『ヘリオス‐No.α。おまえと共に明日を目指す天駆翔の片翼だ』
主人公
アシュレイの精神世界に彼自身自覚のないままに存在し、
目も眩むような輝きと、身を焼き焦がして余りある焔を浴びせてきた煌翼の真の正体、それは……
審判者が、第三次
極晃創星実験において、光の英雄の後を継がせるべくして造り上げた本命。
第二次創星実験で偶然にも誕生した
銀悠冥狼の人為的再現。
無残に玩弄されたアッシュが、鋼の英雄
ヴァルゼライドの主観記憶を植えつけられ、
記憶を偽装されるがまま「英雄ヴァルゼライド」に抱いた感動と憧憬を、
天奏の極晃星へと投影して生まれた、
アッシュにとっての
「辛い時、苦しい時、悲しい時にどこからともなく現れて、助けてくれる無敵のヒーロー」という理想像の具現化である。
ケルベロスと違い、精神体としてのみ存在していることについては、
星光増幅装置として蝋翼に施された措置の違いや、冥狼を呼び込んだ
死想冥月との先天的な才能の差、
そして何よりも、
アッシュ自身が実験体という受動的な形で、極晃星に対し積極的な祈りを捧げることができなかったという背景がある。
未来に向かい不断の意志力で無限の前進を続ける
星辰天奏者の使徒として、
そして片翼がイメージした、
正しいことを、正しいように行ってただの一度も間違えない、そんな理想の存在たるべく、
ヘリオスは未来と守るべき“誰か”を害する者に対し、断罪の嚇怒を向け、無限の焔の力を燃やし続ける。
その前進を阻む
星辰滅奏者の眷属については、
かつて前任者達の理想の達成を阻んだ存在として非常に警戒・危険視し、最優先の排除対象と見做す場面が物語初期には何度かみられた。
蝋翼が思い描いた“彼”固有の性格についても、物語当初は前進を止めることのできない頑迷さ、排除すべき悪とみなした者は、
躊躇も区別もなく切り捨てられる破綻者としての自覚等の点でヴァルゼライドの影響が現れていた。
半身である蝋翼に対しては、
気合と根性で無限に覚醒した天奏の代弁者らしく、一つの意志を貫徹することこそが真実の力となるという信念を、
(後述するように本人の意思ではない部分もあるが)強制的に実行させる様子がみられた。
中でも、
「正義とは、すなわち“怒り”であるのだから」という発言に表れているように、“誰かの明日”を奪い悲しき“涙”を生み出す
邪悪な存在への断罪の念、他者に悲しみや苦痛を齎すばかりの天駆翔の不完全さへの憤りの感情などと、特に同調反応を示している。
蝋翼は、自身の振る舞い一つ一つが煌翼に見守られているため、客観的には、絶大な
極晃星のエネルギーに絶えず命運を握られている状況にある。
しかし、ヘリオス自身は、
実験動物と成り下がっている蝋翼に対して、
自分自身の本来の姿を取り戻したその上で、自分と戦って欲しいという、
宿敵への限りない期待を抱いている。
また一方で、物語が進むにつれ、
アッシュの精神の在り方が自分とは異なるという事実を受入れ始め、おもにアッシュの精神の揺れ動きを観察することを介して、自分とは明確に異なる只人の迷いや弱さを学習し、蝋翼の言葉にも耳を傾け、
彼との対話の経過次第によっては、
英雄の求めた“勝利”を超えたいと(彼なりに)真剣に願うようになるという、
成長らしき兆候をみせていることも注目すべきである。
でも、光の奴隷としての宿業はより純化された形で有しているので、本作筆頭トンチキの地位は揺るがないのですけどね!!!
能力は、蝋翼の肉体を器として、
不断の意志力により、無限に出力が上昇する焔を纏わせる《煌翼たれ、蒼穹を舞う天駆翔・紅焔之型》。
これが完成に至った場合、
光の奴隷の「理屈」上では、天奏の化身である煌翼の意志力と、蝋翼の意志力とが同調しながら、
同時に融合を果たした英雄と
神星の関係の如く、相互に宿敵として“勝利”を競い合う意志をぶつけ合うことで、
単純な燃焼力のみならず、天駆翔という魔星の全体的性能を無限に向上させ得る能力となる。
+
|
実際には…… |
しかし、この星辰光は、物語の初期においては、創星実験の措置により、
記憶改竄された蝋翼ないし、反発する滅奏の眷属達の激しい感情の揺れ動きに反応して、天奏の滅奏との反発、無限に湧きだす出力を
強制的に引き出され、最悪の場合蝋翼の感情・自意識を乗っ取って暴走するという危険な機能が組み込まれている。
それ以外にも、蝋翼が記憶の鎖を解き放てないままに、“誰か”を尊ぶ“英雄”的な行為・意志を行わなくなると、
ヘリオスとの同調が弱まり能力が低下し、最終的には、煌翼自身の消失とそれに伴う蝋翼の生命活動停止という結末に至る。また、記憶を封じられた条件の下で覚醒を続けた場合でも、摩耗したアッシュの肉体の寿命は急速に削れて行くことは避けられない。
上記の条件をクリアできたとしても、後述するレイン√などで描写があるが、 蝋翼と、 煌翼の意志の競合が加熱し過ぎた場合、以下のような事態が起きることが確認されている。
すなわち、 アッシュの本質が天奏者と異なっているという大前提がある以上、
意志力の土俵ではヘリオスに敗れる時が訪れる。その結果、 ヘリオスに何等悪感情はないのだが、
主人格の座を彼が占めるようになり、肉体側も最終的に冥狼と同様の、自立活動可能な星辰光に変質することになる。
|