雑記:文或と近代もろもろ、140


12月29日めも。


ところで2019年の3月12日なんですが、そろそろ日付けが去年2018年を越えるので雑文のタイトルを変えてみました、今回から「文或」という伏字になったんですが大した意味はないです、さすがにこれで検索する人がいるわけでもなし、というかそれで検索された時はゲームに興味がある人で問題があるわけでもなし。
単純に見た目が可愛かったからです、勢い!
たまにタイトルを変えるのはページにずらずらと並びすぎるからという理由になっております、で、雑記タイトルを変えておいて2018年分として芥川の文章を書いておきたいなと思っているんですが。
1年に10日分くらいずつみたいなの。
あんまり何枚も何枚もお勧めするみたいなのはなんか詰まらん。
どうしても同じ人たちに興味があることを悪いと思ってるわけでもないんですが、この10日分は一年に一回だけ記録しておこうみたいなの。
改めたりせずにだらだらと同じ人物ばっかり語ってたりは普通にします。
あ、どこかに「文アルまとめ」みたいなページがあります、そこに記録されます、昨日書いてた志賀さんのやつをそこに置いておくか迷ってる、とある人間の文学情報放浪記って意味ではあんまり不純物がなくて悪いもんでもないけど…(あんまり振り回されてるせいか恣意抱く暇がなかったんだよね、わりとすぐに消えた)。

えーと、あれです、芥川に関してです、まだどの部分を書くか微妙に曖昧だけど、まあ10日分くらいなんとかなるだろうあと9日分。
君だけが特別って口説いた一覧とかは作りたくないです…編集者にまでやりやがんの。


12月30日めも。


ある日私は友人のももまんから教えて貰った新潮の編集さんの芥川などがわりと出てくるようなネット上の電子書籍を読んでいました、彼はなんでもパーティの時に芥川が顔を輝かせて寄って来たことがあるとか、そんな話してたんですよね。
で、あのあれ菊池さんの『小学生全集』と、『児童文学全集』とアルス(白秋さんの弟の出版社)との争いのあと、どちらに肩入れしたわけでもないというスタンスで白秋さん側の意見をピックアップして、自分こそは芥川の意思がわかっている!! という感じの態度を取っていたんですよね。
へー、という感想だったんですよ。
まあ、実際芥川が白秋さん好きってのはいろいろ聞いてましたし、そんなものなんだろうなというか。
ところがなんか変なこと書いてあるんですよね、芥川が書斎持ってないとか、書斎への憧れの話をしたとか。

芥川、漱石山房に出入りしてる頃にいろいろ整えて、なんだっけ澄江堂っていうわりと知られた書斎持ってるじゃないですか。
これは、なにを言っているのかな…?
となったんですよね。
そして彼は、その後菊池さん勢の不興を買ってしまって干されたらしいんですが、いいんだ自分は芥川の本当の理解者だからみたいな、そういう満足を抱えたようなんですが(菊池さんのことも他で触れてたけど、本当に芥川のためであって菊池さんへの反感とか悪意とかではなさそうだったんですが)。


12月31日めも。


その随筆を読んだ時点ではなんというかなんともわからず、書斎? 書斎?? みたいな気持ちでいっぱいになっていたんですが「芥川と親しい編集さんたち」の話を聞くようになって、その彼が全く出てこないことに気付きました。
というかあの、中央公論の高野さんとか、本当に誰が見ても聞いても親しいと認めていて彼が中央公論を辞めることになった時に文藝春秋に菊池さんが呼んだ編集さんみたいな人は芥川のことをしたり顔で語ったりしないんだよね。あの。
この人は別にそれ言っても全然構わないと思うんだけどね…。
(デビューではないものの、初期からずっと担当してるし、優しいし心酔してるってわりにちょっと芥川がやらかしても笑って気にしないし、芥川のほうから編集部に行くのも高野さんがいるからだよなあれ。)
あと、別の編集さんは芥川のところに行った時に一緒にお酒を飲んで一緒に過ごして、あー、気を使わせてるなぁ、と小さくなっていたりしたんですが。
貴方、貴方、多分本当に好かれているからそこで引かないであげて!!
ていうか、芥川、酒が飲めないというよりどうも味が苦手っぽいよね?
他のところで聞いた『新小説』というところの編集さんは芥川を世に出したのはご自分であるというようなことを語っていたらしいと聞きまして。
多分芥川が逃げてた雑誌です、多分。
初期載せたことがあるのは事実なんだけど、そのあとずっと断ってる雑誌、私は新潮だと思い込んでたけど新潮ではなかったら、うん、あの。

親しくない相手だけが親しいって思い込んでいる? という気付きが、じわじわ。


2019年


1月1日めも。


年越えですー、大したことではないです、所詮虚構の日付け!
で、ええとなんだっけ、田端の本を読んだのはどのくらいの時間軸だったのかわからないんですが、芥川が朔ちゃんのことを褒め称えたみたいな話あったじゃないですか、興奮して家に飛び込んでったみたいなの。
あれが田端の文士村の出来事でした。
そして芥川は田端の王様として扱われてました、まあ客観的にそれで妥当と思う。
芥川の存在があってこそ文士村となり、彼の死と共に離散したってんだからガチい。

で、その激賞されたのだというその時期、朔ちゃんが詩集で成功しなければそれで詩人終了だった、ということが田端の本で軽く触れられていたんじゃないかと思うんですが、そこまでは良かった、大丈夫だよって友情から飛んでったと思ったし。
ただ他の村にいた芸術家たちのことも同じような言い回しで褒めることが多いのだということもわりと同時に知れました、朔ちゃんに対して犀星のことよりも自分のことのほうが好きだろう? みたいなことを言って犀星を怒らせたことや。
友人の宇野さんとその親友の広津さんの間にもそうやって割って入ったことも。
ついでに言うと朔ちゃんではなく、犀星こそを大事な友人だと思っていたなんてこともぱらぱらと情報として入ってきました、情報オーバーしました。
多分ですが、芥川の激賞をもっとも受けたのは裏の家の医者の爺ちゃんです、中年からの習字に自信なかったのはわかる、褒めるのもいいよねわかる。
次は多分友人の小穴さんて画家さんです、画家さん生活苦しいので。
傍目にも似てる褒め方でした、多分ですが、同カテゴリな予感が、どうにも。


1月2日めも。


で、で、というか、芥川の褒めてる案件をひっくり返してみたら直近にスキャンダル世に出る前の菊池さんなど、だいたいのパターンが知れました。
幾つか確認してませんが、志賀さんのことをなによりも尊敬に値するという感じの態度を取り続けていた時期は、志賀さんが売れないと連呼されていた時期(数年続いてる)とだいたい同じ頃なので、芥川を見てるとなんとなく「あれか」と思うようになりました。
調べてないものはいくつかありますが、調べたものは全部見つかりました。
あれみたいです、ただ、大してダメージのない案件みたいなものはあるかも。
あ、それと谷崎への言及みたいな、特に褒めてない事実だけみたいな場合もこの限りではなかったです、悪口言える関係のほうが、多分親しいんだよなこれ?

てかね、久米さんのことも菊池さんのことも褒めないよね正直。
それでまあ、あんまり仲の良くない印象があるのは無理はないんだよね。
ただ芥川、鏡花さん好きなんだよね、白秋さん好きなんだよね、生涯変わらないんですよね、それこそ葬式近辺に二人とのエピソードあるわけだし。
彼らに触れてる文章、まだ読んだことないんですよね。
鏡花の全集に寄せてた文章も、志の高さや精神の孤独がどうだのという話をしていて、褒めてないというか、なんだろう、好意を文章にしないのね、滅多に。
犀星相手の好意とか露骨なんだけど、物で示すんだよね、言葉で示すと本当かどうかわからないというか、言葉は利用するものって認識なのかなぁ? 芥川。
編集さんたちもそうだけど、好意告げられても信用出来なさそう、そもそも。


1月3日めも。


なんとなく全体的にうーん、という感じになっていた頃、青空文庫に小穴隆一さんという画家さんの芥川に関しての文章が上がりました、確かわりと最近だったよね?
この人は大正8年くらいに出会い、君がいたなら不倫なんかしなかったのにー! みたいなことを言われていたらしいんですがどういう意味なのか。
ところがまあなんだ、朔ちゃんと犀星の間とか、宇野さんと広津さんなんかはまあ身内の間のことでなんとか収まりそうじゃん。
奥さんの親友にコナかけて、やっぱりそういう関係になるのはまずい、そして心中しようかと思ったけどやっぱりまずい、場所貸してって帝国ホテルで薬飲んで死に掛けたのを小穴さんが迎えに行かされ、ベッドに引きずり込まれて泣かれました。
なんか志賀さんには叶わないとかなんか泣いてたみたいです。
女と心中しようとして止めたんじゃなかったんかい、ていうかなんで旦那が経営してるホテルなんだよなにがしたいんだよ、という突っ込みは小穴さんはしてないです。

志賀さんに対して泣いてるのを聞きながら、あー、これ、弟子という扱いを受けることがある、佐佐木さん(文藝春秋に行って総編集になっちゃった)に対して恐れてるって泣いてた時と似てるって小穴さんが考えていたようなんですが。
多分佐佐木さん、その頃は菊池さんに財閥で経済勉強して来いって送り出されちゃった辺りじゃないかと思うんですけども(推測だけど、経歴に隙間がなくて)。
つか、芥川の中で志賀さんのカテゴリなんなのマジで。
私どうすれば、とその芥川の奥さんの親友さんに聞かれ、女には誰にでも縋るので、と答えた小穴さんは冷たいけど正しい感じです、他にも案件が、山のように。


1月4日めも。


ところでここで菊池さんの話をします、個人の趣味ですお気になさらず、彼はどういう理由なのか芥川には学者をさせるっていう話をどこかの雑誌にしてまして、なに言ってんだろう、と他の人たちもわりと勝手な話していたので苦笑いされていたんですが、うん、確かにあんまり他の友人たちの軽口と見分けが付かない。
見分け付かないんだけど、菊池さんは他人への願望を抱くことが滅多にない感じの人なので、言ってるんなら軽口でもわりと本気じゃないかと思うんだよね。
まあなんかあれ、『半自叙伝』って本の中で明治大学からなんか声が掛かってて、自分が在籍してたことがあるとわかると煩いだろうなー、みたいなことを書いているんですが、どう見ても突進して来いみたいな駆け引きですよねこれ。
その後、山本さんが演劇関係の人たちや大衆文学の人たちをメインに(白樺にもいるよね)、明治大学の講師の口を配分していたそうなんですが。
采配役を引き継いだのは岸田國士さん、まあどこかでいつか見た面子。
特に菊池さん経由とは見てないけど、まあそうだろと思って構わないかと。

あと、芸術院を支援するように国から言われた時に、寡作で食べられない作家を入れたいなー、みたいなことを言ってまして、まあこれは連呼しなかったようですが、そうですね、志賀さんに「貴方にこそ入って欲しい」って言ったあとはまずいわな(事実しか話してません憶測です、憶測するのも無理はないよね?!)。
ところで志賀さんがぽちぽち出てくるのは、あの、えっと…その、該当してる他の人たちが文アルや知名度高めの人にいないので、それで頻発してしまうだけですので気にしないで下さい、なんだろうなにかが特異というか志賀さん…。


1月5日めも。


んで、芥川の話に戻るんですが、小穴さんの文章にも菊池さんが出てきます、出てくるというか「菊池さんのお兄さんから貰った柿を食べながら、宮沢賢治の装丁をする小穴さん」という文章が別に青空文庫にあって、どういうことぉぉぉぉぉ!!!
みたいな感じに取り乱したんですが、どういうこと。
まあそれは置いておいて、女性にやたらと突進する、しかも他人の女ばっかり、というか前からの知り合いであっても男が出来たという途端に突進するという、なんかもう、引っ掛かるほうにもなにかあかんものがあるのではないかというような感じのご乱行があったようなんですが。
小穴さんはもう普通に、見たもの聞いたものをなんの感情も交えずに語るだけで、芥川の奥さんの親友への態度くらいしかなにを考えてるのか見えないんですが。

菊池さんは芥川に金を渡し、「女でも買って来い」みたいなことを言っていたようです、さすが菊池さん、まあ実行したみたいなんだけどね芥川。
このお金どうしようかみたいなこと言っていたので知ったわけですが小穴さん。
実行してなんか妙な病気を貰ったようなので、どうもお金は使わなかったと推測されます、ちゃんとした店では検査してるからな、安いとこ行ったよなどう考えても。
だがしかし、だったらなんで行くとしか言い様がないし。
その解決方法もなんか違う気がするんだ。
というか、お金があったらっていう認識な気がするんだ菊池さん、芥川への態度、なんかよくわからんけど、違う気がするんだ。
ただ芥川のことは正直、小穴さんですら好意を信じてなかった気すらするんだよね。


1月6日めも。


菊池さんを出したのは趣味だけど、わりといい対比なんじゃないかと思うんですが、確かに菊池さんくらい行くと「多分違う」とは思う。
だがしかし、編集さんにおけるこいつは書斎にも入れたくないとか、勝手に手柄話にされるとかの人たちに親友面されて、優しくて一緒にいたい編集さんには遠慮されるみたいなことはどうも芥川の言動が理由だった気がしてならないんだ。
親しい相手ほど口が重いんだ全体的に。
近所の人たちが知ってるようなことすら知らない人が関係者として語るんだ彼の死後も、田端の人たちすらなんとなく違和感は覚えてたんだ、小穴さんも自分が好かれてるかどうかすら自信なかったろうし、犀星もいまいちなかったんじゃないか、他の友人たちも親しければ親しいほど「他への言動」が見えてなんかパターンがおかしいから信用していいのかどうかわからない。
言葉で伝える好意も救済行為だし、文章も同じくって、もうあれ、物理的なところを補充するしかないんじゃなかろうか、と考えた菊池さんが、鈍いってだけでもないと思うんだ、他の友人たちはもう関わっていいのかどうかすら不明だった気もするんだ。
芥川が妙に小穴さんの身体を触るんだけど、そうでもなきゃ、本気で離れられるからって気もしないでもないんだ、本当に本心が言葉で全くわからないんだよね。
犀星が物を貰ってたのと同じようなものな気も。
(悪意はまだ伝わる、悪意に関しては理由を語れば済む。)

菊池さんの自分が学者にさせてしまおう、やることはっきりさせようって、晩年の芥川に限り、そこまで鈍感でもわかってないわけでもない気がするんだよね。


1月7日めも。


ところで残り1日分の時点でもう疲れて特に書きたいものがあるわけではないんですが、配分とかいつもまともにしてないですね! 正直ね!!
だって下手に計画立てようとすると「立派なもの」を作ろうとしてしまうんだもん、立派なものって完成しないじゃないですか、永久に。

えっとなので趣味を押し通すんですが、芥川のイメージが曖昧だった頃に菊池さん宛ての文章を教えられて読みました、兄貴のような、とかなんか二つあるやつ。
うわ、なにこれ、気持ち悪っ?!
と叫んだのはなんか申し訳なかったです、お前誰だ!! みたいなことも叫んだ気がするいやついったで、まあだよねー、と笑って同意されたわけですが。
あとから見るとなんでそこまで異色と思ったのかはわりと明確だったんだよね、芥川の文章っていつも光がないんだよね、まあ基本的に常にないよね。
光が来ると死ぬレベルでなんかないよね。
菊池さん絡みの文章ってなんかきらきら光ってんだよね、雨降ってるのに傘のしずくとか水溜りに映る電車を見て、ぼーっと見惚れてんの芥川。
多分菊池さんはそういう感性の人間なんだなって思っただけなんだろうけど、多分芥川、珍しいんだよね多分、幼児期の小説もそうだし『歯車』もだし。暗い。
まああれって瞳孔開いてんだよな、要するに。
物理的に見た目が変わるって言われてるよね、吉川さんなんかも菊池さんが光って見えるみたいなこと言ってたけど、後光差してるよね? みたいなの。
どうしようもないことに、菊池さんは言われ慣れてるんだよな、あの男な?

(文或と近代もろもろ、140)
最終更新:2019年03月13日 00:09