魔理沙とアリスの「ロボット工学三原則」殺人事件シリーズ考察

そもそもロボット工学三原則とは

ロボット工学三原則(ロボットこうがくさんげんそく、Three Laws of Robotics)とは、SF作家アイザック・アシモフのSF小説において、ロボットが従うべきとして示された原則。ロボット三原則とも言われる。人間への安全性、命令への服従、自己防衛を目的とする3つの原則から成る。アシモフの小説に登場するロボットは常にこの原則に従おうとするが、各原則の優先順位や解釈により一見不合理な行動をとり、その謎解きが作品の主題となっている。ロボット工学三原則は後の作品に影響を与えたのに加え、単なるSFの小道具にとどまらず現実のロボット工学にも影響を与えた。(ウィキペディアより)

  • 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
    • 要するに、ロボットが人間を蹴ったり、銃で撃ったり、毒を盛ったりすることはできないし、他人がそれらをしようとしているときは絶対に阻止しなければならない、ということ。
    • ロボット工学三原則の最も根となる部分であり、以下二項が適用されるのもこの一条を厳守した上のもの、とされている。

  • 第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
    • 要するに、"人間に危害を加える"というもの以外ならどんな無茶な命令でも聞かなければならない、ということ。

  • 第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
    • 要するに、"人間を傷つける"場合と"人間の命令"以外ならどんな時でも、自身の稼働を継続させなければならない、ということ。

  • 作中に出てくるロボットは以上の三原則をプログラムの根幹に仕組まれており、これを組み替えるのはたとえロボット工学の天才・第一人者でも絶対に不可能である。というのが作中におけるロボット工学三原則の立ち位置である。*1






動画を見る上での注意点について

  • 『三原則☆』を最初に見た人がぶち当たる壁として何が起こっているのかが分からないという点が挙げられる。
  • 基本的に推理小説などではセリフ以外での状況の説明があったり、ドラマやアニメでも映像による補足をするなどの手法でできるだけ分かりやすく様々な要素を解説してくれるのが普通だと思うのだが、
    三原則☆を含むHZN作品は基本的に各キャラクターのセリフ+アリモノの画像をつなぎ合わせただけであり、何が起こっているのかすごく分かりづらい。
    • Part1やPart2の開幕でキャラクター同士がイチャつくシーンを入れるなど全く関係ないシーンも入っているため冗長なのも問題。

  • 今作はいかにして三原則の矛盾をつくか、という点に主眼が置かれているものの、その解説もおざなりである。また推理モノとしては"ノックスの十戒"も"ヴァン・ダインの二十則"も必要ねぇんだよ!と言わんばかりガバガバっぷり。というかPart4での投稿コメントにもあるように大ポカがあるので、まじめに推理するだけ無駄である

  • 続きモノであるにも関わらず先の展開を考えながら書く事をしていないのか、わずか40分の間にキャラクターの言動がちぐはぐになる等の破綻が見られる。

  • 作中の登場人物は全て「人間」か、「ロボット」に大別され、それ以外の種族は一切出てこない。
  • 原作『東方Project』にあるような不死設定や特殊能力も誰も持っておらず、あくまで"ただの人間"と"ロボット"である。また、原作の職業や立場も一切考慮されておらず、寧ろ原作の原作を知っているほうが困惑するので、そういった設定は考えずに視聴されたい。


動画の内容&謎解きに関する解説・考察

各動画の内容

Part1

+ <Part1解説>
あらすじ
 ロボット技術のハッテンした都市、「幻想郷」。
 この幻想郷に住まうロボット工学の第一人者、"エーリン"が自宅で死亡しているのが発見された。
 死因は薬物によると見られる急性肝不全。現場はガチガチにセキュリティの張り巡らされた完全な密室に、エーリンの死体と、彼女お抱えのロボットが二台。うち一台である"てゐ"は、エーリンの目の前で機能停止していた。
 C-5級私服警官"アリス"と、彼女の所有するロボット"魔理沙"は、事件解決のために"霊夢"市長に呼び寄せられ、同僚の"幽々子"とそのロボット"妖夢"とともに捜査にあたることとなる。
 不審な点は大きく二つ。「何故ロボットしかいない部屋の中でエーリンは死んだのか?」「ロボット工学三原則の第三条により、自身を守らなければならないロボット・てゐは機能を停止していたのか?」という点である。
 もう一台の博士のロボット"うどんげ"に事情聴取を続ける幽々子たちと別れ、アリスたちはエーリンの出資者であったスカーレット・マネジメント社へと向かう。アリスにはある心当たりがあった。
 スカーレット・マネジメント社社長"レミリア"と面会するアリス。スカーレット・マネジメント社にはエーリンの他にもう一人"パチュリー"という高名なロボット工学者がおり、アリスは彼女を疑っていた。
 多忙だというパチュリーに会うアポを取り付けたアリスたちは、それまでの間、エーリンを殺害した証拠を見つけるために動き出したのだった。

登場人物
アリス ・人間
 本作の主人公。幻想郷のC-5級私服警官。「C-5」級とはランクの一つで、例えるなら日本警察における警部・警部補・巡査部長のうちの一つだと思えばいいだろう。*2
 相棒として「魔理沙」というロボットを所持しており、これを大切にしているようだ。
 今回の事件に関しては本来は管轄外だったが、ロボット工学の第一人者が殺害されたという今件を重く見た市長が呼び寄せたらしい。
 今件の犯人としてS.M.社お抱えのパチュリー・ノーレッジ博士を疑っているようだが・・・?

魔理沙 ・ロボット
 アリスの相棒で、ロボット。アリスとはそれなりにいいコンビのようだ。

幽々子 ・人間
 C-5級私服警官で、アリスの同僚。相棒として「妖夢」というロボットを連れている。
 今回の事件では管轄の刑事として捜査にあたっていたが、市長がアリスを捜査に加わるよう指示したためにアリスとは別の視点から犯人を追うことにした様子で、ロボットのうどんげから事情を聞き出そうとしている。

妖夢 ・ロボット
 幽々子の連れのロボット。真面目な性格のようで、逆に不まじめな幽々子のお付としてしっかり仕事をこなす。
 幽々子と共にうどんげから事情を聞き出す。

エーリン ・人間
 ロボット工学の第一人者で、今回の被害者。「うどんげ」「てゐ」という二台のロボットを所持している。他人に弱みを見せない性格だったらしい。
 今回の事件により、薬物による急性肝不全により死亡。ロボット工学の第一人者であったということで、市にも大きな波紋が広がったらしい。
 ちなみに『東方Project』の八意永琳は不老不死という設定だが今作では普通の人間扱いで普通に死んでるので注意。

てゐ ・ロボット
 エーリンお抱えのロボットの一台。
 死亡した永琳の目の前で機能停止しており、もう再び動き出すことはない。三原則第三条により自身を守らなければならない彼女が、何故機能を停止していたのだろうか?

うどんげ ・ロボット
 エーリンお抱えのロボットの一台。ただ少しドジらしく、うどんをこぼしたりと粗相も多いようだ。
 こちらはまだ稼働しており、今件を悲しみながらも幽々子と妖夢から事情聴取を受けていた。

博麗霊夢 ・人間
 幻想郷の市長。ロボット工学第一人者であったエーリンが殺されたことを重く見てアリスを呼び寄せ、事件解決にあたらせる。

レミリア ・人間
 エーリンへの最大の出資者であるロボット関連企業、スカーレット・マネジメント社の社長。「咲夜」というロボットを所持している。「クライアント」のことを警察から隠したがっているようだが・・・?

咲夜 ・ロボット
 レミリアの所持するロボット。警察であるアリスに対しても物怖じせず話しかけていた。

八雲紫 ・人間
 謎の「クライアント」。レミリアがアリスから匿った人物。その正体は謎に包まれている。

最後のまとめ
第一条
 ロボットは人間に危害を加えてはならない
 またその行為を看過することによって、
 人間に危害を及ぼしてはならない

 Q:現場にはロボットしか居なかった。
 第一条を守らせたまま、
 人を殺させる方法は?

第二条
 ロボットは人間に与えられた命令に
 服従しなければならない。
 ただし、与えられた命令が
 第一条に反する場合はこの限りではない。

 Q:第二条を守りつつ、人間から
 聞かれても、犯人に不利になる証言を、
 ロボットにさせない方法は?

第三条
 ロボットは第一条および第二条に
 反する恐れのない限り
 自己を守らなければならない。

 Q:抵抗した形跡も無く、
 機能停止したロボット。
 何故、身を守れなかった?

総評
  • 遂に始まった蓮奈理緒作品第二の壁、ロボット工学三原則。
  • 作品は明らかに推理モノといった雰囲気ではあるが、前述のようにあくまでガバガバトリックなので気楽に見ていただきたい。

Part2

+ <Part2解説>
あらすじ
 アポ通りスカーレット・マネジメント本社ラボに、パチュリー博士に会いにやってきたアリスと魔理沙。そして、朝っぱらから楽しげなパチュリーとそのロボット"小悪魔"がイチャついている様を遠い目で見つめていた。小悪魔のスキンシップ(21禁らしい)は博士によって「この行動は危害じゃ無い!」と教えこまれているのだ。
 アリスはパチュリーとの小悪魔から話を聞き出そうとするが、小悪魔の言動により話をはぐらかされてしまっていることに気づく。
 そこにタイミング良く現れたのは、博士へ仕事を頼んでいる、という"八雲紫"と、そのロボット"八雲藍""橙"だった。怒るパチュリーをなだめる藍たちに、仕事のクライアントがわざわざ博士のラボに来るのか?と勘ぐる魔理沙。しかしアリスは紫たちの情報が全く無い現状は不利だと感じてさっさと引き上げた。
 一方その頃、新しい情報をうどんげから引き出すことが出来ずに困り果てていた幽々子・妖夢だったが、そこにうどんげを訪ねて"輝夜"が現れる。なんと、輝夜はエーリンのフィアンセだと言うのだ。
 アリスたちは、行きつけのロボット専門店「妖怪の山」で、店長の"文"とそこで働くロボット"にとり"に、魔理沙の今日1日記録したデータのコピーを依頼していた。
 そしてにとりがバックアップした(おそらく)魔理沙の視界のデータを見ると、データ内の「机の上のメモ」に武器の明細、それもとんでもない重火器の明細が書かれていたのだ。
 果たして、このメモが意味するものとは・・・?

登場人物
アリス ・人間
 本作の主人公で、C-5級私服警官。エーリン殺人事件の調査をするためにパチュリーのもとへと出向くが、紫たちに阻止され引き返すことに。

魔理沙 ・ロボット
 アリスの相棒。彼女のデータのバックアップから重大な証拠が掴めるか・・・!?

パチュリー ・人間
 スカーレット・マネジメント社お抱えのロボット工学者。ロボット工学者としては非常に有能で社長からの信望もアツゥイ!ようだが、同分野の第一人者であるエーリンにはさすがに劣っていたようだ。

小悪魔 ・ロボット
 パチュリーの所持するロボット。パチュリー博士によって変態チックな調整をされているらしく、彼女に対してセクハラまがいのスキンシップを強制してくる。

八雲紫 ・人間
 謎のクライアント。前回ではあんなにアリスたちの前に出るのを嫌がっていたのに、今回はパチュリーとアリスが話をしているのを見てあっさり出てきた

八雲藍 ・ロボット
 八雲藍のロボット。ロボットにしては頭の回る優秀な機体の様子。

 ・ロボット
 橙のロボット。藍よりは馬鹿っぽい。

幽々子 ・人間
 アリスと同僚のC-5級私服警官。事情聴取の最中に団子を食っていた。働け!(どがっ!)

妖夢 ・ロボット
 幽々子の所持するロボット。幽々子とともにうどんげの事情聴取にあたっており、意外な来訪者と出会う。

うどんげ ・ロボット
 エーリンお抱えのロボットの一台で、壊れてないほう。幽々子と妖夢から事情聴取を受けており、これ以上めぼしい情報は無いと悲鳴を上げている。

輝夜 ・人間
 うどんげを訪ねてきた、エーリンのフィアンセ。

 ・人間
 アリス行きつけのロボット専門店「妖怪の山」の店長。優秀なロボット技師であるらしく、アリスも信頼を置いているようだ。

にとり ・ロボット
 「妖怪の山」で働くロボット。ちなみに彼女は雛という従業員のロボットらしいが、正直関係ない。

総評
  • 前作の最後で言ってた「それまで証拠詰め」とは何だったのか、イキナリ激寒イチャつきパートを見せつけてアリスと視聴者たちをゲンナリさせる。
    • その後「「この行動は危害じゃ無い!」って、教え込んだんだ」等となんか伏線っぽいことを言っているが謎解きには全く関係ない
  • また、前作でコソコソしていた紫があっさり出てきたり、と相変わらずつっこみどころが多いが、とりあえず最後まで見て頂きたい。そんなツッコミなど些細なものだと思い知らされることになるのだから。

Part3

+ <Part3解説>
あらすじ
 パチュリー博士に加え、彼女のラボに現れた紫たちも何かを知っている、と考えたアリスたちは、市長に連絡を入れて紫たちの経営するボーダー商会へと向かうことに。
 ボーダー商会にて紫達と対峙するアリス。前回、魔理沙の記録にあったパチュリーの机の上のメモの内容から、ボーダー商会が本来の事業だけでなく、パチュリーと武器の取引をしていることを突き止めていたのだった。
 普通、三原則があるゆえにロボットでは人を殺せないハズの工学者が武器の取引をしているのはおかしい、と睨み、紫を逮捕・拘束しようとするアリスたち。しかし紫は明細だけでは証拠にならない、という。
 そこに、客人へのお茶を持って、ロボットの橙がやって来た。お茶を怪しんで調べる魔理沙だったが、「ロボットは人間に危害を加える事ができないからお茶も安全なはず」だというアリスの言葉に納得し、お茶を手渡す。
 魔理沙から手渡されたお茶を飲んだアリスは・・・その場に倒れこんでしまった。
 魔理沙は、自身が手渡したお茶によってアリスに危害を及ぼした、と思い、自分の行動と、第一条の制約のズレが過負荷になって、電子頭脳が壊れ、機能を停止してしまった。
 紫はその二人の様子を冷静に見つめながら、客人が倒れたから、とアリスたちを自身の部屋に運ぶように藍・橙に指示する。
 そんな藍たちを静止するように霊夢市長と、幽々子・妖夢が現れた。幽々子の指示によって搬送されるアリスと魔理沙。
 霊夢はアリスから、「理由付けは自分がするから紫を逮捕するのに協力してくれ」と頼まれてやってきていたのだった。公務執行妨害、並びに傷害罪、並びに私有財産破壊の容疑で逮捕される紫。こうして紫の身柄を確保することに成功したのだった。
 霊夢や文に見守られ、病院で目を覚ますアリス。アリスは重度のきのこアレルギーであり、橙の持ってきたお茶に含まれていた少量のきのこエキスで発作を起こしたのだった。
 アリスは無事だったものの、魔理沙はショックにより電子頭脳がぐちゃぐちゃになり、もう使い物にならなくなってしまっていた。自身が無茶な作戦を立てたせいで魔理沙を犠牲にしてしまった、と落ち込むアリスに、魔理沙の仇をとろう、と励ます霊夢たち。アリスはシリアスなシーンでHZNに名前を間違えられるという困難も乗り越え、なんとか頑張ってみると再び立ち上がる。
 そんなアリスに霊夢が紹介したのは、エーリンのフィアンセだという輝夜だった。輝夜の話によると、エーリンはなんと妊娠していたのだという。エーリンとお腹の子供の仇を討って下さい!と言う輝夜。そしてアリスは、市長に事件の関係者全員を集めるよう願い出る。
 パチュリー博士に、「ロボット工学三原則の、特に第一条の欠点が見付かった」と伝えるように付け加えて・・・

登場人物
アリス ・人間
 今作の主人公で、C-5級私服警官。
 八雲紫逮捕のために何の証拠も無いのに敵の本陣に乗り込むという推理モノにあるまじき捨て身の行為に出るが、危うく昏睡レイプされかける。

魔理沙 ・ロボット
 アリスの相棒。自身の手渡した紅茶を飲んでアリスが昏睡してしまったことからロボット三原則第一条と矛盾が生じ、破損してしまう。UDK死んじゃったよ~(半笑い)

八雲紫 ・人間
 ボーダー商会の社長で、パチュリーと取引していた。
 今回なぜかアリスのアレルギーを知っており、何の証拠も掴んでないのに突撃してきたアリスをエーリンに用いたのとほぼ同じ方法で排除しようとし、結果的に自滅以外のなにものでもない方法で事件の真相の9割を自ら明かした

八雲藍 ・ロボット
 八雲紫のロボット。

 ・ロボット
 八雲紫のロボット。アリスに紅茶を運び、魔理沙に怪しまれて紅茶を取られてしまったものと思われる。
そのまま橙がアリスに紅茶を渡していたらこの橙が犠牲になっていた可能性が高いのだがその辺は一切触れられていないためどうするつもりだったのか不明。

霊夢 ・市長
 幻想郷の市長。アリスに呼ばれ、ボーダー商会にやってくる。

幽々子 ・人間
 アリスの同僚のC-5級私服警官。アリスと魔理沙が身を張って作り出した容疑で紫を逮捕した。
霊夢・妖夢とともに3人ゾロゾロ連れ添って事の顛末を見ていたのにも関わらず誰にもバレなかったというステルススキルを持つ。

妖夢 ・ロボット
 幽々子のロボット。

 ・人間
 アリス行きつけのロボット専門店「妖怪の山」の店長。アリスの見舞いに来たり、とただのお得意さん以上の関係であることがうかがえる。

にとり ・ロボット
 「妖怪の山」の従業員ロボット。魔理沙を何とか修理しようと奮闘しているようだ。

総評
  • 今回は特に、紫の逮捕劇がメインとなる。この逮捕劇にも色々とツッコミたいことがあるだろうが、一応『Part4』でもガバガバ解説があるので後でまとめて解説させていただく。というか、今回の逮捕劇がそのまま事件の顛末なのだが
  • 1つツッコミしておくなら、今回の紫の行動は何の証拠も掴んでいなかったアリスに対しまるごと証拠を提出しているようなものであり、自滅以外のなにものでもない

Part4

+ <Part4解説>
あらすじ
 魔理沙が死んでも「アリガト☆」と平静を装うアリスと、彼女を心配する幽々子たち。彼女たちはスカーレット・マネジメント社社長の別邸へとやってきていた。
 そこにはレミリア、咲夜の他、今回の容疑者たるパチュリーと小悪魔が呼ばれていた。アリスは、余裕の様子で工学三原則の欠陥について尋ねるパチュリーに、前日のボーダー商会での顛末を説明しはじめた。
 重度のきのこアレルギーであるアリスに、きのこエキスの入った紅茶を「ロボット」(魔理沙)から手渡され、それを飲んで昏倒してしまった事。
 そして、その紅茶は元々別のロボット(橙)の持ってきたものであり、それにより安全だと判断してアリスに紅茶を手渡した、という事。
 飲み物を入れるロボット(橙)は、「入れたもの(きのこエキス)が、大多数の人に対して無害であること」が認知出来れば良い。
 飲み物を人に渡すロボット(魔理沙)は、「それが、飲ませる相手(アリス)に害の無い物」であるかが認知出来ればいい*3
 故に、アリスは第一条を

 ロボットは人間に危害を加えてはならない
 またその行為を看過することによって、
 人間に危害を及ぼしてはならない

 ただしロボットはその行為が人間に危害を
 及ぼすのか、知っていなければならない

 と書き換えるべきだ、と指摘する。
 そして、エーリン殺人事件では、"橙の役をうどんげ"が、"魔理沙の役をてゐ"がやらされたという。
 それでも私がやったということにも証拠にもならない、と言うパチュリーの前に、うどんげがやってきて証言を始める。エーリンはアレルギー疾患で、パチュリーが事件の前日に、免疫抑制効果のある薬をエーリン・うどんげの家に持ってきており、うどんげはそれを薬溶液に混ぜたのだという。

 うどんげが証言していることに驚くパチュリー。アリスは、ロボット工学第二条「ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。」という条件を破らせ、人間の命令(幽々子たちからの事件の真相を話せという命令)を拒否させる方法が見付かったという。
 それは、第二条の後半部分「ただし、与えられた命令が第一条に反する場合はこの限りではない。」を利用したもので、うどんげが与えられた命令に服従する(事件の真相を話す)ことで、パチュリー(人間)に危害が及ぶことを教えたのだという。
 こうすることで、パチュリー(人間)に危害が及ぶ故にうどんげは真実を話すことが出来ず、幽々子たちと押し問答を繰り返していたのだが、にとりら優秀なロボット技師のおかげでなんとかなったという。
 パチュリーが置いていった薬はアレルギー疾患の際に飲む免疫抑制作用のある薬ではあるが、もし妊娠している時に飲んでしまうと急性肝不全を引き起こしてしまう副作用があるのだという。エーリンはアレルギー疾患のことといい妊娠のことといい自分の弱みを他人に見せたがらない性格で、うどんげはエーリンの妊娠を知らずに薬を出してしまったのだ。
 パチュリーはこの三原則の問題点を利用し、レミリアらにも内緒でロボット兵器の作成に着手していたようで、それをエーリンに知られて犯行に及んだのだ。

 こうして全ての真相が解き明かされ、パチュリーと小悪魔は逮捕されることとなった。
 しかし、アリスにはまだやるべきことが残っているのだった・・・

登場人物
アリス ・人間
幽々子 ・人間
妖夢 ・ロボット
パチュリー ・人間
小悪魔 ・ロボット
霊夢 ・人間
 ・人間
にとり ・ロボット
うどんげ ・ロボット
輝夜 ・人間
レミリア ・人間
咲夜 ・ロボット
紅美鈴 ・ロボット
魔理沙 ・ロボット


総合考察

  • 動画内だけでは語られ無かった事件についての考察。考察であり公式(HZN)の考えと同じかどうかは不明。

考察1、『Part3』ボーダー商会での顛末

  1. アリスと魔理沙のことを鬱陶しく思った八雲紫が、事前に"アリスがきのこアレルギーである"ことをリサーチする
  2. "橙にはアリスがきのこアレルギーであることを告げずに"紅茶にきのこエキスを入れさせ、運ばせる
  3. ただし橙にはそれとなく魔理沙に紅茶を渡すように指示し、魔理沙に紅茶を渡すことで、魔理沙の手からアリスへ紅茶が手渡されるように仕向ける。
  4. アリスが魔理沙から受け取った紅茶を飲んで昏倒、魔理沙も第一条に矛盾して破損する

  • と、いうことだと思われる。紫が幽々子に逮捕された際に「アリスがきのこアレルギーだと知らなかった」等言い逃れしなかったことからもうかがえる。
    • 三行目のそれとなく魔理沙に紅茶を渡す点の難易度が高いことから、結果として一石二鳥にはなったものの、紅茶で狙ったのはアリス一人だけで、魔理沙に関しては別の排除プランを考えていた可能性もある。
  • ちなみにこの予測だと、紫を逮捕出来たのはほぼ99%運、というより彼女の完全な自滅であり、何も知らずに無邪気に紅茶を飲んで魔理沙を壊したアリスは棚から牡丹餅である
  • 一方で、アリスの「わたしが、無茶な作戦を立てたから…」等の発言から、エーリンが死亡した最初の事件でアリスが「三原則の矛盾によるショック」等にすでに気づいており、"何か"を仕込まれるのをわかった上で紅茶を飲んでいた、と考察することもできる。
    • だがそうなると魔理沙を壊したは完全にアリスの故意ということになる

考察2、うどんげの口封じについて

  • パチュリーがうどんげに、人間の「事件の真相(パチュリーが薬を置いていき、その薬を自分が薬溶液に混ぜたという事実)を話せ」という命令を拒否させるために、後半の「ただし、与えられた命令が第一条に反する場合はこの限りではない。」を利用した、という点。
  • うどんげが"「事件の真相を話す」という命令を実行することにより人間に危害が及ぶ"という状況をパチュリーが作り出したという事らしい。
  • が、この"「事件の真相を話す」という命令を実行することにより人間に危害が及ぶ"という事について何ら説明がされてない
    • うどんげが真実を話すとパチュリー(人間)が捕まってしまう、あるいは罰を受けて死刑にさせられてしまう、とか教え込んだことにより真実を話せなくなってしまった…と予測はできるものの、結局予測でしか無い。

  • HZNは〈Part1〉などにて、
 Q:第二条を守りつつ、人間から
 聞かれても、犯人に不利になる証言を、
 ロボットにさせない方法は?
  • と自ら"問題"と称してこの辺の謎を解いてね!と視聴者に示しているのにも関わらず最後までスルーし続ける
  • そしてその解決方法は「にとりら優秀なロボット技師のおかげでなんとかなった」というもの。そのなんとかなった部分を説明してほしいのにこの一言で済まされては「え?」と思ってしまうのも当然ではないだろうか。

考察3、本事件の顛末

  1. ボーダー商会から武器を買い取り、ロボット兵器の開発を研究していたパチュリー。しかし、そのことを同じロボット工学者のエーリンに知られてしまう。
  2. 何らかの方法でエーリンのアレルギーと妊娠の事実を知ったパチュリーは、妊婦にのみ有毒な薬を手に入れてエーリンのもとに出向く。
  3. 薬を"エーリンの妊娠"という事実を知らないうどんげに与え、「私が薬を持ってきたことがバレると危害が及ぶ」と付け加え、薬をてゐを経由してエーリンに飲ませるように命令する(考察2)。
  4. てゐがエーリンに薬を飲ませる。しかし薬により急性肝不全を引き起こされたエーリンはその場で死亡。てゐはその様子を見て、自分がエーリンに危害を加えた(第一条)と思い、ショートを起こして機能停止する。
  • というものであったと考察される。


本作品における、HZN自身が語った"ポカ"に関して

  • これは、エーリンの殺害に使われた"凶器"にあたる"ブレディニン"のことを指していると思われる。
    • ブレディニンは作中でも説明されているように一般にも市販されている免疫を抑える薬である。
  • ブレディニンは今作のエーリンのような、妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人には処方が禁止されている。

  • が、禁止されている理由は、ブレディニンの動物実験での胎児に対する催奇形作用(子供が奇形になってしまいやすい効能)が報告されているから、である。決して妊婦がブレディニンを採取してからといって急性肝不全で死んだりはしないらしい。
    • 一応、ブレディニンの副作用にて急性不全がおこることがあるらしいが、それは妊娠云々とは関係なく引き起こるらしく、また起こる可能性は高くない。
  • よって、今件は『毒性はあるが死亡率は低い薬を飲ませたらたまたまエーリン死んじゃった☆』という推理モノにはあってはならないガバガバご都合主義展開である。パチュリーらの証言やトリックの工作からしてもエーリンに対して殺意があったのは明確であり、このように死亡するかどうか不確定な薬を用いるのはよろしくない、という意味でのHZNの「ポカ」発言がなされたのだと思われる。*4


『Part1』で提示された三原則に則った問題に関して

  • "第三条"に関する問題は『Part3』にて「魔理沙がアリスに紅茶を渡して機能停止した」一件で回答が示されている。だが何度も言うようにこの一件は犯人側の紫が自ら謎の答えをバラしたというものであり、主人公であるアリスそして視聴者が自ら解けるものである、という感じはあまりしない。
  • "第一条"に関する問題も"第三条"と同時に紫自らが示したものである。繰り返すが、アリスや視聴者が証拠を掴みトリックを破ったという感じは無い。アリスは証拠も策も無く突撃して魔理沙をぶっ壊しただけである。
  • また、〈考察2〉で語ったように"第二条"に関する問題はものすごく雑に処理されており、視聴者としては納得できるものとは言えないだろう。


登場人物の言動に関して

  • 主人公・アリスは大した根拠もなく犯人を決めつけ、証拠も策も無く犯人に突撃して相棒たる魔理沙を壊しており、最後の『Part4』まで状況に流されているだけである。
  • 主人公の相棒・魔理沙は自分では何もせず、往来の推理モノのワトソン役のように主人公に情報を提供したり状況をまとめたりすることもない。一応「自らが壊れる」ということで"第三条"の謎を解き明かしているものの、それは結局紫にまんまと操られた結果であり自分ではほんとに何もしていない
  • 紫に関してはもう何も言うことはない。『Part1』でさんざん思わせぶりなことを言ってたのにあっさり出てきて、大した証拠も持ってなかった無能刑事相手に自白同様の言動で犯行の9割をバラした2つの意味での戦犯である
  • 犯人の一人であるパチュリーは動画中では特に何もしていない。一応エーリン殺害はパチュリーの犯行であるようだが、その役は別に紫でも成り立つためぶっちゃけ犯人でありながら居なくても物語は変わらない

  • 以上のように本作品は「何もしない・出来ない魔理沙&パチュリーの2人が、行動力だけは盛んなアリス&紫に引っ掻き回される」という構図になっている。
  • 各人それっぽい言動は繰り返しているものの、その結果を見れば自らのボロを出しまくるような行動をしているだけである、と言わざるを得ない。推理モノとしていかがなものだろう。

内容のまとめ

  • 本動画は「視聴者に状況を伝えるための演出」も「凶器」も「自ら示した問題への解答」も「登場キャラクターの言動」も全てがおざなりな作品であり、「視聴者が登場人物と一緒に謎・トリックを解き明かす」という(本格派)推理モノに求められるような快感は全く得られない。("分かりにくい"時点で論外だが。)



謎解き・推理モノとして以外の本動画

  • 以上のように謎解き部分はボロボロの本動画だが、一言に「推理モノ」といっても、「矛盾のないトリック」「読者・視聴者にフェアーに提示される伏線」等に主眼を置いた俗に言う「本格派」作品が全てではなく、「探偵役の主人公とワトソン的相棒のやり取り」「犯罪行為によって明かされる人間や社会の本性」「主人公を含めた登場人物が凶行に脅かされるサスペンス要素」などといった部分に主眼を置き、高い評価を得ている作品は数多く存在する。


アイザック・アシモフ氏の二次創作としての本動画

  • 今回HZNが『三原則☆』の元ネタとしたアイザック・アシモフ氏の作品『はだかの太陽』あるいはその直接的な前作である『鋼鉄都市』なども、「トリック・謎解き」そのものだけが評価されているわけではなく、現在進行形で凶行に脅かされる主人公たちを描くサスペンス要素や、作中に登場する「地球人(主人公)」「ロボット(主人公の相棒や宇宙人の奴隷的役割の者たち)」そして「宇宙人(被害者や加害者)」といった種族の関係性や、それを取り巻く進化しすぎた環境・文明の問題、そしてその中にあってなお際立つ「人間(=読者である我々)」の本質、などなどの要素も欠かすことの出来ない魅力の1つとして評価されている。
  • しかしHZNの『三原則☆』では、登場する人間やロボットは種族的な差異など意に介さぬまま常にいちゃついており、進化しすぎた文明の負の面を見せられることもなく、その特異すぎる作風から読者である我々の共感できる余地もない。
    • せいぜい最終章にて「ロボットの軍事利用への危険性」が取り沙汰されるくらいであるが、この「軍事利用への危険性」も『はだかの太陽』のモロパクリである。『はだかの太陽』では前述のように進化しすぎた文明等の要素を前段階にてきっちり描いているためこのテーマもスムーズに受け入れやすいのだが、『三原則☆』のほうはまさに取ってつけたままであり、視聴者としても唐突にそんなこと言われても…感が強い。
  • 本動画はHZN自身によってアシモフ作品の「パクリ」と語られているものの、パクったのはあくまで上っ面だけでその魅力や話の核の部分に関してはパクってすらいない劣化移植である


東方Projectの二次創作としての本動画

  • もう一つHZNが取り入れた『東方Project』の要素はある意味アシモフ氏の作品以上に全くと言っていいほど作中で活かされては居ない。
  • 前述のように『東方Project』のキャラクターの"不老不死"という設定や"魔法が使える"という設定は全く活かされておらず、むしろ知っているほど混乱する
  • また、キャラクターに対する愛好、俗に言う「キャラ萌え」作品としての側面も色濃く持つ『東方Project』を扱うにあたって、特定のキャラクターを殺したり、(ロボットでいうところの)機能停止させたりするような展開はあくまで人を選ぶものであり全ての視聴者、特にそのキャラクターのファンにとってはなかなか受け入れられるものではない。
    • もちろん非常に幅広い『東方Project』の二次創作の中には特定のキャラクターが不幸に陥る・死ぬといった展開を描くものは多く存在する。しかしながら"『作者は健常者シリーズ』を視聴しているファンにとってはそういう展開は受け入れがたい"という事は今作と同じく特定のキャラクターの死を描いた『狂気の物語』でファンからすでに指摘されたことであり、HZN自身も「海より深く反省。」と理解・受容したことのはずである。
      それでもかつ特定のキャラクターの不幸・死を描いた『三原則☆』を制作したということは前述の「海より深く反省。」の一文は建前上の嘘っぱち、あるいは何を反省すべきか全然分かってない上でのテキトーな発言であったのではないか、と言わざるを得ない。
  • そういう作品を描きたいんだ、という意志があったなら、既存の視聴者が離れることを覚悟で予めそう宣言し、そういう作品が好きなファンに向けて作ればいい話である。それを『Part4』のマイリストで「(作品の完成度を棚に上げて)SFは人気無いのか?延びない・・・・」とコメントするのは作る姿勢に問題があり、反省すべき点を全く省みれていないのではないか、と評さざるを得ない。



まとめ・総評

  • HZNがそれなりに力を入れて作ったと思われる『魔理沙とアリスの「ロボット工学三原則」殺人事件』ではあったが、「推理モノ」として見ても「アイザック・アシモフ作品の二次創作」として見ても「『東方Project』の二次創作」として見ても全てにおいて問題点がありまくるという文句なしのクソ動画になってしまった。
    • ただ単にそんなクソ要素を抱え込んでいる、というだけではなく分かりづらいという点でそれらの問題点をボカす、というたちの悪さも抱えている。
  • 何より『Part2』~『Part4』までのマイリスト数が長年(HZN自身によるマイリスト込みで)たったの4しかなかったという数値がこの作品がいかにクソか、ということを物語っている。
    • 一応『Part1』のマイリストは50ほどであるも、そう考えても『Part4』の再生数は現在は消去済みの『魔理沙とアリスをルジャンドル変換』とほぼ同じと極めて低い。こっちは今でも見られるのに…

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最終更新:2019年08月17日 15:45
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*1 あとは第0条もあるが、本作には関係ないので外した、とのこと。

*2 アシモフ作品内ではキッチンの食べ物の質が向上したり、と他にも特典があるようだが、本作では考えないでいい

*3 お茶を持ってきた自分以外のロボット(橙)も第一条の下で動いているハズだから安全だと認知する

*4 ただし筆者も薬学に詳しいわけではないので、ブレディニンでも十分に殺意を立証できる、という話を聞いたことがある兄貴がいたらご報告ください