洗礼(Vermilion)

バプテスマ



《ならば、この薔薇を受け取るがいい。これなるは我が魂の断片。呪われし契約の薔薇。手を伸ばしその棘に触れよ。
その薔薇を心臓の代わりとして、汝が墓の下から蘇るがいい。》

《ただし、蘇ったその生は苦痛に満ち、その死もまた苦痛以外に訪れない。
天の日輪と月影に呪われ、十字の(しるし)(しろがね)に傷付き、大地の豊饒(みのり)と流れ水に苦しめられる事だろう。
闇に隠れ、時から(はぐ)れ、血の渇きに苛まれながら、それでも生きていきたいか。》


『Vermilion -bind of blood-』の用語。
人類を縛血者(ブラインド)が噛み、同族とする行為を洗礼(バプテスマ)と呼ぶ。
まずそれを受けた者は生きながらの仮死を経て、その間にリリスの魂と自身の魂を結びつかせることにより、縛血者へと生まれ変わる。
個人差はあるが、おおむね三日から七日ほどの期間で完了。
次第に嫌光症、日中の倦怠感、日没後の覚醒感を自覚し、忌呪(カース)賜力(ギフト)に目覚めることで完全に縛血者へと変化する。

ただし例外的に、洗礼を施されてから七十七日の期間内に親となった縛血者(=洗礼者(バプテスタ))が死亡した場合、血盟という繋がりが解ける。
これは体内に混入したリリスの魂と、自身の魂が結びつくのを阻害する行動であり、結果として噛まれたものは再び人間へ戻る。
これが唯一、縛血者から人類へ戻る手段とも言える。

なお、同族を増やすこの洗礼行為は、己の蓄えた力を消費するものであり、洗礼一度につき血親側は平均三十年分の力を消耗するという。
そのため、滅多な事では他者を眷属化させることはなく、縛血者人口の増加も起こりにくい。
この欠点こそ縛血者が人類を上回る力を持ちながら、その勢力図を塗り替えられずにいる最大の理由である。

噛みつけば問答無用で『裁定者』に変える事が可能な『柩の娘』の方がむしろ、大衆認識(パブリックイメージ)における“吸血鬼”という記号に近い───。
そう語るアイザックは、制限がかかっている血族(コグニート)が、歪な種・“不自然”過ぎる存在ではないのかと苛立ち混じりに指摘しているが……
始祖リリスに関する真実が明かされるグランド√において、
洗礼(バプテスマ)、そして忌呪(カース)が実は母を起源とする宿業であり、母から縛血者が“欠陥品”扱いされる理由でもあったことが明かされる―――




  • 77日以内に親死んだらリリスの魂はどこ行くんだろ -- 名無しさん (2020-11-14 09:54:33)
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最終更新:2021年01月09日 02:10