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ハートのラビリンス オルフェウス&アッシュリン」(2015/03/03 (火) 15:21:39) の最新版変更点

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ハートのラビリンス 3つめの試練「白きモノの言葉」 (2015年 2月15日) (画像準備中)   扉に入ったとたん、周囲の景色が一変した。   入った扉は、跡形も無く消えている。   そこは、まるで花畑の…蜃気楼?   空と花畑が霞みがかって見える、なんとも不思議な空間に、二人は浮いていた。   目の前に、白い人型のシルエットがある。   とても小さい人型…。   白く淡く輝いていて、それが人型であることしかわからない。 白いもの:ハートを作りに来てくださったんですね。  ありがとうございます。   声は、反響しているのか、それとも脳内に直接響いているのか。   不思議な響きだが、「子供」の声であることだけはわかる。 白いもの:私は、数年前に生まれました。  でも、ハートがひとつも無かったので、また天界へ戻ってしまいました。  今年は、私のようなことに誰もならないように…。  だから、あなたたちに感謝します。  小さいけど、花束をどうぞ。   野の花を摘んだだけのような、素朴で小さなブーケがひとつ、小さい両手に包まれて、二人の前に差し出されている。 アッシュリン:(なにやら神聖な気持ちになって、花畑に膝をつき、ブーケを受け取る)  ありがとう、純粋な小さい人。  あなたが幸せにまた地上に降りれることを、心から願っているよ(にっこりと笑って)  僕からも、あなたに贈り物をするね。ささやかなものだけれども。   そう言って、アッシュリンは青い炎を生み出し、薔薇の形にして渡した。   すぐに消えてしまうが、ぬくもりは残り伝わるだろう。 アッシュリン:青い薔薇を胸に宿すように、あなたの想いが叶いますように…。 白いもの:とても、あたたかい…。  ありがとうございます…。  私は、地上でとても悲しいことがあったので、かみさまの下で、浄化を受けています。  少し長い時間、清めて頂かないと、転生の輪に戻れないそうです。  浄化とともに、記憶も失われていきます。  悲しいこと、が、なんてあったか、私は覚えていません。  言葉は、本来はうまく話せなかったと思いますが、今はかみさまの下にいるので、恩恵を受けています。  私は、まだ、願いはありません。  まだ、かたちになっていないから。  まだ、なにものにもなれないから。  でも、私は、悲しいのだと思います。  よくわからないけれど、悲しいのだと思います。  もし、私に願いがあるとすれば、私のようになってほしくない、それだけ。  どうしてそう思うのかも、もう、思い出せません。 オルフェウス:「悲しいこと」があったのですか…。  ………。  白く清らかな、いつかまた生まれてくる貴方。  きっと貴方は、とても優しい心を持っていたのでしょう。  悲しいことがあったのに、貴方は、他者の幸せを願っている…。  貴方に出会えた奇跡に感謝を。  そして、私の愛しき人に、美しい花束をありがとう。   オルフェウスふわふわと空を飛んで「白きもの」に近づき、額にキスをした。   触れたかどうか、その感覚も曖昧だったが、オルフェウスの思いは伝わったようだ。 白きもの:これも、あたたかい…。  ありがとうございます…。 アッシュリン:君の悲しい心が、癒され、次の生では、幸福に包まれますように……。  僕も、そうして愛しいシャスも、君のようにはならないって、約束するよ。確信を持って。  なんでだと思う?  僕は心から彼を愛し、彼は僕を愛してくれている。  真の愛は、剣であり、盾であるんだ。  約束する……。  そうしてあなたも、そのような愛に包まれることを、祈っている…。(そっと指を絡ませ、指切りをしようとする)   指が絡んだ感覚はしなかったが、手の先が触れあったような、雲に触れたような…不思議な感触だった。   白きものは、表情はない。シルエットだけだ。   それでも、嬉しさが空間に流れゆくのがわかる。 白きもの:とても、嬉しいです。  はやく、また、生まれたい。  あなたがたのような方に、会いに、降りたい。  こんどは、あいされたい…。  たくさん、ありがとうございます。  お花を渡したかっただけ…。なのに。  扉は、すぐそこ。かすんで見えにくいけど、私の後ろにあります。 オルフェウス:……。  シュレー。  歌いませんか?  この子のために、二人で。  音色と声を、捧げたいのです。 アッシュリン:うん、僕もそうしたいって思った! 心から……。  でも、ぱっと歌が……。  思いつくけど、これでいいのかな…??  誰もが知ってる、お誕生日おめでとうの、ハッピーバースディの歌とかどう?  名前はないとさみしいから、白い人だから、ブランシュとかに、してさ。(少し傲慢だろうかと、自信なさそうにはにかみながら) オルフェウス:いいですね、賛成です(にこり)  誰もが知っている歌だから、きっと、また生を受けた時、耳にするでしょう。  私達のことを覚えていなくても、幸せを願う想いだけは、残るように…。   ハープを取り出し、少し音ならしをしから、アッシュの準備を伺う。   そして、軽やかにハープを爪弾く。   練習したのだろうか、ハープの音色も前より上達している。 オルフェウス:  Happy birthday to you,  Happy birthday to you,  Happy birthday, dear blanche,  Happy birthday to you…   アッシュリンも、オルフェウスの声に合わせて、歌声を重ねる。   忘れられてしまうだろう、ささやかな誕生を祝う歌。   それでも、心を込めて歌った。 アッシュリン:  Happy birthday to you,  Happy birthday to you,  Happy birthday, dear blanche,  Happy birthday to you…   アッシュリンは、終止和音の後にささやかな拍手をして、にっこりと笑った。   オルフェウスも拍手を贈った。   オルフェウスは、いったん手を離したハープに指を戻し、別の歌を歌い始めた。   それもまた、誕生の喜びの歌。   しかし、目の前の「白きもの」だけではなく、隣にいる愛しきに人にも宛てているような…。 http://www.kasi-time.com/item-38161.html   アッシュリンは、オルフェウスの歌に、歌詞に、歌声に、感動したように目を潤ませているようだ。   演奏が終わった後、オルフェウスにも精一杯の拍手を贈った。 アッシュリン:ありがとう、シャス……。(言葉にならず、ただそれだけの言葉がこぼれた) オルフェウス:(白きものとアッシュ、二人にそれぞれ一礼)  いつかまた会えることを願います、blanche。  そしたら、いっぱい愛を伝えますよ。  私も、約束しますから。(にこり) アッシュリン:君のこと、忘れないよ! blanche、覚えているから。 オルフェウス:…さあ、行きましょう。シュレー。  私達の未来へ。  出口の扉へ…。   オルフェウスはアッシュリンに微笑み、手をさしのべた。   オルフェウスの手をしっかりと取って、アッシュリンは出口の扉を開けた。   その前に、オルフェウスにだけ聞こえる声で囁いた。 アッシュリン:ありがとう、シャス……。  あのさ、ここに来て、よかった……。心からね。   そのあとに続く最後の言葉は、扉を開ける音に重なって、誰も聞き取れなかったかもしれない。   しかし、祈りにも似た、神聖な五文字の言葉を唇に灯すのだけはわかったことだろう。

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