ああ……いい戦場だったろ、なァ?



ジュン√、ついに待ち望んだ“戦友”の影装(かげ)と対峙したイヴァン。
自らの戦場(棲家)での強敵の覚醒に昂る彼と、
戦場(此処)ではなく仲間達との日常こそ自分が求める居場所だと宣言する礼───
男二人の激突の果て、イヴァンが“本物”の輝きを見せてくれた礼に遺した、最期の言葉。


支配者が天空より見守る中、イヴァンはあくまで自分自身の任務を果たすために、礼と対峙する。
そこで彼は自己の信念を礼へと語った上で、人造機獣(キメラ)としての醜悪な姿を晒し、
未だ全貌を見せぬ彼の本質を見極めるため、絶体絶命の窮地へとその身を叩き込んだ。

その結果……緋文字礼は立ち上がった。
認められぬ自分の影を背負い、それでも生きて親友や仲間達と共に生きる未来を勝ち取るという意志を見せて。
敵手が新たに纏った漆黒の鎧、それが示す礼の失われた過去の真実に深く思惟を向けようとしたが……
イヴァンは、そんな己の思考を止め、歓喜の笑みを浮かべ愛しい“戦友”へと告げる。

「待ち望んだぜ。これだから戦場は素晴らしいのさ」

それに対し礼も、闇にも曇らぬ意志の輝きを瞳の奥に滾らせて、言葉を返す。

「だからこそ、僕にとって安住の地は戦場(ここ)じゃない。
場違いなんだよ、去らせてもらおう。完膚なきまでに勝つことで」

「クハハハハハ、生まれたて(・・・・・)が吼えるなよ。ついて来れるか、この影装(そくど)に。
今度はきっちり最後までだ。燃え尽きようが、骨の髄まで灰になりつつ疾走しようぜ」

「地獄の果てでも踊りはしない。鬼に会うのは君だけだ、イヴァン。
───見縊るなよ、練達(ロートル)。古きは常に、新しきに喰い破られると知るがいい」


言葉と共に高まっていく両者の戦意。
かくして、二人の男の死闘の第二幕がここに始まったのだ。

止まることなく加速していく二人、その周囲は彼らの破壊の業によって瞬く間に焦土と化していった。
常に予測不可能な角度から放たれる粒子砲の破壊光と、圧倒的な出力に支えられた爪と多脚の連撃。
それに対するは、多数の幻像から繰り出される、ガトリングとレールガンによって形成される弾幕の瀑布と、斬撃の嵐。
単純な威力もさることながら、それを実行するイヴァンと礼の経験に支えられし戦いの技量、判断力は際立つものであり……
その要素こそ、二体の刻鋼人機()の死闘に簡単な決着を許さぬ原因であった。

……礼の新たな能力が著しく使用者の消耗を強いるという致命的な弱点を持つことを、
イヴァンは繰り返される交差の中で理解した上で、それでも彼は持ち前の闘争感覚からある結論に達していた───
即ち、全力を注いで眼前の相手を最速で叩き潰すことが、この闘いにおける勝利を掴む唯一の道だと。
そして彼が全力を以て自分を迎え撃つという選択をとったことに対し、
逆に礼は、己の勝利の選択肢が潰された事を理解、何時でも楽をさせてくれない、厄介極まりない目の前の男に対し
君と出会った事は、最低の悪運であったと苦笑混じりに告げて……

改めて“男の決着”を着けるべく、火花と装甲散る潰し合いを更に加速させる。
何度も何度も何度も、鋼の響きと破壊の焔に身も魂も投げ出し、存在そのものをぶつけ合う凄絶な光景がそこには在った。


だが、そんな二人の全霊をかけた“削り合い”にも終りの瞬間が近づき始める。
“燃料の枯渇”によって崩れ落ちる礼の姿を見つめつつ、
イヴァンは、自分の躯の一部を自壊させ、残ったエネルギーを左腕の荷電粒子砲に注ぎ込み、必殺の体勢を完成……
最後の一撃、深き感謝の念を込めて、


「───最高に美しく、輝けよォッッ!!」


万物蒸発させる大魔光を“好敵手”へと、絶叫と共に撃ち放ったのだった。

その圧倒的暴威が迫りくる僅かな瞬間───だが。
緋文字礼の眼は、“勝利”を決して諦めてはいなかった。


「──黒影罪牙(ブラックゴースト・クリミナル)ッ」


礼が極大の荷電粒子砲を前にして採った、最後の勝利への策。
それは、複雑な多面構造体(プリズム)を創り出し、
火砲それ自体を複雑極まる乱反射の作用により分割、散弾に加工する(・・・・・・・)という予想外の手段であった
一秒間に数百枚単位の構造体が、僅かな反射を生じさせつつ蒸発する。
決して礼の脳回路は止まることなく、間違いの許されぬ粒子の反射経路を一瞬の間に何百何十と計算し、
しかも拡散する粒子が彼の躯を穴だらけにしていく中で、精神力と判断力を限界以上に研ぎ澄ませていく。

戦友が今まさに実行している神業、いや魔業。
その信じられない光景に、イヴァンはただ、声もなく目を奪われていた。


冗談ではない。何だそれは。ああ戦友、お前はどこまで本物なんだ……?


そして対する礼は、体中に穴を穿たれながら、心の奥底から己の足を引く死への囁きを受けながらも、

仲間達と共に歩みたい……。
そのためなら、無様で薄汚れた道であろうとも生き抜いてみせる。

そう、確かな決意を貫くべく足掻き続けた。

やがて、礼は死を告げる粒子砲を潜り抜ける。
生の実感と共に、異形の戦鬼の姿を照準越しに見つめた礼は、


「辿りついたぞ、イヴァン」


ただ短く勝利を告げ、その宣言に対し、
“男の戦いとは、してやられたと思った側が負け”
かつて別の相手語って聞かせた言葉通り、イヴァンはこの結末に納得して……


「ああ――いい戦場だったろ、なァ?」


悪童のような笑みを浮かべながら、そう告げた。


直後、レールガンの一撃がイヴァンの心臓部を貫き、無限の動力炉を媒介として豪奢華美な花火が弾け飛ぶ。


己の望んだ“英雄”の末路を自身もまたなぞるように……
イヴァン・ストリゴイは、戦場における“敗者”として潔く消え去っていったのである……。



  • ゼロインって何ゲーだっけ? -- 名無しさん (2017-07-02 20:53:23)
  • ↑燃えゲーだよ -- 名無しさん (2017-07-02 21:28:01)
  • そしてホモゲーだ -- 名無しさん (2017-07-02 21:38:31)
  • ヒロインに魅力無い訳じゃないのにこの始末な辺りほんとヒデエ -- 名無しさん (2017-07-03 19:38:30)
  • 他作品はホモゲー扱いされてないのに、ゼロインに対してはそういう認識が一致してて笑う -- 名無しさん (2017-07-03 19:52:00)
  • ↑親友のクオリティが高すぎたんや… -- 名無しさん (2017-07-03 19:58:37)
  • 美汐→ぶっちゃけジュンが主役やってたルート。リーザ→高濱ァの理想のおっぱいヒロイン。ジュン→ザ・王道。あと、きっとオルフィレウスは甦る。マレーネ→ヒ ロ イ ン の 座 を 奪 わ れ た 女 の 子。礼さんこそがメインヒロイン。 -- 名無しさん (2017-07-03 20:35:19)
  • エロゲーじゃないのか? -- 名無しさん (2017-07-03 21:22:54)
  • ルートに3回はエロシーンあるエロゲーなんだ -- 名無しさん (2017-07-04 00:07:06)
  • エロの回数なら一番エロゲやってるのになぁ... -- 名無しさん (2017-07-04 00:07:46)
  • エロシーンは見て興奮するとこってより、主人公が普通の人間に見えるという違和感を感じるとこという -- 名無しさん (2017-07-04 21:02:11)
  • おかしっ、これじゃアクションのためにおっぱいオミットしただけの正ヒロインじゃねぇか! -- 名無しさん (2017-07-17 14:11:05)
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最終更新:2020年08月16日 23:48