「立ち上がらないといけない理由なんて、何一つないけれど」
「立ち上がりたい理由なら――譲れないものが、わたしにはたくさんあるから!」
量産品の人生は嫌だと否定し、つまらない人生は嫌だと吠えるケイトリン。
今度こそ本物の吸血鬼となり、誰よりも自由に強者として生きたい。
自分はお前らなんかとは違うのだという理想を叫んだ瞬間に、頬を打つ小さな音が響いた。
それはアンヌの平手打ちの音で、今までおどおどと自分に従っているだけのはずだったアンヌが自分に手をあげたという事実に呆然とするケイトリン。
「甘えないで」と、彼女はケイトリンと自分自身に言い聞かせるように想いを言葉に乗せる。
都合のいい言葉に逃げちゃダメだ、わたし達がもう一度吸血鬼になるきっかけなんてもうないのだという現実を見つめよう。
いいや違う。吸血鬼なんかじゃない、今の自分たちこそが最高なんだって認めよう。
アンヌの言葉に、今の自分たちのどこが最高なんだと言い返すケイトリン。吸血鬼のように強くもない脆い体のどこが最高なのかと。
そんなケイトリンに対するアンヌの返答であり、吸血鬼になったという経緯を経て見つけた彼女の夢をアンヌが心からの笑みと共に答えるシーン。
とてもありふれたことを幸せだと語り、当たり前な夢を絶対に叶えるのだと言い、親友を守るために
縛血者としての力を失ったにもかかわらず
裁定者に立ち向かう。
その言葉と姿はケイトリンを改心させ、
クラウスに「人の魂が放つ真の輝き」と言わしめ、
別のルートでは彼女たちの命を奪った彼が今ルートでは彼女達の命を守ることとなる。
そして、
ようやく想いを通じ合わせられた少女達に心動かされたのは
老狩人だけではなく………
以下本編より抜粋
「最高だよ、ケイティ。だってね、わたし――」
「――お水が、おいしいの」
「喉越しが冷たくて、熱を冷やしてくれる。お腹の中から体を潤してくれた。・・・・・・ずっと、忘れていた感覚」
「血とは全然違う。本当に爽やかで、暖かい味。もう一度そう思えたことが嬉しくて・・・・・・わたし、涙が出たんだ」
「お水だけじゃない。パンだってそう。バターもジャムもつけてないのに、噛み締めるだけで少しずつ甘くなっていくのが嬉しかった」
「わたし、全然知らなかったの。パンと水がこんなにもおいしい食べ物なんだって。一度人間じゃなくなって、やっと、初めて気づけたんだ・・・・・・」
「呼吸ができることが、嬉しい。心臓が動いているのが、楽しい。日向の香りが懐かしくて、生きてるんだなぁ、って思えた」
「ケイティは感じなかった? 人の体に戻って何かを食べたとき、本当に何とも思わなかった?」
「――ずっと、あの紅い血液だけでいいって、そう思った?」
「昨日も、今日も、明日も、ずっと・・・・・・ずっと・・・・・・誰かから命を吸うだけで」
「これでいいんだって、思えた?」
「わたしは、いや。――だって夢ができたもの」
「あのね、ケイティ。わたし――“大人”になりたい」
「それでね、色んなことが出来るようになりたいの。まずは家事かな・・・・・・料理に、洗濯、お掃除に」
「うん……まずはお料理がいいな。おいしい食べ物を、自分の手で作ってみたいし」
「立派な有名人じゃなくていい。すごい力もなくていい。わたしは・・・・・・わたしの感じた想いを、ちゃんと形に出来るようになりたいの」
「そして、ね・・・・・・」
「わたしの友達と一緒に歳を取って――おばあちゃんになっても、笑っていたい」
「それがわたしの、大切な夢。誰にも譲らない、わたし自身の願いだよ」
- 一つの作品に真逆のベクトルの名言があるって結構レアかな? たいていの作品って作品での結論が一つに固定されてるし -- 名無しさん (2016-11-09 18:13:57)
- 傷だらけで生きていくしかないよね人間だものとそれはそれとして超人とかってカッコ良いよねが両立しているのがこのラインの特徴だよね -- 名無しさん (2016-11-09 18:28:53)
- ↑ヴェンデッタは前者寄りだったし、トリニティはテーマ的に後者寄りの結論になりそう -- 名無しさん (2016-11-09 18:50:53)
- これも結論は人間賛歌で作中上では幻想を否定してるけど、アイザックは負けても格好良いし、折れないので完全に否定しきれてはいないんだよな。 -- 名無しさん (2016-11-09 23:55:33)
- 最近ヴァーミリの項目増えてきたな。何かセールとかやってたっけ? -- 名無しさん (2016-11-10 01:44:46)
- ↑2初回同梱冊子のライターコメントで昏式が、人間回帰的な結論は作品としての読後感とかまとまりのためにそうしただけであって、本音はまた違うよみたいなことを書いてたな -- 名無しさん (2016-11-10 10:27:04)
- ↑なるほど、それでアイザックが全否定にならず、ルートによっては肯定すらされてるのか。 -- 名無しさん (2016-11-10 11:05:12)
- 圧倒的ヒロインの波動を感じる -- 名無しさん (2016-11-10 16:27:32)
- そして食欲に目覚めた彼女の体重計との戦いが始まったのであった(公式) -- 名無しさん (2016-11-11 20:22:45)
- ↑あれ好き -- 名無しさん (2016-11-11 21:04:00)
- lightには対義語として空気がうまいがある。 -- 名無しさん (2016-11-12 23:10:18)
- この時のクラウスじっちゃん、二人が既に攻撃対象外の人間に戻っていたっていうのもあるけど、アンヌの輝きに心から感動してたんだろうな。だからこそのあの奮闘振りと -- 名無しさん (2016-11-12 23:59:19)
- ↑2あっちは声優の熱演によって半ばネタ化してるのでね・・・キャラの背景等を考えれば意味合い的にはシリアスだが -- 名無しさん (2016-11-13 00:02:58)
- ↑3むしろ類義語ではなかろうか。健常な人間の身体っていい!的な意味で -- 名無しさん (2016-11-13 00:05:36)
- プラスマイナスのバランスが無茶苦茶なのが0になったことを喜ぶのがこのセリフで、マイナスの極致が0になったのがうまぁいだから似て異なるな -- 名無しさん (2016-11-13 13:45:54)
- お水が、おいしい、空気がうまい!なるほど、生きてるって最高!な人間賛歌だ(錯乱) -- 名無しさん (2016-11-13 15:59:17)
- ↑空気がうまいは絶対だれか書くと思ってた -- 名無しさん (2016-12-09 15:00:42)
- ここから師父とアリヤの結末までの流れは、作品全体通しても最終決戦と同じくらい好き -- 名無しさん (2016-12-09 15:05:34)
- この台詞とか最高に人間で良いわアンヌ可愛いし -- 名無しさん (2018-12-19 20:45:18)
- ーー阿片が、おいしいの -- 名無しさん (2018-12-19 22:47:09)
- ↑それ健康に良くないヤツゥ!! -- 名無しさん (2019-05-18 21:13:22)
- お水が、おいしいの(暑すぎて) -- 名無しさん (2019-08-21 01:25:52)
- ーー綾模様が、綺麗なの -- 名無しさん (2020-06-28 12:59:40)
- ↑死ね。 -- 名無しさん (2020-06-28 15:12:55)
- ーーガンマレイが、気持ちいいの -- 名無しさん (2020-06-28 17:51:35)
- ↑糞眼鏡 -- 名無しさん (2023-08-15 20:53:27)
- 後の「ここ猫」を思えば納得の百合百合シーンである -- 名無しさん (2023-08-31 23:11:08)
最終更新:2023年08月31日 23:11