美影────俺を……俺の愚かさを、裁いてくれ!

発言者:トシロー・カシマ
対象者:美影


トシロー・カシマがようやく気づいた、気づいてしまった己の真実の願い。
「現実」を前に絶えず煩悶と葛藤を繰り返す彼の内にあったのは――決して届かぬただ一つの願い。
“トシロー・カシマという人間は、美影と共に死にたかった。死んでいたかった”という未練だった。



グランド√、《伯爵》によって明かされた縛血者(ブラインド)の起源とその辿り着くべき運命(おわり)
鎖輪全体が終焉に向かって混沌としてゆく中、まるでトシローに引き寄せられたかのように、彼の元へ再びスカーレットが現れる。
縛血者にとって危険な柩の娘からトシローを引き離そうとするを軽くあしらい、一方のトシローもまた“彼女”に引き寄せられ……

……トシローの魂は外界を離れ、スカーレットの内の記録――星々の煌めく銀河へと投げ出される。
そこで彼は知る、縛血者を歯牙にもかけぬスカーレットの“(つよ)さ”の訳を。
銀河のように見えたスカーレットの内の空間は、その実無数の人間達の魂という星によって満たされたものだった
現実離れした怪物達に何ら対抗手段も見出せず、ただ映し出される星々の流れを睨むしかないトシロー。

しかし、次の瞬間……彼の意識は一つの星に惹きつけられることとなる。


見間違えるものか、その仄かな微笑みを。

見間違えるものか、その柔らかく笑んだ口元を。

彼女の輝きを忘れるなど、見逃すなど、通り過ぎるなど……そのようなこと、ただの一度もあるものか!



「美影!」



平静を保つことなど出来ず、行かないでくれ───そう、必死に祈るトシローだったが、
振り返ることなく優しき女性(ひと)は、愛した男の魂を穏やかに、魂の集まる空間から送り返さんとする。

それでも、トシローは涙で震える声で叫ぶ。


「聞いてくれ美影、俺は……おまえに聞きたいことが、あるのだ!」


己が“愛”であり、己が“罪”である女に―――



「美影、俺を……俺を………」

「俺の愚かさを、裁いてくれ!」



たった一人、トシロー・カシマへ真に罰を与えることのできる相手へと、真実の望みを口にした。
胸に積もった後悔を、そのまま我が心臓へと打ち込んでほしい。
我が生涯に解答(おわり)をもたらすに相応しい彼女に向け、罪に塗れた魂を差し出したい。

だが………


───何を仰りますか、杜志郎様』

『罰も、罪も、ありません。全ては別れが生み出した、幻痛』

『私の心は今も変わらず、杜志郎様への思いで満たされているのですから』


罪も罰もない──それは幻だという言葉に、何も言えず打ちのめされるトシロー・・・
そうして無抵抗のまま、流されゆく意識の中、柔らかく微笑んで………


『変わらず、お慕い申し上げております』


慈愛に満ちた声で、彼女は揺るがぬ慕情を伝えるのみであった。




  • 重いなぁ…… -- 名無しさん (2018-01-16 08:32:49)
  • 本文にあった「まだだ」に反応してしまった -- 名無しさん (2018-01-16 10:44:33)
  • 美影さんは勝ち組の方の元カノ、シズルさんは負け組の方の元カノ。はっきりわかんだね。 -- 名無しさん (2018-01-16 19:57:14)
  • 美影ーーーーアイザックと一緒に釣ってきた魚が有るんだ、捌いてくれ -- 名無しさん (2018-01-16 21:54:01)
  • ↑平和な世界だな。 -- 名無しさん (2018-01-16 22:14:50)
  • ↑美影さん生存したら、女勢が美影さん以外、勝ち目無しの修羅場に突入するんですが、それは・・・・・。 -- 名無しさん (2018-01-16 22:48:53)
  • ↑ヒロイン勢「なんの!まだだッ!!トシローの息子(居たら)に光源氏計画だ!!」とかやらかしそう。アリヤあたりは特に・・・。 -- 名無しさん (2018-01-16 23:11:51)
  • 美影「側室なら構いませんよ♪(正妻の余裕」 -- 名無しさん (2018-01-17 06:18:43)
  • 時代的にもおかしくないな -- 名無しさん (2018-01-17 13:33:18)
  • ただ二人の人生が狂った最初の発端が藩主が「側室」にほしいってNTRされかけたことだからなあ。美影さん生存世界線で作中状況(シェリル救出と同行、ニナと協力関係etc.)に近いならまだトシローさんも余裕あるだろうけど良い気持ちはしないだろうなあ。 -- 名無しさん (2018-01-17 13:39:48)
  • まあ一種のギャグ時空という事で、これから頻繁にヴァーミリ阿片を炊こうぜ(モクモク -- 名無しさん (2018-01-17 14:34:15)
  • 美影さんが死なないとトシローさんが三本指に成らず、アイザックがヤンホモにならないだろ!…問題ないじゃん! -- 名無しさん (2018-01-17 14:38:07)
  • 「トシローは私のもの…」という中の人の台詞からして、アリヤとのヤンデレ対決がヤバイ -- 名無しさん (2018-01-17 16:35:28)
  • ↑ギャグ時空でも美影さんが縛血者のままだったら、女吸血鬼VS白き杭というドリームマッチになるな。 -- 名無しさん (2018-01-17 17:44:47)
  • ↑そういや美影さんにも力有る筈なんだよな、トシローさんが電磁抜刀するし、重力? -- 名無しさん (2018-01-17 19:02:19)
  • ↑重力を操るヤンデレ大和撫子とか、どこの銀星号さんなんですかねぇ・・・・・・・。実際、恋愛談義でこの人とアリヤや美影さんが話したら面白そうではあるが。 -- 名無しさん (2018-01-17 19:36:28)
  • 時代背景と武家の生まれと婚約する名家出身だし、トシローさんほどではないとはいえ、嗜み程度の薙刀術とかは出来そうな気がする美影さん -- 名無しさん (2018-01-17 20:08:16)
  • ??「思い出の少女よーーー俺の……俺の愚かさを裁いてくれ!」 -- 名無しさん (2018-01-17 20:26:21)
  • 「罪だとも罰だとも誰も言ってない。単に自分自身で『そう』思ってるだけ。」っていうのは、ヴェンデッタがゼファーに言ったことでもあるな。 -- 名無しさん (2018-01-29 21:08:42)
  • ゼファー??「チトセーーー俺の……俺の愚かさを絞り取ってくれ!」 -- 名無しさん (2018-01-31 01:34:08)
  • ↑こいつレズのキリガクレじゃね? -- 名無しさん (2018-01-31 01:42:20)
  • 実際、チトセにとってゼファーとの別れだったあの目を失った瞬間は彼女にとって許せない過ちなのだろうか、それとも、だからこそ愛を自覚できたと考える必要な悲劇なのだろうか。それによって↑2への返事も変わる気がする。 -- 名無しさん (2018-01-31 07:02:22)
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最終更新:2020年11月21日 23:09