シルヴァリオ トリニティ共通√『死想冥月／Persephone』の終盤、
カレル橋での
天駆翔と
銀悠冥狼との激突が
レインにより鎮められた後、
冷静さを取り戻したケルベロスが去り際、アッシュに告げた心からの忠告であり警告。
強欲竜団の強襲から始まり、そこに集結した三国の軍も
ある少女の暴走をきっかけに一気に衝突し、果ては反粒子を操る異形の存在・ケルベロスまでが襲来したカレル橋での争い。
その星辰体感応奏者中心の新世代の戦場でも一際異常性を見せていたのは、
近づく第三者を轢殺しながら、壮絶な殺し合いを演じるアシュレイとケルベロスの姿であった。
そんな彼らはしかし、互いに敵手への不可解な破壊衝動に意思と理性を絡め取られたまま、自分の存在を削ることも頓着せずに焔の剣と闇黒の爪をぶつけ合う。
「すべては、“勝利”をこの手に掴むため！」
あの英雄の一面を切り取った如く、ただ前へ前へと自己を燃焼する姿。まさに“別の何か”に変質しようとする天駆翔とーー
「わかったよ、認めてやるさ天駆翔。おまえはやはり紛れもなく、奴の後を継ぐ傑物だとも。
ならば遠慮はもう無しだ。あの子には悪いと思うが」
「今からおまえを、完全に消し去らせてもらう。
特異点の彼方に墜ちろ。冥王の裁きを受けるがいい」
かつて自らが否定したはずの存在の復活を危惧し、
信じ頼ってくれた少女の望みを踏み躙ったとしても今この瞬間、炎翼を終滅せねばならぬと咆える銀悠冥狼はーー
互いの奉ずる答に囚われたまま、決着の瞬間に突入しようとしていた……
ーーーしかし、その瞬間は終ぞ訪れることはなかった。
彼ら二人の暴走を深く嘆き悲しんだレインが、自分を投げ出してでも大切な人を守りたいと願い覚醒を果たしたことで、
蝋翼と冥狼は周囲の星辰体ごと、優しく慰撫されて正気に戻ったのだった。
そしてレインは、ようやく正気に戻ってくれたアッシュへ、
「うん、よかった……やっぱりアッシュはそっちがいいよ。
英雄なんて、似合わないと思う……からーーーー」
「レインッ」
安堵の吐息を漏らしながら気を失うも、アッシュに抱きとめられていった。
そのまま、アッシュは穏やかな月の光に照らされつつ、こんなにも自分を想い遣ってくれた少女のみを視線におさめ、
泣き出しそうな心と傷ついた身体で、すまない、ありがとうと言葉にできない想いを伝えてゆく。
そんな互いが互いを慈しむ二人の姿に、戦意を喪失した冥狼は複雑な視線を向けながらも思う、
共に殺し合う宿命を背負いながらも、
自分たちと同じではないというのか、
継承している運命と別の道をお前達は選べるのか、という驚愕を。
そして同時に自覚するのは、
今まで忘却し去っていた当たり前の事実、すなわち
こいつも、彼女も、自分達とはまったく違う人間で……
ほんの少し影響を受けただけの別人なのだ、と。
複雑に絡み合った想いを胸中に秘めつつ冥狼はレインの身柄を預かり、その安全をアッシュに約して去っていこうとする。
別れ際、アッシュ個人に対し傍らで眠る少女の想いを酌んで、狼は告げる。
「分かったろう？ この子を救いたいのなら、その道だけは決して選ぶな。
英雄なんて、独りぼっちになるんじゃない」
それはアッシュの道が再び光の英雄へと傾くことがあれば、問答無用で抹殺に来るという警告でもあり……
同時にレインの嘆き、悲しみをこれ以上見たくないからこその精一杯の忠告でもあった。
ケルベロスはまた、これと趣旨の近いであろう発言を共通√終章『あの日の“少女”／Phantom pain』において、独白の形で行っている。
古都プラーガにおける
光の亡者達の策動に怒りを滾らせながらも、
そんな感情を抱くことに疲れ果てて、アッシュとレイン、二人の星の後継者たちへと思いを馳せるケルベロス。
そこで、上記の場面を回想しながら、
未だ面と向かえば敵対せざるを得ない関係のアッシュについて、
同情と憐憫と、そして淡い願いとを乗せて冥狼は、悲しき翼に問いかける。
「なぁ、蝋の生贄……おまえはいったい何を望む？
光を目指して飛ぶ以外に別の願いを持っているのか？ あるのなら、そちらに向けて飛ぶべきだ。
顔も知らない誰かのために死ねるような男になるな。そこから先には何もない。
そして願わくば、どうかあの子を救ってくれ」
俺がおまえを滅ぼしてしまうその前に、
おまえがいないと泣いてくれる誰かがいること、
当たり前で何より尊い、その幸福に気づいてくれ。
そう、冥月の内で狼は一人希うのだった……。
- むしろ光を目指して飛ぶはどこかの糞眼鏡による後付で願いの大半は今度こそ君を守り抜くためにで構成されていた幼馴染ガチ勢だったんだよなぁ -- 名無しさん (2017-03-26 20:12:58)
- ケルベロスさんマジでナギサちゃんのお父さん -- 名無しさん (2017-03-26 20:16:31)
- ホモ汚染を食らっても想いの源泉はあの日の後悔でブレずに、トンチキモードで出て来る本音が「今度こそ君を守り抜くために」...アッシュくんの幼馴染ガチ勢っぷりには畏敬の念を覚えざるをえない... -- 名無しさん (2017-03-26 23:17:51)
- こっち側（ユーザー）だけでなくあっち側（物語）からもイチャラブしてほしいという勅命とおれは思った -- 名無しさん (2017-03-26 23:44:17)
- 体験版時:トンチキなグラヴィティ幼馴染ガチ勢→クリア後:真人間なグラヴィティ幼馴染ガチ勢と印象が変わったアッシュ -- 名無しさん (2017-03-26 23:59:39)
- 結局グラヴィティ幼馴染ガチ勢であることには変わらないあたり、すごいなアッシュ君も -- 名無しさん (2019-06-02 14:02:35)
最終更新：2019年06月02日 14:02
