暴蝕崩弾

グラトニィ・イレイザー


「さあ、来るがいい! 殺戮に踊る鉄の猟犬、争いの火種になる武装共!」

「消えろ鋼鉄、失せろよ戦火ッ」

「この子には、マレーネにだけは───指一本も触れさせないッ!」


流れるのは、激烈なまでの憤怒と慚愧。自らにさえも呪詛を振り撒きながら、遍く鋼鉄を憎み破壊せんと猛る獰猛な宣誓。
自己にそんな資格などもはや無くなっていると知りながら、壊れた思考回路はそれを正しく認識できていない。
行き場のない悲しみだけがそこに募り、救済の意思と共に憎悪へ変わる。
だからこそ彼は叫ぶのだ────

全ては消えろ、無に帰すがいい。最愛の妹(マレーネ)を苦しめる鋼の鬼め、森羅万象から滅してやろう。


Status

Power:10
Hardness:8
Speed:5
Generate:8精神状態が錯乱している場合、+2
Consumption:2
System:6


繰り返す慟哭は閉じている。もはやその念しかない単一の自我。
この世に邪悪を解き放ち、たった一つだけの希望だけが残った神話の匣のように。
だが、この鉄匣の中に残ったものは希望などではない。
それは、世界の全てを、自分自身さえも消し去りたいという最悪の絶望。


狂乱するハインケルの嚇怒の念によって発動する、アポルオン影装
その能力とは極度の重力偏重によって穿たれた空間の孔暗黒天体(マイクロブラックホール)の創造である。
内蔵された極小の核融合炉を用いて体内に擬似極小恒星を発生、それを心装永久機関によって意思力による操作特性を付与。
自在に操作できるようにした後、拳を用いて直接攻撃、また掌から射出した瞬間に超新星化させることによって重力崩壊を引き起こし、マイクロブラックホールを形成するという恐るべき決戦兵器である
凌駕の持つ熱相転移とはまた別種の消滅攻撃であり、一度その範囲に僅かでも巻き込まれてしまえば、対象は原子核すら残らず次元の狭間に消え失せるだろう


「自分はすでに死んでいる。死者に成せることは災いのみ」という覆せない真実。
「誰か、どうか、あの子を助けてやってくれ」「誰か、どうか、もう僕を心安らかに眠らせてくれ」
そんなハインケルの、死の瞬間のまま留められた尽きぬ慟哭こそがこの能力を生み出したのである。

「敵を消したい。過去を消したい。不幸を消したい。自分を消したい」
支配者の目的実現のための戦闘人形として、檻から「解き放たれて」しまった彼は、
憎悪と憤激、そして癒えることなき哀絶の嘆きを周囲に振りまき、出力が躯体の許容限界を超えることも顧みず、
破壊の孔を世界に穿ち続ける……彼の躯体が限界を迎え消滅するその瞬間まで。

彼は気づかない。その脳を埋めるのは“守る”という言葉ただ一つだけ。
何故なら彼は、妹の幸せを願っているから。それ以外は総じて不要。守り抜く、ゆえ戦い続けるのみである。


「救うんだ、助けるんだ、今度は必ず間に合うから。
俺はそれをしたいんだ、そうすることがたった一つの──
償い? 義務? 違う、違う、そんなことじゃない! 
大切だから戦って、彼女を傷つけるものが何一つ近づかないようッ。
マレーネ、マレーネ、マレーネマレーネマレーネ―――」



詠唱


展開(エヴォルヴ)


「認証───汝が陰我(イド)を問う」



我は鋼鉄の虜囚(とりこ)なり……獄の窓より世界を呪う(まなこ)なり。
我為すは災厄……我欲すは死……我導くは終焉……!

この手が掴みしものは、ただ(うつろ)にしてただ無なり……

されば我、この世界(ろうごく)の総てを打ち砕かん……ッ



「受諾───素粒子生成」
「影装展開開始」



心装ォォッ!



影装・暴蝕崩弾(グラトニィ・イレイザー)ァァッ!!





  • なんか暴走状態のアッシュを思い起こさせるな -- 名無しさん (2017-04-26 23:31:34)
  • ハインケル兄さん「Disce libens.」 -- 名無しさん (2017-04-26 23:50:52)
  • ↑兄さんのブラックホールはそんなに規模でかくねぇよww -- 名無しさん (2017-04-27 09:38:45)
  • これの核融合炉って影装で構築される機能なのか、オルフィレウスが搭載した物なのか -- 名無しさん (2017-12-07 01:39:20)
  • 元々搭載されていたやつらしいね -- 名無しさん (2017-12-25 22:53:39)
  • 心装永久機関で操作特性付けられるって、心装素粒子は使い出の幅が結構広いんかな -- 名無しさん (2020-06-06 00:09:28)
  • ニートの暗黒変態か -- 名無しさん (2022-07-01 15:33:47)
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最終更新:2022年07月01日 15:33