なら、あたしは……進む為に、立ち止まる!

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発言者:[[万里也 ジュン]] &bold(){[[狂い叫ぶ仲間が……自分に対して感じてきた憎悪と苛立ちを込めた、拒絶の叫び。>自分は傷一つないって厚顔で! 人の傷痕を踏んでも気付かず! そのくせ自己満足の優しさを振り撒いてる! おまえの全部が鬱陶しいんだァ――ッッ!!]]} &color(black){&bold(){自分の、未来を信じ前だけを向いてきたその信念が、今彼女を泣かせ、苦しめてしまっているという事実。}} &color(black){&bold(){そうして……ジュンは、傷つき軋む心のままに、意識を手放そうとしていたが――}} &bold(){“声”が、いつも寄り添ってくれていたあの人の“声”が少女の胸に響く。} &color(#F90021){&bold(){友を傷付けてしまったことへの悔い。}} &color(#F90021){&bold(){そして、それでも、と。}} &color(#F90021){&bold(){あの子の涙を止めたい、後悔を飛び越えたいと願う思いに向き合い、少女は内なる声に語りかける。}} &sizex(4){&color(#F90021){&bold(){「あたしのやり方じゃ、駆け抜けた先にあるものだけしか見えないのかもしれない。}}} &sizex(4){&color(#F90021){&bold(){逸る気持ちに囚われて、何の為に走るのか、それすらいつか見失ってしまう本末転倒なのかもしれない……}}} &sizex(4){&color(#F90021){&bold(){でも、走る。走った先が正解なのかどうかは判らない……けど!}}} &sizex(4){&color(#F90021){&bold(){&sizex(5){&color(#DF212C){今走りださなきゃ、きっとだれも救えないから!}}」}}} &color(coral){その言葉に、“声”も優しく微笑むように・・・}  &sizex(4){&color(coral){&bold(){『うん、よく言った。それでこそジュンだよ』}}} &color(coral){&bold(){あの日の夕暮れのグラウンドで並んで語りあった時のように、背中を押していった。}} &sizex(3){&bold(){そして、同調した“二人”はついに影装を発現させる――}} &sizex(6){&color(#DF212C){&bold(){「影装・&ruby(スターライト・スパロー){超光翔翼}!」}}} &sizex(6){&color(coral){&bold(){『影装・&ruby(スターライト・スパロー){超光翔翼}!』}}} &sizex(4){&color(#dd0000){&bold(){砕けた躯と、破れた心を引き摺りながら。}}} &sizex(4){&color(#DF212C){&bold(){全ては、慟哭と共に墜ちてくる、今の自分以上に傷だらけの天使を受け止めるために。}}} &size(25){&color(#F90021){&bold(){「青砥さん……うぅん!」}}} &size(28){&color(#DF212C){&bold(){「───&ruby(・・){美汐}ォォッ!!」}}} &size(28){&color(navy){&bold(){「───万里也ァァッ!!」}}} &bold(){そして、始まったのは戦闘というには、足りない要素が多すぎる、} &bold(){目の前の相手に、最短距離で&ruby(おもい){攻撃}を叩き込む、ただそれだけの闘い。} &sizex(3){&color(#DF212C){&bold(){紅の翼を纏った少女は語りかける&size(12){&italic(){───}}哭くように、叫ぶように、愛を告げるように、滾る熱情を。}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){「あたしッ&size(15){&italic(){───}}ずっとあなたに憧れてたの!}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){才色兼備のお嬢様、何をやっても余裕の一等賞……敵わないなぁって、心の底から見上げてた!}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){あたしなんかよりずっと、沢山のものを持ってる……凄い人だと思ってたの!」}}} &sizex(3){&color(red){&bold(){心の痛みをこらえながらも、先とは隔絶した速度、いや瞬間移動により、凄まじい連撃が見舞われる。}}} &sizex(3){&color(navy){&bold(){けれど、狂える蒼の少女は止まらない、}}} &sizex(3){&color(navy){&bold(){耳を打つ外界からのどんな言葉も、無理やり引き出された憎悪と憤怒の&ruby(イド){無意識}が遮り、}}} &sizex(3){&color(navy){&bold(){自身を傷付ける悪意の罵倒へと自動的に変換していってしまう。}}} &sizex(5){&color(navy){&bold(){「見下しているつもりかアァァッッ!!」}}} &sizex(5){&color(navy){&bold(){「それがこうしてこの&ruby(・・){ざま}だと……!悦に浸って蔑みやがるのかアァァーーッッ!」}}} &bold(){砕けぬ美汐の纏った刻鋼。しかし予断は許されない。} &bold(){心装永久機関は、人の精神を燃料として稼働するゆえに。} &bold(){このまま続ければ、間違いなく美汐は永久機関に魂ごと喰われ、散ってしまうから。} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){「違うッ! 違うよ美汐ッ!!」}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){「どんなに凄い人だって、負けるときもあるんだってあたし知ってる!}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){あたしだって、何度も負けて泣いてきたもん!}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){だからいいんだよ、泣いたって!いいんだよ、壊れるほどに無理なんかしなくたって!」}}} &sizex(3){&color(#DF212C){&bold(){どうかこれで止まって……一撃一撃に願いを篭めるも……}}} &sizex(3){&color(navy){&bold(){鬼姫はそんな&ruby(おもい){拳}を弾き返し、歪な&ruby(よろい){化粧}の下から吼える。}}} &sizex(6){&color(navy){&bold(){「しゃしゃるなアァッッ!!傷ひとつない&ruby(おぼこ){未通女}面でェェッ!!」}}} &sizex(3){&color(#DF212C){&bold(){叫びに、ジュンの表情が悲痛に歪んで・・・己の抱えた罪を哭きながら吐き出してゆく……}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){「あるよッ! あたしにだって&size(18){&italic(){───}}取り返しのない傷ぐらいッッ!}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){あたしは死なせたッ! あたしと凌駕の大事な人を……このあたしの身勝手さでッ!}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){大好きだった人を、死なせちゃったんだぁッ!!」}}} &sizex(6){&color(#DF212C){&bold(){「だから、みっともなくても生き足掻く! 貰った命に報いてないからッ!}}} &sizex(6){&color(#DF212C){&bold(){&sizex(5){この上美汐まで死なせたら……}あたしは、馬鹿の上に大馬鹿だアァーーッ!」}}} &bold(){互いに影装特有の消耗の速さに振り回され、精神力を削り出しながらぶつかり合う。} &bold(){しかし精神のリミッターが外れている美汐の方が、さらに速く限界が近づいていたのである。} &bold(){一瞬ごとに墜落へのカウントダウンを刻む蒼の少女。} &bold(){ジュンは一刻も早く、この均衡を崩さねばならぬがゆえに、焦りに囚われる。} &sizex(3){&color(#F90021){&bold(){加速を加速を、走り続けないと。}}} &sizex(3){&color(#F90021){&bold(){あたしは他に能がないから、前に前に走ってのめって足掻かなきゃ――}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){「……それだけじゃ、駄目だッ」}}} &color(#DF212C){&bold(){しかし、美汐の命を救いたい、その願いが&ruby(・・・・){彼女自身}を曲げさせた。}} &color(#DF212C){&bold(){空間を翔ぶ背理の瞬転を打ち切り、紅の少女は、真実その場に硬直した。}} &sizex(3){&color(#DF212C){&bold(){肉体的な意味だけでなく、精神的な意味においても。}}} &sizex(3){&color(#DF212C){&bold(){己の意志で初めて、}}} &sizex(3){&color(#DF212C){&bold(){万里也ジュンは己の&ruby(アイデンティティー){存在意義}とも言える疾走への希求を断ち切ったのである。}}} &sizex(4){&color(navy){&bold(){動きを止めた無防備な獲物に対し、蒼の殺意が躍りかかる。}}} &sizex(4){―――それに対しジュンは真っ直ぐに己に突き進む美汐を見つめ……} &size(20){&color(#F90021){&bold(){「&ruby(はやさ){速度}じゃ……美汐を止められない」}}} &size(22){&color(#F90021){&bold(){「なら、あたしは……」}}} &size(26){&color(#DF212C){&bold(){「&ruby(・・・・){進む為に}、&ruby(・・・・・){立ち止まる}!」}}} &sizex(4){そう、全ては蒼の戦姫が持つ最大戦速を引き出してみせるがために。} &sizex(4){必要なものは、美汐を呼び込む&ruby(じぶん){標的}の固定。} &sizex(4){そして外せない勝負の一瞬、&ruby(・・・・・・・・・・・・){二人の呼吸を合わせる時間}。} &size(29){&color(#DF212C){&bold(){「美汐ォォォォォーーーーッ!!」}}} &size(29){&color(coral){&bold(){『美汐ォォォォォーーーーッ!!』}}} &sizex(4){&bold(){狙いは一つ。相討ち所望の&ruby(クロスカウンター){正面衝突}。}} &sizex(4){&bold(){追い付けぬ防御力と攻撃力の壁、}} &sizex(4){&color(#DF212C){&bold(){その距離を最短で突破する為、ジュンが選んだ&ruby(・・・・・){不動の疾走}が生みだした一撃であった。}}} ………―――― やがて、諸共に装甲を砕け散らせた二人は、地上に同体で絡み合いながら落下して…… &size(18){&color(#2838A9){「ちょっとは加減しなさいよ……ほんっと、馬鹿力とは良く言ったものね……」}} &size(19){&color(#F90021){「あー……ごめん……}} &size(19){&color(#F90021){でも、我慢我慢……こうしてお互い、生きてるじゃない……」}} &color(#2838A9){いつもの、いやいつもより柔らかくなった雰囲気で、痛みに文句を言う美汐と、} &color(#F90021){同じく傷つきながらも、成功に満足を感じているジュンの姿がそこにはあった……。} ---- - 進む為に立ち止まる……光の奴隷に致命的に欠けてるのはコレだよな。 -- 名無しさん (2017-07-13 05:24:46) - 光の奴隷共が立ち止まる事覚えたらどうなるんだか……? -- 名無しさん (2017-07-13 07:17:11) - ↑ヘリオスさんになる。 -- 名無しさん (2017-07-13 08:09:40) - ↑応援団風の学ランを着込んだヘリオスさんを幻視した…… -- 名無しさん (2017-07-13 08:14:46) - 総統閣下「なるほど、理解した。だが、俺は泊まるわけには行かない!」 -- 名無しさん (2017-07-13 20:08:36) - お、おう…… -- 名無しさん (2017-07-13 20:09:00) - 誰か、アッシュとおっちゃん呼んできてー。界奏のプライベート空間で二人がかりの無限説得しか無いって -- 名無しさん (2017-07-13 20:12:20) - ↑3 仕事場で泊まることを良しとせず、ちゃんと自宅に帰って休息を取るとは……流石です総統閣下 -- 名無しさん (2017-07-13 20:29:49) - ここの戦闘があったから真理到達できたのかな…なんだかんだ凌駕さん級の成長速度なのだが -- 名無しさん (2018-06-17 22:48:59) - 百合百合しくてよいバトルだった -- 名無しさん (2018-06-18 10:28:57) #comment
発言者:[[万里也 ジュン]] &bold(){[[狂い叫ぶ仲間が……自分に対して感じてきた憎悪と苛立ちを込めた、拒絶の叫び。>自分は傷一つないって厚顔で! 人の傷痕を踏んでも気付かず! そのくせ自己満足の優しさを振り撒いてる! おまえの全部が鬱陶しいんだァ――ッッ!!]]} &color(black){&bold(){自分の、未来を信じ前だけを向いてきたその信念が、今彼女を泣かせ、苦しめてしまっているという事実。}} &color(black){&bold(){そうして……ジュンは、傷つき軋む心のままに、意識を手放そうとしていたが――}} &bold(){“声”が、いつも寄り添ってくれていたあの人の“声”が少女の胸に響く。} &color(#F90021){&bold(){友を傷付けてしまったことへの悔い。}} &color(#F90021){&bold(){そして、それでも、と。}} &color(#F90021){&bold(){あの子の涙を止めたい、後悔を飛び越えたいと願う思いに向き合い、少女は内なる声に語りかける。}} &sizex(4){&color(#F90021){&bold(){「あたしのやり方じゃ、駆け抜けた先にあるものだけしか見えないのかもしれない。}}} &sizex(4){&color(#F90021){&bold(){逸る気持ちに囚われて、何の為に走るのか、それすらいつか見失ってしまう本末転倒なのかもしれない……}}} &sizex(4){&color(#F90021){&bold(){でも、走る。走った先が正解なのかどうかは判らない……けど!}}} &sizex(4){&color(#F90021){&bold(){&sizex(5){&color(#DF212C){今走りださなきゃ、きっとだれも救えないから!}}」}}} &color(coral){その言葉に、“声”も優しく微笑むように・・・}  &sizex(4){&color(coral){&bold(){『うん、よく言った。それでこそジュンだよ』}}} &color(coral){&bold(){あの日の夕暮れのグラウンドで並んで語りあった時のように、背中を押していった。}} &sizex(3){&bold(){そして、同調した“二人”はついに影装を発現させる――}} &sizex(6){&color(#DF212C){&bold(){「影装・&ruby(スターライト・スパロー){超光翔翼}!」}}} &sizex(6){&color(coral){&bold(){『影装・&ruby(スターライト・スパロー){超光翔翼}!』}}} &sizex(4){&color(#dd0000){&bold(){砕けた躯と、破れた心を引き摺りながら。}}} &sizex(4){&color(#DF212C){&bold(){全ては、慟哭と共に墜ちてくる、今の自分以上に傷だらけの天使を受け止めるために。}}} &size(25){&color(#F90021){&bold(){「青砥さん……うぅん!」}}} &size(28){&color(#DF212C){&bold(){「───&ruby(・・){美汐}ォォッ!!」}}} &size(28){&color(#000066){&bold(){「───万里也ァァッ!!」}}} &bold(){そして、始まったのは戦闘というには、足りない要素が多すぎる、} &bold(){目の前の相手に、最短距離で&ruby(おもい){攻撃}を叩き込む、ただそれだけの闘い。} &sizex(3){&color(#DF212C){&bold(){紅の翼を纏った少女は語りかける&size(12){&italic(){───}}哭くように、叫ぶように、愛を告げるように、滾る熱情を。}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){「あたしッ&size(15){&italic(){───}}ずっとあなたに憧れてたの!}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){才色兼備のお嬢様、何をやっても余裕の一等賞……敵わないなぁって、心の底から見上げてた!}}} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){あたしなんかよりずっと、沢山のものを持ってる……凄い人だと思ってたの!」}}} &sizex(3){&color(red){&bold(){心の痛みをこらえながらも、先とは隔絶した速度、いや瞬間移動により、凄まじい連撃が見舞われる。}}} &sizex(3){&color(#000066){&bold(){けれど、狂える蒼の少女は止まらない、}}} &sizex(3){&color(#000066){&bold(){耳を打つ外界からのどんな言葉も、無理やり引き出された憎悪と憤怒の&ruby(イド){無意識}が遮り、}}} &sizex(3){&color(#000066){&bold(){自身を傷付ける悪意の罵倒へと自動的に変換していってしまう。}}} &sizex(5){&color(#000066){&bold(){「見下しているつもりかアァァッッ!!」}}} &sizex(5){&color(#000066){&bold(){「それがこうしてこの&ruby(・・){ざま}だと……!悦に浸って蔑みやがるのかアァァーーッッ!」}}} &bold(){砕けぬ美汐の纏った刻鋼。しかし予断は許されない。} &bold(){心装永久機関は、人の精神を燃料として稼働するゆえに。} &bold(){このまま続ければ、間違いなく美汐は永久機関に魂ごと喰われ、散ってしまうから。} &sizex(5){&color(#DF212C){&bold(){「違うッ! 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