-14 00:27:36)
- 至星三界は(ry -- 名無しさん (2018-02-15 10:38:48)
- 至高腐界は(ry -- 名無しさん (2018-05-10 09:16:53)
- 誰かの尻を追っかけてる内は世界の涯ては越えられない。はっきりわかんだね -- 名無しさん (2018-09-24 20:41:16)
- 世界の果てに再会したいのであって、超えたいとは思ってないでしょ -- 名無しさん (2018-09-26 00:27:50)
- 履歴ですぐ下に「あるわけねえだろ、そんなものッ」が来てて不意打ちで笑っちまった -- 名無しさん (2019-05-12 01:57:59)
- 君にも世界の果てを見せてあげよう……(ブロロロロ…… -- 名無しさん (2020-12-11 11:30:32)
- 創世神話は )ry -- 名無しさん (2021-03-22 01:35:45)
最終更新:2021年03月24日 22:33