狂い哭け、おまえの末路は“英雄”だ



シルヴァリオ トリニティのキャッチコピーでもある闇の冥狼ケルベロスが主人公アシュレイ・ホライゾンへと告げた言葉

狂い哭けという前作主人公で散々に運命に弄ばれることとなったゼファー・コールレインを彷彿とさせる言葉。
英雄という、本来ならば賞賛と畏敬の念が込められているがシルヴァリオシリーズにおいて散々常人が真似られるような物ではないし、真似ていいものではない光として描かれた存在である、クリストファー・ヴァルゼライドを示す言葉。
そして主人公がそんな英雄へと憧れているという経歴、そして不吉な末路という言葉。
そして何よりもライターの溢れるサディズム精神からその背負った運命が碌なものではないという事が示唆される言葉であった。

彼がこの言葉を発したその真意とは……

+ ーー最悪だな、反吐が出る
本命の天駆翔(ハイペリオン)を育てるため捧げられた哀れな生贄、蝋の翼。
それこそが、アッシュに背負わされた運命であった。

天駆翔(ハイペリオン)の覚醒……
それはアシュレイ・ホライゾンという人物に、見も知らぬ“誰か”を守るための“英雄”的な行動・意志を実行させ、彼個人が元々持っていた人格・肉体を跡形もなく塗りつぶし(最適化し)ていく過程となる。
それが極まった時、アッシュの全存在と引き換えに、天奏者(スフィアライザー)を担う、世界法則さえ燃やし尽くせる“英雄”が地上に産み落とされるのだ。

ヘリオスという魔星から流れ込む、現状からの絶えざる前進・向上への衝動が優先され、アッシュが本来持っていた覚悟や決意、逡巡やその他人間的脆さを示す情動は、その一切が光の決意の前に木の葉のように吹き飛ばされるか、英雄という主役をより加熱させる役割程度しか許されない。
また肉体側も、ボロボロとなった骨格・臓器・皮膚あらゆる部分が人ならざるモノへと純化され、輝く星の光へと変質してゆく。
そして、不要な心と身体の脆弱さを、絶対に砕けぬ意志の強さと置き換えられ、蝋の翼は最終的に“誰か”を救える焔の“英雄”にとって代わられ、絆も想いも、守りたかった記憶さえ残らないだろう。

結局のところ、アッシュは、
天駆翔(ハイペリオン)という輝かしく立派な恒星(ほむら)を燃焼させるための燃料・焚き木として費やされ、太陽に溶かされ灰燼と成り、無残に墜ちて行く宿命にあった……


上記のような蝋翼の事情の一端を感じたからこそ、銀悠冥狼(ケルベロス)生贄(イカロス)へとこう告げたのだ――

「狂い哭け、おまえの末路は“英雄”だ」

そんな輝きに憧れたところで碌な事になるものかと。案外まともであったアッシュの様子を見て。


ちなみに彼をそうした元凶であるギルベルトは尊敬する英雄の後継となれることは紛れもない至上の喜びであり真実心の底から善意(、、、、、、、、、)で彼をこうしたようである。
そうして哀れな生贄としてではなくかの英雄のようなトンチキへとアッシュがなって、ヘリオスと互いにどこまでも高めあっていく神星と英雄の再現となる事こそがギルベルトの理想だった模様。


しかしグランドルートにおいて、
それまで散々忌まわしきものとして送られてきたこの憐憫の言葉は、
祝福の言葉へと大きく意味を変じることとなる――

+ 導かれた暁へ、蝋の翼広げ──
+ 最果ての星は───
「狂い哭け、祝福してやる。おまえの末路は“英雄”だよ」

「光のように、闇のように、強く優しいお前ならきっと(だれか)を救えるさ」

その意味は、(だれか)を救う英雄、灰と光の境界線(アシュレイ・ホライゾン)の天来を告げる至高の祝福である。

そう、これは彼の英雄譚

あの日の三人と再会し、馬鹿を笑い合える悪友と邂逅し、一生涯の剣の師から術を学び、戦友と邪悪なる者に立ち向かう、アシュレイ・ホライゾンの英雄譚

そのために、天を目指して翔んだのだ--蝋の翼が溶けるまで

今度こそ、君を守り抜くために

そう───

導かれた暁へ蝋の翼広げ、最果ての星は君を守り抜くために

そう、運命が彼を射止めたのは正しく「運命」

慚愧無常慟哭も、灰と光の境界線の誕生を前にあまねく悲劇焼きつくされる


王冠へと至るは“贖罪”“再生”――あの日の罪を取り戻し、英雄譚へと墜ちるのだ。

英雄譚の果てに、灰と光の境界線(アシュレイ・ホライゾン)至星三界(トリニティ)(だれか)を救うために───

ゆえに──

「狂い哭け」

「祝福してやる」

「お前の末路は“英雄”だ」








  • 発売前は不吉の象徴だったけど、まさかグランドでは全く別のニュアンスに変化するとは -- 名無しさん (2017-03-11 23:08:44)
  • 「嘆かわしい、これでは勝者が哀れだろう」、「大切なのは、想いであり、心でしょう?」これにも当てはまるよね。 -- 名無しさん (2017-03-11 23:23:07)
  • まだだも違う意味で使ってきたしトリニティはそういうのほんと多かったな -- 名無しさん (2017-03-11 23:23:50)
  • 一つのセリフに二つ意味を持たせるんだよね。最後に「このセリフはこういう意味だったのか!」とびっくりさせてくれる。 -- 名無しさん (2017-03-11 23:55:52)
  • 泣き叫べ→涙流して感激しろよ -- 名無しさん (2017-03-11 23:57:12)
  • 同じ台詞、詠唱でも初見と二度目以降になると完全に別物に見えてくるよな -- 名無しさん (2017-03-11 23:59:53)
  • 「どこかの誰かはどこかの誰かが救ってくれるさ」もそうだったな。グランドの説得力よ -- 名無しさん (2017-03-12 03:16:03)
  • 「狂い哭け、祝福してやる。おまえの末路は“英雄”だよ」 これほんとすき -- 名無しさん (2017-03-12 08:26:03)
  • 終わってみると主人公よりメインヒロインのが狂い哭いていた気がするトリニティ -- 名無しさん (2017-03-12 16:58:33)
  • やはり逆襲劇の継承者…… -- 名無しさん (2017-03-12 20:11:48)
  • 狂い哭け、お前の末路はヒロインだ -- 名無しさん (2017-03-12 20:13:55)
  • どっちかというと泣いてるメインヒロインの涙(レイン)を拭う話だったな -- 名無しさん (2017-03-12 20:24:37)
  • アヤさんやミステルさんとの物語では眼鏡やおじさんに徹底的に凹んだけど、再起出来たし…(なお墓とパトラッシュ)。レインちゃんとはそもそも凹む暇なく自分への怒りで突き進んでしまって、引き返せないとこまで来てようやく光から距離をとれたっていう感じだったしなぁ…(なお結果はナギサちゃん狂い哭き案件 -- 名無しさん (2017-03-12 20:54:08)
  • 魔法の呪文のシーンでこのセリフや墜落とかそれまで不穏だったワードが一気にひっくり返るのがよかった -- 名無しさん (2017-03-27 15:47:09)
  • 「狂い哭け」の部分で男共がハモってるシーン…割と笑った -- 名無しさん (2017-04-20 12:02:00)
  • ↑初見でケルさんをお馬鹿さんたちと一緒にしてやるなよ...となり、全部終わった後にヘリオスさんを糞ホモたちと一緒にしてやるなよ...となる -- 名無しさん (2017-04-20 12:56:32)
  • ケルベロスとBGMの狂い泣けが意図せず同調してマジ鳥肌がたった。 -- 名無しさん (2017-05-07 21:00:11)
  • あれ原文もあの日の三人と「再開」し、だっけ? -- 名無しさん (2017-06-26 21:26:54)
  • つかそういえばゼファーさんの星も狂い哭けだったな。一番最初の雑魚戦以降見なかった上にそもそも星光の名前って記憶に残り辛いからすっかり忘れてた -- 名無しさん (2017-07-14 18:36:41)
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最終更新:2019年04月27日 10:54