「ハートのラビリンス アルバーン&フィニ 2」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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ハートのラビリンス 2つめの試練「何も持たぬ光の玉」 (2015年 2月5日)
(画像準備中)
再び薄い空色の迷宮をさまよい…。
また、扉が現れた。
これを開ければ、また何かがあるのだろう。
しかし、どのルートを通っても、きっとどこかの扉にたどり着くと思われる。
フィニ:今度は何があるのかしら。
扉に入ったとたん、周囲の景色が一変した。
入った扉は、跡形も無く消えている。
不思議な場所だ。
床がなく、空間に浮いている感じだ。
灰色の雲の中にいるような、靄がかった景色…。
二人の前に、握りこぶし大の、蛍のようにささやかに光る玉が浮いている。
光の玉:だれか、いるの…?
ねえ、おねがい。
なにか、ちょうだい。
いまからうまれるの。もうすぐ、おかあさんからでるところなの。
でも、なにももってないの。
かみさま、ふうせん、くれなかったの。
なんでもいいから、ちょうだい?
加護を持たない…魂…!?
フィニ:(光の玉の言葉を聞いて)まあ、それは大変!
どうしたらいいかしら?
私達でも何かあげられる?
さっきグミさんたちも出てきたし、今ハートあると思うの!
出たらすぐにハートを運んでくれるようにお願いできるのに。
(アルバーンに)さっき買った布で包んであげたらどうかしら?
出来るかどうかは分からないけれど、愛情込めて選んだもの。
アルバーン:今生まれるのか?それは大変だ!
ハート…。私達がこの部屋を出たら、間に合わないかも知れない…。
今ここにあるもので、どうにかしよう。
私達にできることを…。
(フィニの提案を聞いて)それはいいな!
布はまた買えばいい。
あなたが愛を込めて選んだ布だ。
きっと、この子を守ってくれる。
アルバーンは、布を広げて光の玉をふわりと包み込んだ。
アルバーン:この布を…。
まだ生まれる前だが、あなたの産着に。
心から祈ろう。あなたが幸せな人生を送ることを。
今日が、あなたの誕生日なのだな。
Happy Birthday…。小さなあなたと、いつか会えることを願って…。
フィニ:(光の玉に)お誕生日おめでとう。
元気に産まれて、育ってね。
あなたにたくさんの幸せがこれからありますように。
光の玉:あったかい…。
このふわふわも、かけてくれることばも、こころも、あったかいよ…。
からだ、つめたくて、くるしかったの。
もう、だいじょうぶ。
ありがとう。
あったかいよ…。
光の玉は微笑むように点滅し、すうっと空間の下に降りていった。
浮いている二人の目からも見えなくなっていく…。
気がつくと、二人の前に、扉があらわれていた。
フィニ:(光の玉を微笑みながら見送って)あたたかくなったって・・・
よかったわ^^
今頃元気に産声をあげているかしら?
アルバーン:そうだな。元気に産まれたことだろう。
(フィニのお腹を見て)この子のひとつ年上になるのだな。
公園で一緒に遊べる日が来れば…いや、きっと来る。
きっと、出会えるだろう。(微笑む)
さあ、行こう。
試練と言うより、私の心も幸せになった気がする。
次も良いことが起こるといいな。あとひとつだ。
フィニ:そうね、この街で産まれて、いつか一緒に遊んでもらえるといいわね^^
とても素敵な想像だわ!
ええ、行きましょう。
二人は寄り添いながら、扉を開けた。
この「試練」は、パシオンが用意したものではなく、偶然入り込んだ奇跡だったことを、今の二人は知らない。